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ダンサーも参入 リズムネタの新たな刺客、エグスプロージョンとは?

今年一番のブレイクとなった8.6秒バズーカやバンビーノに続き、リズムネタの新たな刺客として話題になっているのがダンサーであり振付師のエグスプロージョン。彼らは明智光秀が織田信長を陥落させた歴史的事件「本能寺の変」などの史実を歌詞にし、キレッキレのダンスとともに“踊る授業シリーズ”として紹介しているのだ。YouTubeから火が付き、中高生を中心に浸透。いまや中高生に「本能寺の変」と聞くと、織田信長を飛び越えて「あのダンス!」と結びつく、おかしな現象が起きている。

ダンスのキレと中毒性のあるリズムが生み出す笑い

 ネタの内容は簡単に言えば、歴史上の史実をわかりやすく伝えているだけ。にもかかわらず、そこに中毒性のあるリズムと目を見張るようなキレッキレのダンスが加わると、不思議と笑いが生まれ、つい何度も見たくなってしまうのだ。とはいえ、「またリズムネタか……」と食傷気味の人たちが溢れているのも事実。それでもブレイクを果たした理由は、やはりこのダンスのキレにあるだろう。

 それもそのはず、彼らは芸人ではなく、現役のダンサーなのだ。数多くのアーティストの振り付けやダンス講師も務める彼らは、ただ「織田信長が大好きすぎて、本能寺の変をもっと知ってもらいたかった」一心でこのネタを作ったという。そこから、この動画が300万回以上再生されひとり歩きを始めた。いつのまにか芸人扱いされ、所属するよしもとクリエイティブ・エージェンシーの芸人には「お前、NSCの何期生?」と絡まれることもあるんだとか。そんな多くの反響を受け、現在は「ペリー来航」や「島原の乱」など様々なバージョンを公開中。

 なかでも「ペリー来航」は、トレンディエンジェルの斎藤司とコラボした傑作。斎藤の「ペッ」というギャグを盛り込み、相川七瀬の「Break Out」をサンプリングしたネタは、「本能寺の変」よりもさらに笑える作品に仕上がっている。

“笑いをとる”ことを目的にしない…広がり続けるリズムネタ

 エグスプロージョンはいま、中高生から小学生まで、リズムネタが大好きな子どもたちの層に爆発的な人気を誇っているが、このように歴史上の事件をそのまま語ってネタにしている(?)のも、芸人ではない彼らならでは。そのまま話したところでネタでもなければ芸でもないが、そこにダンスを融合させ、芸人とコラボすることなどによって、多くの人を楽しませるリズムネタに昇華させている。

 エグスプロージョンのネタは、出発点が“笑いをとる”ことを目的にしているのではないこともあり、下品でもなければ意味不明でもない。彼らが伝えたいことが史実だったために、そのネタは“踊る授業シリーズ”というタイトルの通り、勉強になったり、知識を与えたりするものになっている。そんなアプローチは、新たなリズムネタの領域を開拓したといえるのではないだろうか。笑わせようとしなくてもリズムネタは成立し、そこから自然に笑いが生まれるということを見せつけてくれた。

 そんなリズムネタは、今後、芸人やダンサーだけでなく、ミュージシャンや芸術家、タレントなどが参入してくることもあり得るかもしれない。オリエンタルラジオの中田敦彦は「リズムネタって演芸のなかでいちばん下に見られていて、素人っぽいってバカにされる」と語っていたが、その素人っぽさが、ほかの芸に比べてもより身近なものとして受け入れられ、その結果、層に偏りはあるかもしれないが、より多くの人を楽しませている。そんな親しみやすさがいまさらに間口を広げており、オリジナルのネタを作り、動画サイトで公開している大学生など一般の人も多い。広がり続けるリズムネタは、これからもさらに進化、変貌を遂げていきそうだ。
(文:吉田可奈)

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