フランス現地時間5月16日〜27日に開催された「第76回カンヌ国際映画祭」は、最後を日本映画が華々しく飾る結果となった。最終日の27日の授賞式、コンペティション部門に出品されたヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』で主演を務めた役所広司が最優秀男優賞、同部門の是枝裕和監督の『怪物』の脚本を手がけた坂元裕二が脚本賞をそれぞれ受賞。そのほかの受賞結果は以下のとおり。
■最高賞のパルム・ドールは2年ぶり3人目の女性監督
最高賞のパルム・ドールは、フランスのジュスティーヌ・トリエ監督の法廷スリラー『Anatomy of a Fall(アナトミー・オブ・ア・フォール)』が受賞。パルム・ドールを獲得した女性監督は、第67回で受賞した『ピアノ・レッスン』(1993年)のジェーン・カンピオン、第74回で受賞した『TITANE/チタン』(2021年)のジュリア・デュクルノーに続き、3人目となった。
授賞式ではプレゼンターを務めたアメリカの俳優ジェーン・フォンダ(1971年に『コールガール』、1978年に『帰郷』でアカデミー賞主演女優賞を2度受賞)は、「1970年代に初めてカンヌ映画祭に参加した時、当時は女性監督が参加していなかったし、それに何か問題があるとは思いもしなかった。私たちは長い道のりを歩んできました」とコメントし、トリエ監督の受賞を祝福した。
■役所広司が最優秀男優賞「自分たちの国の映画で」
役所は、「第50回カンヌ国際映画祭」にて、主演作『うなぎ』(今村昌平監督)がパルム・ドールを受賞しているが、最優秀男優賞は初受賞。日本の俳優の受賞は、2004年の『誰も知らない』の柳楽優弥以来2人目となる。
授賞式後に応じた取材で役所は、海外進出について問われ、「自分の表現が役に立つような良い作品があれば参加したいとは思っています。基本的には、自分たちの国の映画で、世界中の人たちに楽しんでもらえるのが、一番の早道かな」と、答えたという。
『PERFECT DAYS』の監督はドイツのヴィム・ヴェンダースだが、企画・製作したのは日本。東京・渋谷区内17ヶ所の公共トイレを新たなデザインで改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」でプロジェクトオーナーを務める柳井康治(ユニクロを展開するファーストリテイリング取締役)の、「日々、公共トイレのメンテナンスをしてくれている清掃員のバックアップしたい」「トイレ利用者の意識改革をしたい」という思いから、映画づくりに発展。ヴィム・ヴェンダースが監督を引き受け、高崎卓馬とともに脚本を書き上げた。
役所は、日常の楽しみを満喫するトイレの清掃員・平山を演じたほか、平山の姪を新人・中野有紗、その母で平山の妹を麻生祐未、平山と奇妙なつながりをもつホームレスを田中泯。同僚の清掃員で柄本時生、そのガールフレンドでアオイヤマダ。平山が休日に訪れる居酒屋のママで石川さゆり、その元夫役で三浦友和の出演が明らかになっている。
『PERFECT DAYS』は、独立賞のエキュメニカル審査員賞(キリスト教関連の団体から贈られる賞)も受賞した(日本映画では、青山真治監督の『EUREKA(ユリイカ)』が2000年に、河瀬直美監督の『光』が14年に、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が21年に受賞しており、4作目)。
■『怪物』坂元裕二が脚本賞、是枝監督は「この作品にふさわしい賞」
公式上映時には現地入りしていた坂元は、一足先に帰国し、受賞の一報を受けて、「『怪物』チームの一人としてうれしいです。感謝します。この脚本はたった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」と、コメントを寄せた。
授賞式には、是枝監督が登壇し、代理でトロフィーを受け取った。授賞式後の会見では、「坂元さんに代わってここに座っておりますが、いま東京にいる坂元さんにも連絡をとって、本当に喜んでおられました。 この作品にとって本当にふさわしい評価だなという風に自分では考えております」「僕も感無量です」と、語っていた。
カンヌ国際映画祭において日本映画の脚本賞の受賞は、「第74回」で濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が受賞して以来2年ぶり。是枝監督作品のカンヌ映画祭でのコンペ部門での受賞は、昨年の『ベイビー・ブローカー』(ソン・ガンホが最優秀男優賞)に続き2年連続。04年『誰も知らない』では主演を務めた柳楽優弥が最優秀男優賞を受賞、13年『そして父になる』では審査員賞、『万引き家族』では最高賞であるパルム・ドールを受賞している。
なお、『怪物』は主要部門の授賞式に先立って発表された独立賞の1つで、LGBTやクィアを扱った映画に与えられる「クィア・パルム賞」も日本映画としては初受賞している。
■「第76回カンヌ国際映画祭」受賞結果(※製作国)
パルム・ドール:『Anatomy of a Fall』(ジュスティーヌ・トリエ監督)※フランス
グランプリ:『The Zone of Interest』(ジョナサン・グレイザー監督)※イギリス、アメリカ、ポルトガル
審査員賞:『Falle Leaves』(アキ・カウリスマキ監督)※フィンランド
男優賞:役所広司(『Perfect Days』)※日本
女優賞:メルヴェ・ディズダール(『About Dry Grasses』)※トルコ、フランス、ドイツ
監督賞:トラン・アン・ユン(『The Pot au Feu』)※フランス
脚本賞:坂元裕二(『怪物』)※日本
カメラ・ドール:『Inside the Yellow Cocoon Shell』(ティエン・アン・ファム監督)※ベトナム、フランス、シンガポール
短編パルム・ドール:『27』(フローラ・アンナ・ブダ監督)※フランス、ハンガリー
■最高賞のパルム・ドールは2年ぶり3人目の女性監督
最高賞のパルム・ドールは、フランスのジュスティーヌ・トリエ監督の法廷スリラー『Anatomy of a Fall(アナトミー・オブ・ア・フォール)』が受賞。パルム・ドールを獲得した女性監督は、第67回で受賞した『ピアノ・レッスン』(1993年)のジェーン・カンピオン、第74回で受賞した『TITANE/チタン』(2021年)のジュリア・デュクルノーに続き、3人目となった。
授賞式ではプレゼンターを務めたアメリカの俳優ジェーン・フォンダ(1971年に『コールガール』、1978年に『帰郷』でアカデミー賞主演女優賞を2度受賞)は、「1970年代に初めてカンヌ映画祭に参加した時、当時は女性監督が参加していなかったし、それに何か問題があるとは思いもしなかった。私たちは長い道のりを歩んできました」とコメントし、トリエ監督の受賞を祝福した。
■役所広司が最優秀男優賞「自分たちの国の映画で」
授賞式後に応じた取材で役所は、海外進出について問われ、「自分の表現が役に立つような良い作品があれば参加したいとは思っています。基本的には、自分たちの国の映画で、世界中の人たちに楽しんでもらえるのが、一番の早道かな」と、答えたという。
『PERFECT DAYS』の監督はドイツのヴィム・ヴェンダースだが、企画・製作したのは日本。東京・渋谷区内17ヶ所の公共トイレを新たなデザインで改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」でプロジェクトオーナーを務める柳井康治(ユニクロを展開するファーストリテイリング取締役)の、「日々、公共トイレのメンテナンスをしてくれている清掃員のバックアップしたい」「トイレ利用者の意識改革をしたい」という思いから、映画づくりに発展。ヴィム・ヴェンダースが監督を引き受け、高崎卓馬とともに脚本を書き上げた。
役所は、日常の楽しみを満喫するトイレの清掃員・平山を演じたほか、平山の姪を新人・中野有紗、その母で平山の妹を麻生祐未、平山と奇妙なつながりをもつホームレスを田中泯。同僚の清掃員で柄本時生、そのガールフレンドでアオイヤマダ。平山が休日に訪れる居酒屋のママで石川さゆり、その元夫役で三浦友和の出演が明らかになっている。
『PERFECT DAYS』は、独立賞のエキュメニカル審査員賞(キリスト教関連の団体から贈られる賞)も受賞した(日本映画では、青山真治監督の『EUREKA(ユリイカ)』が2000年に、河瀬直美監督の『光』が14年に、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が21年に受賞しており、4作目)。
■『怪物』坂元裕二が脚本賞、是枝監督は「この作品にふさわしい賞」
公式上映時には現地入りしていた坂元は、一足先に帰国し、受賞の一報を受けて、「『怪物』チームの一人としてうれしいです。感謝します。この脚本はたった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」と、コメントを寄せた。
授賞式には、是枝監督が登壇し、代理でトロフィーを受け取った。授賞式後の会見では、「坂元さんに代わってここに座っておりますが、いま東京にいる坂元さんにも連絡をとって、本当に喜んでおられました。 この作品にとって本当にふさわしい評価だなという風に自分では考えております」「僕も感無量です」と、語っていた。
カンヌ国際映画祭において日本映画の脚本賞の受賞は、「第74回」で濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が受賞して以来2年ぶり。是枝監督作品のカンヌ映画祭でのコンペ部門での受賞は、昨年の『ベイビー・ブローカー』(ソン・ガンホが最優秀男優賞)に続き2年連続。04年『誰も知らない』では主演を務めた柳楽優弥が最優秀男優賞を受賞、13年『そして父になる』では審査員賞、『万引き家族』では最高賞であるパルム・ドールを受賞している。
なお、『怪物』は主要部門の授賞式に先立って発表された独立賞の1つで、LGBTやクィアを扱った映画に与えられる「クィア・パルム賞」も日本映画としては初受賞している。
■「第76回カンヌ国際映画祭」受賞結果(※製作国)
パルム・ドール:『Anatomy of a Fall』(ジュスティーヌ・トリエ監督)※フランス
グランプリ:『The Zone of Interest』(ジョナサン・グレイザー監督)※イギリス、アメリカ、ポルトガル
審査員賞:『Falle Leaves』(アキ・カウリスマキ監督)※フィンランド
男優賞:役所広司(『Perfect Days』)※日本
女優賞:メルヴェ・ディズダール(『About Dry Grasses』)※トルコ、フランス、ドイツ
監督賞:トラン・アン・ユン(『The Pot au Feu』)※フランス
脚本賞:坂元裕二(『怪物』)※日本
カメラ・ドール:『Inside the Yellow Cocoon Shell』(ティエン・アン・ファム監督)※ベトナム、フランス、シンガポール
短編パルム・ドール:『27』(フローラ・アンナ・ブダ監督)※フランス、ハンガリー
このニュースの流れをチェック
- 1. 役所広司、カンヌで10分のスタンディングオベーション「皆さんほめるの上手」と照れ
- 2. 「カンヌ国際映画祭」田中泯が演じたホームレスが話題に ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』
- 3. 【速報】役所広司、「第76回カンヌ国際映画祭」最優秀男優賞受賞 トイレの清掃員演じる
- 4. 役所広司、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞受賞「この賞に恥じないように頑張る」
- 5. 「第76回カンヌ国際映画祭」受賞結果一覧 日本映画から役所広司&坂元裕二が受賞
- 6. 役所広司、男優賞受賞を仲間が祝福 田中泯「フランス、カンヌにヤッホーだ」
- 7. 役所広司“カンヌ男優賞”受賞作品『PERFECT DAYS』12・22全国公開決定
- 8. 役所広司「アジア太平洋映画祭」最優秀俳優賞にノミネート 『PERFECT DAYS』日本版30秒予告解禁
- 9. 田中泯のパフォーマンスをヴィム・ヴェンダースが撮影、短編映画として東京国際映画祭で上映
- 10. 役所広司、カンヌ男優賞受賞作の役づくりは「トイレの掃除の練習」 ニューヨーク映画祭で語る
- 11. 役所広司、諫早市・市民栄誉賞受賞「50年後、100年後も観てもらえるような映画に出たい」
- 12. ヴィム・ヴェンダース監督「映画は経験とプロセス」1時間半に及んだインタビューの一部を紹介
- 13. 役所広司主演『PERFECT DAYS』アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストに残る
- 14. 映画『PERFECT DAYS』役所広司“平山”の日常を揺らす中野有紗“ニコ”&柄本時生“タカシ”の特別映像
- 15. 役所広司、“演技”を語る 映画『PERFECT DAYS』インタビュー「100年経っても古くならない映画に出たい」
- 16. 田中泯、「一生忘れない」ダンスに 映画『PERFECT DAYS』インタビュー映像解禁
- 17. 映画『PERFECT DAYS』役所広司演じる“平山”のカセットテープコレクション【劇中曲リスト】
- 18. 役所広司主演、映画『PERFECT DAYS』劇中で描かれなかったタカシ(柄本時生)の留守電を公開
2023/05/29