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ORICON NEWS
第20回釜山国際映画祭『節目の年に盛大に華やかに!若手からベテランまでスターが大集結』
恒例のオープニングレッドカーペットを盛り上げたのは、セレモニーMCを務めたソン・ガンホのほか、イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミン、キム・ナムギル、キム・ジェウクら人気俳優に加えて、ユ・アイン、キム・ウビン、パク・ボヨン、コ・アソン、EXOのスホ、KARAのギュリ、台湾からのチェン・ボーリンら新鋭俳優やアイドルたち――。 一夜限りのオールスター夢の競演は今年も大歓声を浴びた!!
個性派俳優ユ・アインのツンデレインタビューも掲載☆
艶やか&華やか!釜山国際映画祭らしいオープニング
そんななかでも大きな歓声を浴びたのが、数多くの映画に出演しているベテラン俳優たち。オープニングセレモニーのMCを務めるソン・ガンホの登場から、レッドカーペットはまるでアイドルを迎えたような大騒ぎになった。若手俳優らを圧倒するその人気ぶりが、まさに同映画祭の勢いを表しているように感じられる。
続々と姿を現す俳優たちにマスコミのフラッシュがたかれるなか、ひと際大きな拍手と歓声があがったのが、イ・ジョンジェ。日本でも『新世界』『観相』『10人の泥棒たち』でおなじみだが、多くのヒット作に出演する彼の映画大国・韓国での人気ぶりに驚かされる。さらに、チョン・ウソン、ファン・ジョンミン、チュ・ジフンがそろってレッドカーペットに足を踏み入れたときは、それまでを上回る盛り上がりに。手を振りながらさっそうと歩く男たちの貫禄のある姿は圧巻。アイドル顔負けの歓声のなかでスターぶりを見せつけた。
そんなレッドカーペットで目玉のひとつだったのが、人気グループ・EXOのリーダー・スホ。映画初出演作となる『グローリーデイ』での映画祭参加となり、レッドカーペットでは多くのメディアの声がけに答えながら、客席を見渡してその歓声に応えるようにしっかりと手をふり笑顔を見せた。EXOメンバーの映画やドラマ出演が続くなか、今後のスホの俳優としての動向も気になるところ。ちなみに昨年の同映画祭に参加していたディオ(ド・ギョンス)は、今年は会期中盤に行なわれたスターロードイベントに登場。関係者からの注目を集め、アイドルとしてだけではなく、俳優としての地位もしっかりと確立しつつあることを示した。
そのほか、オープニングのレッドカーペットでは、パク・ソンウン、キム・ジェウク、イ・スヒョク、台湾からのチェン・ボーリンらスターが続々と登場。映画大国・韓国ならではといえる大歓声を浴び、レッドカーペットを盛り上げた。
若手俳優の登壇で大盛況のオープントーク
一方、出演者が事前に発表されているオープントークは、人気俳優たちがこぞって登壇することから、連日大勢の観客がつめかけ、イベント会場には朝から行列ができていることも珍しくなかった。今年もとくに大きな盛り上がりをみせていたのは、やはりアイドルグループのメンバーが俳優として出席するイベント。人気グループ・2PMのジュノの『二十歳』、スホ(EXO)の『グローリーデイ』などは、現地の熱狂的な中高生たちのほか日本からも大勢のファンが押し寄せ、これも恒例ではあるが、会場周辺は道路まで人で埋め尽くされる大変な騒ぎになった。
そんななかでも韓国らしいのは、俳優だけでなく映画へのリスペクトがしっかりと感じられること。『ベテラン』(日本12月12日公開)に続き、ソン・ガンホとの共演でも注目の時代劇『思悼』での大ヒットで、いまもっとも人気を集める俳優のひとりであるユ・アインのオープントークは、1時間に渡ってガッツリと行なわれた。観客からの質問では、プライベートに関するものも飛び出したが、それにはジョークを交えながら会場を盛り上げる。映画への質問ではインテリなキレ者の一面をにじませ、加えてそれに相反するやんちゃな素顔も垣間見せたユ・アイン。若きエンターテイナーとしての堂々とした姿を披露し、観客を魅了した(→ トーク詳細などイベントレポートはこちら!)。
そのほか、今回の映画祭に出席していたなかでは、パク・ソダムがいままさに人気急上昇中で、さらなる飛躍が楽しみな女優のひとり。『ベテラン』『思悼』『京城学校』と話題作に続けて出演し、この先はキム・ユンソクとカン・ドンウォンとの共演になる『黒い司祭たち』が控えている。また、KBSドラマ『不躾にゴーゴー』に出演しているジス(『グローリーデイ』主演)、イ・ウォングンもこの先ぐんぐん伸びてきそうな勢いを感じさせる。日本でのブレイクはドラマのヒットによるところが大きいが、彼らの人気はじわじわと日本へも波及している。
注目の新作が続々プレミア上映!気になる作品は!?
スホ(EXO)が映画初出演することでも話題になっていた『グローリーデイ(One Way Trip)』は、ありきたりな青春映画で終わることなく、観終わったあとのせつなさ、寂寥感が思いのほか胸に迫る仕上がりになっている。若さを弾けさせて自由奔放に遊びまわるやんちゃな男子4人の一夜にして暗転する生活とその後の運命を、ヒリヒリする描写で映し出している。もどれない道を進んでしまった若者たちのあどけなさともろさを、メインキャストの若手俳優たちが好演。スホの出演が少ないことが残念だが、1番手のジスが見事に役柄にハマり、抜群のキレと輝きを放っている。
日本でも熱狂的なファンを持つキム・ギドク監督が自らカメラをまわして日本で撮影を行った新作『STOP』もお披露目された。東日本大震災後の原発事故から東京に避難してきた福島の夫婦を主人公にするが、原発事故後の国の対応と市井の人々の感情に迫るにしては、放射能被害の科学的根拠に乏しく、感情的な部分のみが目立つように感じられる。また、登場人物たちの設定、言動がリアリティを欠いているところが気になる。日本人が観ると共感しにくいかもしれない。ファンタジーとして観ることもできるが、であれば架空の街ではなく福島という地名を出して描くことに違和感が残った。上映後のティーチインでギドク監督は「これからは日本や中国で映画を撮っていたいきたい」と語っていたが、この先の韓国国外の作品でどのようなテーマを取り上げていくのか気になるところだ。
日本映画も現地ファンから好評!俳優への熱い視線も
また、今年からスタートした、韓国・中国・日本などアジアのスターを国際的に紹介する『アジアキャスティングマーケット』には、日本代表として選ばれた佐藤健と長澤まさみが出席した。佐藤は、韓国代表のキム・ウビンとキム・ゴウン、中華圏代表のマーク・チャオとサンドリーナ・ピンナのほか、ソン・ガンホやキム・ジウン監督ら国際的な映画人との交流を持ち、映画祭ならではの有意義な時間に過ごしたことをコメントしている。こうしたイベントをきっかけにした、さらに多くの日本人俳優、監督のアジアを始めとする世界での活躍に期待がかかる。
(取材協力:Hwang JaeChang、Jung Yeji/文:編集部・武井保之)