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綾辻行人の傑作ミステリー小説『十角館の殺人』実写映像化 全てを覆す“あの1行”に挑む【コメントあり】

 現代本格ミステリーをけん引し続ける綾辻行人(あやつじ・ゆきと)の作家デビュー作『十角館の殺人』(1987年)が、実映像化されることが発表された。動画配信サービス「Hulu」で来年(2024年)3月22日より独占配信される。監督は内片輝、脚本は八津弘幸が担当する。ティザービジュアル&超特報映像も解禁となった。

綾辻行人の傑作ミステリー小説『十角館の殺人』実写映像化

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 原作小説は、緻密かつ巧妙な叙述トリックで読者をその世界に引き込みながらも、たった1行で事件の真相を描くという大胆な手法でミステリー界に衝撃を与えた傑作。その特異性から、長年映像化は不可能と言われ続けてきた。そして、今なお色あせることのない本作の功績が讃えられ、今年10月に発表されたタイム誌が選ぶ「史上最高のミステリー&スリラー本」オールタイム・ベスト100に選出され、ドストエフスキー『罪と罰』、アーサー・コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』、スティーヴン・キング『シャイニング』、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』など世界の名だたる作家、そして名著と肩を並べる快挙を成し遂げた。

 綾辻は、『十角館の殺人』以降、「館」シリーズとして、『奇面館の殺人』まで9つの長編推理小説からなる壮大なストーリーを36年間にわたって書き続け、現在もシリーズ10作目となる『双子館の殺人』を連載中。世界中のミステリーファンに大きな影響を与え続けている。

 物語の舞台は1986年、十角形の奇妙な外観を持つ館“十角館”が存在する角島(つのじま)。この館を建てた天才建築家・中村青司(なかむら・せいじ)は、焼け落ちた本館・青屋敷で謎の死を遂げていた。半年後、無人島と化していた角島に、大学ミステリ研究会の男女7人が合宿で訪れる。その頃、海を隔てた本土では、かつてミス研メンバーだった江南孝明(かわみなみ・たかあき)のもとに【死んだはずの中村青司】から1通の手紙が届く。<十角館に滞在するミス研メンバー>と<死者からの手紙>。「偶然とは思えない」。江南は調査を進めるなか、島田潔(しまだ・きよし)という男と出会い、行動を共にしていく。

 一方“十角館”では、ミス研の1人が何者かに殺害される。「犯人は一体誰だ?」疑心暗鬼に陥り、互いに仲間を疑いはじめるメンバーたち。孤島である角島から出ることができるのは、1週間後。2つの物語から起こる【想像を超えた衝撃の結末】とは。

 監督の内片は、ハリウッド仕込みの映像演出で緊張感のある作風を得意とし、WOWOWの「殺人分析班」シリーズや『コールドケース〜真実の扉〜』シリーズ、『ヒポクラテスの誓い』などを手がけてきた。以前から親交のあった綾辻へ、『十角館の殺人』の映像化を自ら打診したと言い、20年間夢見たという映像化プロジェクトの実現を果たす。

 脚本家の八津は、TBSの『陸王』、『下町ロケット』、『半沢直樹』などの重厚な人間ドラマをはじめ、内片監督とタッグを組んだWOWOW『水晶の鼓動 殺人分析班』のようなサスペンス、ミステリーといった刑事ドラマ、裁判ドラマなどの専門知識もあり、大胆な構成力とエンターテインメント性をベースにした重厚な人間ドラマ、笑って、泣ける人情ドラマを手がけてきた。

 解禁となったティザービジュアルには、天才建築家・中村青司が設計した正十角形の間取りが特徴的な館で、原作本にも登場する「十角館の平面図」が描かれている。超特報映像には、綾辻の「どうやって実写化するの?できるの?」というコメントが添えられ、死んだはずの中村青司からの「お前たちが殺した千織は、私の娘だった」という謎に満ちた手紙、原作のイメージそのままに実写としてその姿を現す十角館の館内、そして角島にやってきたミス研メンバーの姿が映し出されていく。ラストに待ち受ける“あの1行”の衝撃を、どう映像化するのか、期待が高まる仕上がりとなっている。

書影「十角館の殺人」(C)綾辻行人/講談社

書影「十角館の殺人」(C)綾辻行人/講談社

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■綾辻行人のコメント

――内片輝監督から『十角館の殺人』を実写化したいと言われた時の感想。

 どうやって実写化するの? できるの? という疑念を、やはりまず抱かざるをえませんでした。ただ、内片監督はかつて、非常にマニアックかつアクロバティックな犯人当てドラマ「安楽椅子探偵」シリーズ(有栖川有栖さんと綾辻の共同原作による深夜枠のTVドラマ)を計7作、撮ってくれた人です。その内片さんが「やりたい」と云うのだから、何か彼なりの(実写化のための)アイディアがあるのだろうな、とは思いました。

――1987年9月から36年の時を経て、今この時代に映像化されることについての感想。現在も「館」シリーズを書き続けている綾辻行人さんにとって、デビュー作でもある『十角館の殺人』の存在について。

 「映像化不可能」と云われつづけてきた小説です。アニメならまだしも、実写ではとうてい無理だろう、と僕自身も考えていたので、今になって本気でそれにチャレンジしようという企画が成立してしまったのは驚きでした。

 36年前のデビュー作が時代・世代を超えて今なお多くの人に読まれつづけている、というのは本当に幸せなことです。そんな未来など微塵も想像せずに書いた『十角館』でしたが、ここまで来ると「偉いねえ、きみ」と讃えてあげたい気分です。

――先日発表された、タイム誌が選ぶ【史上最高のミステリー&スリラー本】オールタイム・ベスト100に『十角館の殺人』が選出された際のお気持ち。また、本作のどういった部分が選ばれたポイントについて。

 ひたすらうれしく、夢のように感じました。『十角館』よりも優れた本邦のミステリーはいくらでもあるので、何だか申しわけないような気も。ただ、この作品が結果として、当時の日本のミステリーシーンに画期的な変化をもたらすきっかけになったことは確かなので、選出にあたってはおそらく、そういった歴史的な位置づけも相応に勘案されたのだろうと想像します。

――実写化を楽しみにしているファンの皆さまへのメッセージ。

 原作をすでに読んでおられる人にとっては、気になるのはやはり、「映像化不可能」であるはずのメインの仕掛けをどうやって「可能」にしているか、という点でしょうから、まずはその興味でご覧ください。ですが、その試みが成功しているか否かについては、原作を読まずに観た人の感想を伺うしかないわけです。そのあたり、なかなか向き合い方がむずかしい作品かもしれませんね。ともあれ、内片監督渾身の作であることは間違いないはずです。どんな仕上がりになるのか、僕も大いに楽しみにしています。

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