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“塩顔男子”台頭の背景 若手俳優に強烈な“個性”はいらない?
多くの役を演じるには、“色”がつきすぎない役の方が良い
強烈な“ハマリ役”に出会うことは、役者としては幸運なことだと思われるが、確かにその役の“印象”に引きずられ、縛られることにもなる。『男はつらいよ』でおなじみの故・渥美清さんは、“寅さん”のイメージを壊さないために、長年にわたって寅さん以外の役は演じなかったと言われる。寅さんの例は極端にしても、一般的にまだまだ先がある若手俳優のことを考えれば、事務所としてもできるだけ多くの役をやらせたいだろうし、本人も挑戦したいだろう。とは言え、早い段階で“濃い”色に染まるのも避けたい。そうしたジレンマが、それほど強烈ではない役柄を薄く演じることに繋がり、結果として視聴者からの印象が薄くなるのかもしれない。
一方、若手俳優の印象が薄いのは当たり前で、歳を取りながら役者としての経験を積むうちに、だんだんと印象も濃くなっていく、という考えもある。山崎や坂口より先輩格の、佐藤健、三浦春馬、岡田将生、福士蒼汰、東出昌大といった錚々たるイケメン俳優たちも、デビュー当時から俳優として個性を発揮していたとは言い難い。それぞれが、様々な努力をすることで名を成してきた。
若手俳優は、“消費され続ける”作品に幅広く出演するほうが得策
こうして見ると、現在の若手俳優たちの印象が薄く、皆同じに見えてしまうのは当然なのかもしれない。かつては、役者はできるだけ早く“当たり役”“ハマリ役”を得て、自分のポジションを確立しようとした。しかし今の映画やテレビドラマは、長期シリーズ化するような国民的作品はほとんどなく、消費されるスピードも極めて早くなっている。若手の役者にしても、ひとつの役柄のイメージに染まるより、消費され続ける作品に幅広く出演し、少しずつ役者として自分を成長させながら、各自オリジナルのキャラクターを確立させていくほうが得策なのだ。
(文:五目舎)