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スタジオポノック長編映画『屋根裏のラジャー』1年余りの公開延期を経てほぼ完成を報告 手描きアニメーションの“進化”に手応え

 アニメーション映画『メアリと魔女の花』(2017年)を手がけたスタジオポノックの最新長編映画『屋根裏のラジャー』が12月15日に全国公開される。当初、2022年夏公開が予定されていたが、制作の遅れによる1年以上の延期を経て、晴れてきのう22日、都内のホテルで製作報告会見が執り行われた。

スタジオポノック最新作アニメーション映画『屋根裏のラジャー』製作報告会見に出席した(左から)百瀬義行監督、イッセー尾形、寺田心、安藤サクラ、西村義明プロデューサー

スタジオポノック最新作アニメーション映画『屋根裏のラジャー』製作報告会見に出席した(左から)百瀬義行監督、イッセー尾形、寺田心、安藤サクラ、西村義明プロデューサー

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 本作の企画・プロデュースを務めた西村義明は、元スタジオジブリ所属。冒頭、「ホテルで会見するのは10年前、『かぐや姫の物語』をつくった時に高畑勲さんたちが登壇したんですよね。10年経って、高畑監督の右腕だった百瀬義行監督と一緒につくった映画を報告できることが感慨深いです」とあいさつ。また、19日に亡くなったスタジオジブリ作品の美術監督などを務めた山本二三さん(享年70)へ、「心からご冥福をお祈りいたします」とお悔やみを述べた。

 西村プロデューサーは、スタジオジブリ時代、米アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされた「『かぐや姫の物語』や『思い出のマーニー』をプロデュース。スタジオジブリ制作部門の解散を機に、アニメーション制作会社スタジオポノックを設立(15年4月)。長編第一作となる『メアリと魔女の花』は興行収入32.9億円のヒットを記録し、150の国と地域で公開されるという鮮烈なデビューを飾った。

 本作の監督を務めた百瀬義行はジブリで高畑勲作品の『火垂るの墓』から『かぐや姫の物語』の全作品において重要な役割を担った演出家だ。

『屋根裏のラジャー』ティザーポスター (C)2023 Ponoc

『屋根裏のラジャー』ティザーポスター (C)2023 Ponoc

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 そんな2人がタッグを組んだ新作長編アニメーション『屋根裏のラジャー』は、イギリスの詩人・作家のA.Fハロルドによる『The Imaginary』(邦題『ぼくが消えないうちに』訳:こだまともこ/ポプラ社)を原作とし、想像から生まれた“イマジナリーフレンド”たちによる人間には決して見えない大冒険を、日本とフランスのコラボレーションによる全く新しい手描きアニメーションで表現した作品。

 百瀬監督の指揮のもと、作画監督に元スタジオジブリの小西賢一を迎え、背景美術にはスタジオジブリの美術スタッフが中心になったて設立した“でほギャラリー”が参加し、美術監督に林孝輔が集結。スタジオジブリ由来の手描きアニメーションに、フランスのクリエイターたちが新たなデジタル技術を用いた質感表現と、光と影による画期的な映像表現で、イマジナリと登場人物たちのドラマを力強く描き出した。

 日本初となるこの手法を、西村プロデューサーは「手描きアニメーション2.0」とアピール。しかし、この挑戦には思いのほか多くの時間を必要とし、「公開を1年も延期してしまい、お詫びもしないまま会見をスタートしてしまって申し訳ございません。関係者の皆さまご迷惑をおかけしました」と陳謝した。

西村義明プロデューサー

西村義明プロデューサー

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 「今回の表現の挑戦は苦難の連続で、自分たちの身の丈に合わない、背伸びをしすぎた作品づくりを今回はせざるを得なかった」と、西村プロデューサー。公開スケジュールを1年延期してまで制作を続行するということは、その分、スタッフの人件費がかさみ、予算オーバーとなることは免れない。続行か、断念か、決断を迫られた22年1月頃には、「ポノックの解散、倒産も現実味を帯びてきた」と振り返る。

 結果、制作は続行。先日、編集が終わって0号試写にまでこぎつけた。百瀬監督は「効果音、音楽、せりふが入ったものを初めて観て、観終わった時のスタッフの反応を見て、手応えを感じられた。心強く思えた」と、安堵の表情。さらに、新たなデジタル技術を駆使して、「もともと興味があった手描きアニメーションの新たな表現を長編作品で挑戦することができた」と満足げに続ける。

百瀬義行監督

百瀬義行監督

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 「人の肌はただ肌色を塗ればいいわけじゃなくて、肌の下には血管があって、肉があって、骨があって、太陽に手をかざせば熱を帯びて赤くなる。そういう感じをアニメーションで表現できないだろうか、という興味があったし、追求できたらいいなと思っていた。それが実現できた。そこまでする必要があるのか、わからなかったけど、やりたかった。0号試写を観たスタッフから『百瀬さんこういうの好きなんですね』と言われるくらいのものが出来上がった」と話していた。

 会見では、予告映像(90秒)とともに、声の出演で参加する俳優陣も発表された。少女アマンダの想像から生まれた本作の主人公、誰にも見えない少年ラジャー役にアニメーション映画の声優は初挑戦となる寺田心。変声期に入る直前に声の収録を実施した。

『屋根裏のラジャー』声優(左上から)寺田心、鈴木梨央、安藤サクラ、仲里依紗、山田孝之、高畑淳子、イッセー尾形 (C)2023 Ponoc

『屋根裏のラジャー』声優(左上から)寺田心、鈴木梨央、安藤サクラ、仲里依紗、山田孝之、高畑淳子、イッセー尾形 (C)2023 Ponoc

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 ラジャーを生み出した少女アマンダ役に鈴木梨央、アマンダの母リジー役に安藤サクラ、イマジナリの町でラジャーが出会う少女エミリ役に仲里依紗、ラジャーの前に現れる怪しげな猫ジンザン役に山田孝之、アマンダの祖母ダウンビートおばあちゃん役に高畑淳子、ラジャーをつけ狙う謎の男ミスター・バンティング役にイッセー尾形の配役が発表され、会見には、寺田、安藤、イッセーが登壇した。

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