ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

上川隆也『遺留捜査』で11年演じ続けた糸村に“愛おしさ” 『木ミス』枠ラストに「歴史に恥じない作品にしたい」

 俳優の上川隆也主演のテレビ朝日系人気シリーズドラマ『遺留捜査』(毎週木曜 後8:00)の第7シーズンが、きょう14日からスタートする。2011年に第1シーズンが放送され、昨年10周年を迎えた同シリーズは、遺留品から真実を見出すという軸は変わらないながらも、ストーリーの奥行きをより広げてきた。そして同作は、23年の歴史をもつ『木曜ミステリー』枠の最後の作品にもなる。上川の俳優人生で最も長く演じ、役とじっくり向き合ってきた同作への思いと、『木ミス』最後を担うにあたっての心境を聞いた。

14日スタート『遺留捜査』に出演する上川隆也

14日スタート『遺留捜査』に出演する上川隆也

写真ページを見る

■“変わらない”『遺留捜査』、11年目迎え「“深化”が重ねられた」

――シリーズ11年目、第7シーズンを迎えた心境を教えてください。

【上川】第7シーズンでこれまでにない大きな展開を迎えるかというとそんな事は無く、むしろ一作一作重ねてきたからこその“変わらなさ”が間違いなく存在しています。でも一方では、これまで培ってきた“土台”がアップデートしていることを座組一同で実感しているところです。

たとえば新しく車を手に入れたとき、乗りはじめの段階では車と運転者の親和度はさほど深くありませんが、乗り続けていく事で運転者の練度は上がっていき、同乗者にとっても快適な時間になる……。『遺留捜査』という“乗りもの”は変わらずとも、キャスト、スタッフが一作ごとに作品の理解を深める事で、視聴者のみなさまに一層楽しんでいただける作品が届けられるなら何よりだと思います。僕自身、『遺留捜査』は年々“深化”が重ねられていると感じていて、そういう意味では第7シーズンもまた、ひと味変わったと感じられるところがあるかもしれません。

――木曜ミステリーの集大成を担う作品であることはどう受け止めていらっしゃいますか。

【上川】そうした大きな誉れを担うには、『遺留捜査』という作品は“埒外(らちがい)”にいるのではという思いもあります。事件に関わる人々の心情にまで踏み込んで描く『遺留捜査』は、刑事ドラマとしてもミステリー作品としてもある意味、スタンダードを逸脱したスタイルでお届けしてきましたから……。でも、歴々の作品が重ねてきた歴史に恥じない作品にしたいという思いは強く、そのために今できることはできる限り注ぎ込みたいと考えて全力で努めています。

――糸村を演じる上で、これだけは絶対外さずにおこうと心がけていることはありますか。

【上川】神経質な無神経さと言うんでしょうか。うまく分析できているわけではないんですが、でも糸村の中にはその二つが明確に同居していると思うんです。遺留品に向かう姿勢は集中していると思うんですけれど、糸村と関わってくれている人々に関してはどこか無神経。その相反する要素の同居が、糸村を糸村たらしめていると思います。

その辺りが彼はシーズン1からひとつも昇進しておらず、所属を転々としている理由でもあり、その処遇がまっとうな組織からの評価なんでしょう。それらをものともしない無神経さも彼の彼たる所以(ゆえん)なんだと思います。

■大きな意味を持つ“自転車”の存在 糸村だけでなく『遺留捜査』そのものを表すキーアイテムに

――唯一のシーズン1からレギュラーを続ける科捜研研究員・村木繁(甲本雅裕)とのからみを楽しみにしている方も多いですが、シーズンごとにパワーアップしている感覚はありますか。

【上川】僕がというよりは、甲本氏が年々歳々パワーアップしているように感じます。彼自身、村木という役をとても愛してくれていますし、手ぶらで撮影に臨むことがないんです。必ずアイデアを持ってくるので、飽きることがないですし、意外性が、そのシーンの駆動力に間違いなくなっていると思います。

――また、『遺留捜査』に欠かせないのが、糸村がいつも乗っている“自転車”だと思うのですが、自転車の存在は作品にどんな影響を与えているのでしょうか。

【上川】捜査の際、糸村は必ず自転車で移動するわけですが、それは糸村のスタンドアローンな立ち位置を強調していると思います。糸村が誰にも関与せず、誰にも縛られずに捜査に臨んでいることの象徴だと思っていますし、『遺留捜査』そのものをも、表しているものではないかと思います。

――では、糸村という役柄はご自身にとってどのような存在なのでしょうか。

【上川】彼は独自のアイデンティティーを持っていますし、彼がたずさえているどこか不思議な雰囲気や掴みどころのない行動を含め、中々見る事の無いキャラクターだと思っています。僕のキャリアの中で最も長く演じさせていただいている役でもあり、愛着も含めて他にはない距離を感じる人物です。

――では最も長く付き合っている『遺留捜査』という作品については?

【上川】誰しもも季節毎に「いつも着ていたい」と思うような着心地のよい一着があると思いますし、身に着けるモノが立ち振る舞いに影響を与える事も共感していただけるのではないでしょうか。僕にとって袖を通したときの心地よさ、落ち着きを感じさせてくれるのが『遺留捜査』です。心地よく身に着けた装いが、役としての思考・行動も導いてくれる……そんなふうにすら思えるのがこの作品です。

――視聴者のみなさまにメッセージをお願いいたします。

【上川】おかげさまで第7シーズンを迎え、かつ木曜ミステリー枠最後の作品という栄を賜ることができました。しかしその重みは一旦忘れて、今は撮影に臨んでいます。これまでどおり糸村と特対の面々が事件にどう向かっていくのか見守っていただければ、そして変わらぬ『遺留捜査』を、変わらずにお楽しみいただければ幸いです。

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

>

メニューを閉じる

 を検索