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西島秀俊×ビートたけしインタビュー『自分の感覚でしかわからない×もう怖いものはない』

ずっと気にしていたんだけど…

――おふたりが映画の現場で再会するのは、『Dolls[ドールズ]』(2002年)以来ですね。本作での共演は、おふたりにとってどういうものになりましたか。
西島そんなにお会いできる方ではないので。今日もこうしてご一緒させていただけるだけで、僕にとっては学ぶことがたくさんあります。今回初めて、俳優として共演できたというのは、僕の俳優人生のなかでも、もっとも大きな財産です。(撮影でたけしさんと)対峙したときは、本当に高揚しました。正直もう、怖いものはないかな。……いや、これはちょっとまずいかな(笑)。でも、うれしかったですね。僕を見出してくださった方という想いがずっとあるので、そういう方と『Dolls』から14年を経てこうしてまたお会いできて、今度は俳優として共演させていただいたというのは、本当に夢のようです。
たけし西島くんには『Dolls』でお世話になって、こちらこそ感謝しているというか。映画のなかで、見事な演技をしていただいたというのがあってね。またやろうって話もあって、ずっと気にしていたんだけど、役者としてどんどんランクが上がって、ここ何年かはトップクラスに上りつめてよかったなあと思うし。そんな西島くんと対峙するというのは、どうもね。比べられて下手だって言われるのも辛いし。出番の少ないダルマで良かったなって(笑)。でも、オレは(ダルマは)生きていると思うよ。
西島そうですね。でも、そうしたらまたオファーされますよ!
たけしそのときは、おかめとして出てくるかな。ダルマとおかめ、夫婦みたいにして……これじゃあ小津安二郎の世界だな(笑)。

――そうなると、倉木もまた……!? と淡い期待を抱いてしまいますが?
西島僕は今回で完結と聞いて、やり切った思いでいるので……。そこまでは考えていないです(笑)。集大成としてやり切ってくれと監督に言われて、全部出し切りました。『MOZU』に関してはケリはついたと思っています。

――映画ファンとしては、本作を機におふたりのタッグが続いていくことを願っています。本作に続き、おふたりが共演するウェイン・ワン監督の『女が眠る時』(2016年公開予定)のほか、たけしさん出演の『人生の約束』(2016年公開予定)、スペシャルドラマ『赤めだか』(TBS系にて12月28日放送予定)など、久しぶりに役者ビートたけしの仕事が続きますが、たけしさんにとって、いま役者の仕事とはどういうものですか?
たけし映画監督として撮るときは、基本的に監督がいい悪いを決めるわけだから、自分の芝居にOKを出しちゃう。だけど自分じゃない監督に、もうちょっとこうやってくれとか言われると、稽古ができるんだよね。役者の稽古をさせてもらっているような気がして、おもしろいなあって。役者の勉強はしたことがないんで、演技がどういうことなのかとか、自分の感覚でしか演技することがわからない。自分とは違う監督から、そうじゃなくて、こう歩いてくださいって演技をつけてもらうおもしろさっていうのかな。改めて自分のやっていることは、こういうところがいけなかったんだって気がついたり、勉強になるなって。

あるがままを見つめる目線

――役者としても、そして監督としても、さらなるステップを求めているのですね! 本作では、たけしさんの目が印象的に使われています。例えば『戦場のメリークリスマス』(1983年)ではデビット・ボウイ扮するセリアズ陸軍少佐に「美しい」と言われたたけしさんの目を、西島さんは完成作を観てどのように感じましたか?
西島もともとたけしさんの目がどこかこう、現実をただ現実のまま見ているような目というか……。まさにダルマではないけど、ダルマの役はどこかたけしさんに近いところがあると僕は思うんです。「いや、世界はこうなんだ」っていう。そこに何か悲劇とか喜劇とかを見出すのは人間。ただ、そのあるがままを見つめる目線というか、そういうイメージが僕にはあります。ダルマの目線っていうのも、まさにそういうものだと思います。倉木や下々の者はそこに怒りとか、現状に対しての不満だったり、何かを変えたいとか、真実を知りたいとか、いろいろな欲望があるけど、ダルマは「いや、世界はこうである」と。ただそれを維持している、というのかな? 世界はこうであるってことを認めて、それをただ見つめている。そういう存在なんじゃないですかね、きっと。

――アミール・ナデルやイ・ジェハンら海外の映画監督たちを惹きつける、俳優・西島秀俊の内面に秘められたエナジーについて、久々に映画の現場でご一緒してみて、たけしさんはどう感じましたか?
たけし演じることが好きで、自分なりに、自分の考え方で、いろいろな演技の仕方をやってみていると思う。それが楽しくてしょうがないんじゃないかなあ。でも、演じるってのは、非常に危険なことなんだよね。身分制度があった江戸時代には、演じることは快楽だと卑しめられて、身分制度からも外されていたくらいだから。米も何も生み出さず、ただ芝居が好きで、なおかつそれでお金をもらって、ごはんが食えるなんてねぇ?
西島本当にそうですね。
たけしお笑いのひとつより、おにぎり一個持ってくる人の方が、エラいに決まっているんだから。そう考えると、演技をすることがうれしいし、楽しいし、快感になる商売というのは本当に……。オレなんかこの仕事をやらせてくれる代わりに、選挙権も何も要らないって言うんだけどさ。税金も払うし、ちゃんと国民としての義務は果たすけど、権利は主張しない。だって商売がこれだもん! って感じがあるんだ。“河原乞食”の意味が、最近よくわかってきたよ(笑)。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

劇場版 MOZU

 高層ビル占拠爆破とペナム大使館襲撃、ふたつの大規模テロが同時発生。これらの事件は犯罪プランナー高柳(伊勢谷友介)と殺し屋・権藤(松坂桃李)を中心とするテログループによる犯行であった。彼らは、日本犯罪史の重大事件を影で操ってきた存在「ダルマ」(ビートたけし)の名のもとに、ある犯罪計画を極秘裏に進行していた。ペナム共和国を舞台に、事件の真相を追う倉木(西島秀俊)たちと、最後の敵・ダルマとの死闘が始まる……。

監督:羽住英一郎
キャスト:西島秀俊 香川照之 真木よう子 池松壮亮 伊藤淳史 杉咲花 阿部力 伊勢谷友介 松坂桃李/長谷川博己 小日向文世/ビートたけし
2015年11月7日(土)公開
(C)2015劇場版「MOZU」製作委員会 (C)逢坂剛/集英社
【公式サイト】(外部サイト)

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