バットマンシリーズの最新作『ダークナイト』でヒロインのレイチェルを演じるマギー・ギレンホール
全米公開で10日間で3億ドルを突破する興収歴代記録を樹立し、快進撃を続ける映画『ダークナイト』(8月9日公開)。バットマンシリーズの最新作であり、『バットマン ビギンズ』(2005年公開)の続編となる本作で、前作ではケイティ・ホームズが演じていたヒロインのレイチェル・ドーズを演じるのがマギー・ギレンホールだ。レイチェルは、強さと優しさと信念、そして覚悟をもつ女性で、正義と悪のはざまで揺さぶられるふたりの男性に愛される。そんな重要な役を見事に演じきったマギーが、ケイティに代わって新たに作り上げた役柄と女優業について語る。
■プレッシャーのなかでの新たなヒロイン像へのアプローチ
ただし、出演を決めるまでには、前作でレイチェルを演じて好評を博していたケイティへの配慮、そしてプレッシャーもあったようだ。
「私がレイチェルを演じることをケイティが了承しているか気になったので、それを確認してから仕事を受けました。そのうえで、彼女が演じたキャラクターとはまったく異なる新しいひとりの女性像を作るというアプローチをしました。自分にとって大切だったのは、監督もそれを望んでくれたということでした」
■撮影を通して体感したノーラン監督の特別な演出法
「最初に脚本を渡されたときには、監督はレイチェルはまだ完成されていないと言っていました。私もそう思いましたし、自分の意見を求められていると感じました。もちろん大きなストーリーの展開には触ることはできませんが、苦悩と葛藤をもつリアルで豊かな女性像を作り上げる、そしてほかの男性キャラクターに負けない情熱をもった女性にしたいと伝えました。監督もそれをすごく気に入ってくれて、キャラクターに取り入れました」
監督・脚本家として活動するノーランは、辛口の米映画批評家や映画ファンからの評価も高い。これまでに数々の映画賞を、監督、脚本家として受賞しており、今もっとも映画界が注目する人物のひとりだ。マギーは、ノーランとほかの監督との違いについて語る。
「これだけの予算と撮影規模の大作のなかで、俳優との密な細かい打ち合わせ、演出などができるところがすばらしい。撮影に入る前は、打ち合わせで役柄の人物像が一致したあとは、俳優一人ひとりにそんなに時間をさけないだろうと覚悟して参加しました。ところが驚いたことに、どんなに大掛かりなシーンであっても、このキャラクターをこうしようという細かい判断と指示があります。そういうところはほかの監督と比べても特別だと感じました」
■あらゆるものを超越していた故ヒース・レジャーの名演
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「ヒースの演技は、すばらしかったとしか言いようがないです。俳優というのは、いい演技をするためにある程度の自由を自分で作り出すものですが、今回の彼はあらゆるものを超越して完全にその自由のなかで演技をすることができていました。とくにこれだけ大規模な作品のなかでそれをやってのけたというのは本当にすごいこと。私にとってもすばらしい経験になりました」
一方、本作でのヒースに対して、来年のオスカー候補との呼び声が高まっていることについては苦言を呈す。
「ヒースがオスカー候補として騒がれていますが、受賞すればそれはそれで素敵なことです。ただ、彼自身が亡くなっているのに、今それを大きく騒ぎ立てるのはちょっと違うかなと思っています」
『ダークナイト』は歴代興収新記録を打ち立てる大ヒットとなったが、最後にマギーに出演作を選ぶ基準について聞いてみると「それはとても難しい質問」と笑顔をみせる。
「純粋に作品や役柄に惹かれるかどうかです。それから、脚本や出演者、自分とあう監督かどうかという意味でのクオリティを求めることはあります。もちろんキャリアのためだけでなく、芸術的な理由もあって選ぶわけですが、私の場合は、なぜやりたかったかというのは、数年経ってから気づいたりするタイプなんです(笑)。このときはこういう風に思っていたからこの役をやりたかったんだ、演じなければならなかったんだと」
マギー・ギレンホール:PROFILE 10代で出演した『秘密』(1992年)で映画デビュー。『セクレタリー』(2002年)でジェイムズ・スペイダーの相手役を務め、ゴールデングローブ賞、インディペンデント・スピリット賞にノミネート。ボストン映画批評家協会賞、全米映画批評会議賞を受賞するなど高い評価を受ける。さらに同年公開された『アダプテーション』(スパイク・ジョーンズ監督)、『コンフェッション』(ジョージ・クルーニー監督)で注目を集める。近作では『パリ、ジュテーム』『ワールド・トレード・センター』『主人公は僕だった』(いずれも2006年)などに出演。 |
2008/08/08