今年のノーベル文学賞は、フランスの作家アニー・エルノー氏が受賞。自らの経験をもとに、女性の“性”に焦点をあてた数多くの自伝小説を発表してきたエルノー氏は、現在82歳。長い執筆人生の中でさまざまな賞を受賞し、ここ数年は毎年ノーベル賞受賞のうわさが立っていたが、今回ようやく受賞を果たすこととなった。
エルノー氏の代表作の一つ、「シンプルな情熱」は、エルノー氏自身と既婚年下男性との愛を描き、フランス人女優レティシア・ドッシュと、ウクライナ出身の世界的バレエダンサー、セルゲイ・ポルーニン主演で映画化され、日本では昨年公開されて話題となった。
さらに、エルノー氏の作品集「嫉妬」の中に収められた「事件」という短編を映画化した『あのこと』の日本公開が12月2日に控えている。同作で描かれるのは、エルノー氏が実際に経験した想像を絶する“違法な中絶”の現実。未来の夢のために中絶を選んだ少女の12週間の生々しい体験を淡々と語る作風はそのまま映画でも受け継がれ、さらに観客自らが体験しているような錯覚に陥る臨場感を実現。
完成した映画を鑑賞したエルノー氏も、オードレイ・ディヴァン監督の手腕を「あなたは真実の映画を作った」、「彼女にはその残酷な現実をすべて見せる勇気がありました」と、ほめ称える内容の手紙を送っていたという。
今回のノーベル文学賞受賞を受け、原作本「嫉妬/事件」が早川書房より11月2日に発売されることも決定した。
アニー・エルノー氏は、1940年、フランス北部ノルマンディーのリルボンヌ生まれ。喫茶店と食料品店を兼ねた店を経営する両親のもとで育った。ルーアン大学、ボルドー大学で学び、卒業後、教員となり高校や中学で教える。1974年、「Les Armoires vides」(原題)で作家デビュー。ジェンダーや階級などによる格差を経験してきたみずからの人生をさまざまな角度から観察し、数多くの自伝小説の題材にしてきた。
スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞選考委員会は、「個人の記憶の中にあるルーツ・疎外感・集団的な抑圧を明らかにする勇気と客観的な鋭さを評価した」と、彼女しか描くことのできない赤裸々で正直な作風が受賞に値したとコメントしている。
■アニー・エルノー氏が映画『あのこと』製作陣に送った手紙
映画『あのこと』を鑑賞し、私はとても感動しています。オードレイ・ディヴァン監督に伝えたいことはただ一つ。「あなたは真実の映画を作った」ということです。
ここでいう真実味というのは、法律で中絶が禁止され、処罰されていた1960年代に、少女が妊娠することの意味にできる限り、真摯(しんし)に近づいたという意味です。この映画は、その時起こったことに、異議を唱えるわけでも判断を下すわけでもなく、事実を劇的に膨らませているわけでもありません。
オードレイ・ディヴァンには、1964年のあの3ヶ月間に私に起きた残酷な現実のすべてを、臆せず見せる勇気がありました。また、「23歳の私自身」でもあるアンヌを演じるのは、アナマリア・ヴァルトロメイ以外には考えられません。当時のことを覚えている限りでは、彼女はとてつもなく忠実かつ正確に演じています。
20年前、私は本の最後に、1964年のあの3ヶ月間に私に起きたことは、私の身体があの時代と当時のモラルを「総合的に経験」した結果だと書きました。中絶が禁止されていたあの時代から、新しい法律の制定へ。私が描いた真実を、オードレイ・ディヴァン監督は、映画の中で余すことなく伝えてくれました。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
映画『あのこと』12月2日より全国順次公開 (C)2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINEMA - WILD BUNCH - SRAB FILM
完成した映画を鑑賞したエルノー氏も、オードレイ・ディヴァン監督の手腕を「あなたは真実の映画を作った」、「彼女にはその残酷な現実をすべて見せる勇気がありました」と、ほめ称える内容の手紙を送っていたという。
今回のノーベル文学賞受賞を受け、原作本「嫉妬/事件」が早川書房より11月2日に発売されることも決定した。
アニー・エルノー氏は、1940年、フランス北部ノルマンディーのリルボンヌ生まれ。喫茶店と食料品店を兼ねた店を経営する両親のもとで育った。ルーアン大学、ボルドー大学で学び、卒業後、教員となり高校や中学で教える。1974年、「Les Armoires vides」(原題)で作家デビュー。ジェンダーや階級などによる格差を経験してきたみずからの人生をさまざまな角度から観察し、数多くの自伝小説の題材にしてきた。
スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞選考委員会は、「個人の記憶の中にあるルーツ・疎外感・集団的な抑圧を明らかにする勇気と客観的な鋭さを評価した」と、彼女しか描くことのできない赤裸々で正直な作風が受賞に値したとコメントしている。
■アニー・エルノー氏が映画『あのこと』製作陣に送った手紙
映画『あのこと』を鑑賞し、私はとても感動しています。オードレイ・ディヴァン監督に伝えたいことはただ一つ。「あなたは真実の映画を作った」ということです。
ここでいう真実味というのは、法律で中絶が禁止され、処罰されていた1960年代に、少女が妊娠することの意味にできる限り、真摯(しんし)に近づいたという意味です。この映画は、その時起こったことに、異議を唱えるわけでも判断を下すわけでもなく、事実を劇的に膨らませているわけでもありません。
オードレイ・ディヴァンには、1964年のあの3ヶ月間に私に起きた残酷な現実のすべてを、臆せず見せる勇気がありました。また、「23歳の私自身」でもあるアンヌを演じるのは、アナマリア・ヴァルトロメイ以外には考えられません。当時のことを覚えている限りでは、彼女はとてつもなく忠実かつ正確に演じています。
20年前、私は本の最後に、1964年のあの3ヶ月間に私に起きたことは、私の身体があの時代と当時のモラルを「総合的に経験」した結果だと書きました。中絶が禁止されていたあの時代から、新しい法律の制定へ。私が描いた真実を、オードレイ・ディヴァン監督は、映画の中で余すことなく伝えてくれました。
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2022/10/07