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ORICON NEWS
芸人のあり方に変化 芸人だけで食っていく時代は終わった!?
“天下を取った”芸人だからこそできた“趣味”としての“副業”
過去には、ビートたけしが自伝的小説『たけしくん、ハイ!』(太田出版/新潮社)を書いて、大ベストセラーになり、NHKでドラマ化され、ダウンタウンの松本人志が書いたエッセイ集『遺書』(朝日新聞社)も200万部を超える大ベストセラーになった。しかし、いずれもトップの芸人たちであり、むしろ頂点を極めた芸人が本を書くのは当然だともいえる。かつて、横山やすしという昭和最後の破滅型といってもいい大物芸人がいたが、彼は趣味のボートレースにのめり込んでいた。2011年に引退した島田紳助のオートバイレースにしてもそうだが、彼らもやはり“天下を取った”芸人だからこそできた“趣味”や“副業”だった。
現在のお笑い界を見ると、相変わらずビッグ3(たけし、明石家さんま、タモリ)は健在だし、その下の世代のとんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題もまだ現役。さらにその下のネプチューン、さまぁ〜ず、くりぃむしちゅーは、第一線でバリバリに活躍している。後続の芸人たちがそこに割り込み、お笑い界のトップにのし上がっていくことは至難の業だ。それどころか、ほとんどの芸人たちにとっては、お笑い“だけ”で食べていくこと自体、至難の業だろう。
“芸人+α”であろうとすることが、今後の芸人としての“必要条件”
つまり、頂点に立った芸人が趣味でやるのでなく、今や本業のお笑いを続けていくためには、“趣味”や“副業”を持たなくてはならなくなってきたということだ。実際、今のお笑い界を見渡すと、品川庄司・品川祐の“映画監督”、“アスリート”挑戦系の猫ひろしや南海キャンディーズ・しずちゃん、オードリーの春日俊彰、文学系でいえば、麒麟の田村裕『ホームレス中学生』や劇団ひとり『陰日向に咲く』の大ヒット、アンジャッシュ・渡部建などは“食レポ本”までヒットするなど、副業で本業そっちのけの活躍をしている芸人たちがたくさんいる。
以前は、芸人が本業以外の仕事に手を出すと、「とうとう芸では食えなくなった、気取ったことをしていても、もう本業は上がりか?」といった冷ややかな目もあった。そんな批判の矢面に立ったのが、品川庄司・品川祐やキングコング・西野亮廣だったりするわけだが、彼らはくじけることもなく、その冷ややかな目をもはや“ネタ”のひとつ。これからの芸人たちが成功していくためには、たとえ一時的に視聴者に不快がられようと、本業以外の“趣味”や“副業”をネタにできるかどうか、そうした図太さを持ち合わせているかどうかが鍵になりそうだ。また、“芸人+α”であろうとすることが、今後の芸人としての“必要条件”でもあるし、ひょっとしたら“最低条件”なのかもしれない。
(文:五目舎)