恋に落ちた相手が自分より何十倍も早く老いていく――そんな過酷な状況に置かれたカップルを描いたNetflix映画『桜のような僕の恋人』(3月24日配信)。主人公・朝倉晴人を演じたのはSexy Zoneの中島健人(27)。グループとして昨年、CDデビュー10周年を迎え、アーティストとしても俳優としても駆け抜けてきた。今作の撮影期間でも倒れかけるほどストイックさをみせる一方で、近年は「7割くらいでいいんじゃないか」といい意味で肩が抜けている。「運命」だという今作の撮影を振り返ると同時に、ポジティブ精神で向き合う仕事観についても語ってくれた。
今作は2017年に発売され、泣ける恋愛小説として話題となり、さらにTikTokで人気に火がつき発行部数70万部を突破した、宇山佳佑氏のベストセラー小説を深川栄洋監督が実写化。カメラマンを志しながらも挫折し冴えない日々を送っていた晴人はある日、美容師の美咲(松本穂香)に恋をする。もう一度夢へと歩み出し、美咲とカップルとなり幸せな時間を過ごす晴人だったが、美咲が「人の何十倍も早く老いていく」という難病を発症してしまう…。
■「すべてをかける想いで」――運命の原作にのめり込んだ撮影期間
ジャニーズ事務所のタレントでNetflix映画初主演。「自分が世界配信での、先陣を切らせていただいたのはとても光栄です。一番手として飛び込めたことは、ワクワクする。日本人としてもコロナ禍でも世界に飛び出していけるのは、チャンスだと思っている。これから映画にチャレンジしていく後輩や、俳優さんの希望になれば嬉しいです。このお話を聞いたときはある種、運命だと思いました」と喜びと同時に重みを噛みしめる。
元々、原作を書店で出会って購入、大ファンになったという中島にとって、より“運命”めいたものも感じていたこの作品。だからこそ「すべてをかける想いで挑みました。このご縁に感謝しながらすべてをかけなければ。表現者としての基盤をこの作品で作ろうという気持ちでした」と熱い想いを打ち明ける。
キャスティングされる以前から晴人を演じるなら…というビジョンも描いていた。ただ、「僕が予想外だったのは、自分がイメージしていた晴人と監督がつくる晴人が違ったことです。僕のイメージしていた晴人はさわやかだったけど、監督が作る晴人はモサめのナヨナヨしている感じ。そこの考え方のギャップにワクワクしました」と深川監督だからこその人物像や世界観に胸を踊らせた。
現場では、美咲を演じる松本と役を交代して演じてみたり、深川監督のアイディアで中島は台本には晴人と会わない間の美咲の描写をまるごと空欄にしたり…と役作りの上でさまざまな試みがなされた。「僕が知らない美咲さんの時間軸のことは、知らない方がいい。そんな丁寧に作られた台本はなかなかないです。この作品、環境づくりに注力してくださったスタッフのみなさんには感謝しかない。自分はなにも考えずにゼロの状態で脚本に挑むことができました」とこのチームだからこそ出来上がった“晴人”でもある。
俳優業のみならずさまざまなジャンルの仕事を並行する中島だが「この作品に関しては(集中力を)途切れさせたくなかった。それくらい想いが強く逆に切り替えてはいけないと思いました。役者の先輩はやっぱり『切り替え』というのですが、そのロジックがこの作品には通用しないと思っていた。そういう意味では春をイメージした音楽を聞いて、晴人を自分のそばから離れさせないようにする努力はしていました」と常に晴人を考え、晴人として生きた撮影期間だった。
■現場では“苦労”はしても“苦戦”はしていない「ここまで心を削った作品はこれが初めて」
並々ならぬ想い入れで臨んだからこそ「本当に苦労しました。全部のシーンが大変でした」と振り返る。「特に涙のシーンは、ものすごく難しい。ただ単純にしずくが落ちれば感動するわけじゃない。『この人、思わず泣いちゃったんだな』というのが美しい涙のシーンであり、それを追求するのは難しい。いかに現場で自然に立ち回るかを、この現場で学びました。きれいに流れるのだけが正義じゃないし、ボタッといくのがいいのかもしれない…」
「『桜〜』も『かのきれ』(昨年の夏クールに主演した恋愛ドラマ『彼女はキレイだった』)も、その点に関して自然にできた気がします。この作品が影響して、表現者としての背中を後押ししてくれているのは間違いない。監督がものすごく厳しく繊細な表現にこだわる。テイクも重ねましたし、洗練されていった部分が大きいと思います」と手応え。
困難だったシーンはありながらも「苦戦はしていない」と言い切る。例えば「泣いているところは苦戦しなかったので監督から『本当に苦手なの?』と言われたくらい(笑)。得意ではないですし、切り替えができる人間ではないけど環境がそうさせるし、そうじゃないとき泣く必要もない。大変だったのは、美咲さんと晴人が桜の下を歩くシーン。そこはなかなか監督の正解にいかなかったので、OKがすぐ出るかと思ったらそんなに甘くない現場でした」。
「全部のシーンが大変でした。大変で倒れかけたシーンもあった。スタッフさんに支えられて介抱してもらって。それくらい役に入り込んで大変なときもあった。ここまで心を削った作品はこれが初めてです。だから今も、すでに撮影から10ヶ月経った今でも、こんなにしゃべれるんだと思います」と心に深く刻まれた作品になった。
■「つらいこと、失敗したことはチャンス」心の余裕が生んだポジティブ精神
物語の序盤、くすぶっていた晴人は太陽のような美咲の存在に導かれ、もう一度、人生を生き直す。大切な存在がいるから頑張れる、そんな晴人に共感する部分として「ブログの毎日更新が今年の8月くらいで5年目くらいになるんです。読んでくださるみなさまのために頑張れると思うし、ファンのみなさんはもちろん、家族はいつも応援してくれている。家族のために、未来を作っていこうと思っています」と話す。
また「20代後半を生きていくなかで、最近は本当に自分の価値観に近い友だちが集まってきた。20代前半は価値観の範囲が広いからいろんな人間が周りにいたんですけど今、27歳になって自分の周りにいる方は自分と考え方が近く、似た者同士によるコミュニティーの密度が高くなってきました。そういう友人のために、もっと刺激を与えたいから、もっと仕事を頑張ろう、とか今までにない感覚が芽生えました。今回の作品もそうですし、去年ドラマで共演した同世代の人間だったり…いいご縁が増えたと思います」と新たなモチベーションも生まれた。
そんな中島が仕事をする上で大切にしていることは「いかに、現場を楽しむか、だと思います」という。「これは好き、これは嫌というのも判別しすぎると、可能性をつぶしている気がする。今の僕の考え方では“柔軟に、楽観的に、7割くらい”でいいんじゃないかな。つらいこと、失敗したことはチャンスだと思った方がいいかも。失敗したほうが面白いかもと思います」。
「例えば『ミュージックステーション』の過去映像特集で、大体流れるのは本番に出演しなかった方や、階段で転ぶアーティスト、歌詞を忘れるジャニーズの先輩だったり…そういうのが歴史に残る。意外と面白いなって。失敗すれば、必ずいいことがある、と思えれば楽観的になれるし、結構適当でもいいかも」と軽やかに笑う。
「自分の人生観や仕事とライフスタイルは直結しているので、僕は区別したことはないですが、自分の時間を大切にできたら楽観的になれる。常に追われている感じだと、余裕がないので、ものごとをネガティブに捉えちゃう。自分の時間を大切にしていれば余裕が生まれるんじゃないかな。その確保の仕方が難しかったりするんですけどね」。役を突き詰め、真剣に向き合うなかでも、柔軟に、楽しむことを忘れない。培ってきたさまざまな経験が、自信や余裕を生み、今のスタイルを確立させている。
今作は2017年に発売され、泣ける恋愛小説として話題となり、さらにTikTokで人気に火がつき発行部数70万部を突破した、宇山佳佑氏のベストセラー小説を深川栄洋監督が実写化。カメラマンを志しながらも挫折し冴えない日々を送っていた晴人はある日、美容師の美咲(松本穂香)に恋をする。もう一度夢へと歩み出し、美咲とカップルとなり幸せな時間を過ごす晴人だったが、美咲が「人の何十倍も早く老いていく」という難病を発症してしまう…。
■「すべてをかける想いで」――運命の原作にのめり込んだ撮影期間
ジャニーズ事務所のタレントでNetflix映画初主演。「自分が世界配信での、先陣を切らせていただいたのはとても光栄です。一番手として飛び込めたことは、ワクワクする。日本人としてもコロナ禍でも世界に飛び出していけるのは、チャンスだと思っている。これから映画にチャレンジしていく後輩や、俳優さんの希望になれば嬉しいです。このお話を聞いたときはある種、運命だと思いました」と喜びと同時に重みを噛みしめる。
元々、原作を書店で出会って購入、大ファンになったという中島にとって、より“運命”めいたものも感じていたこの作品。だからこそ「すべてをかける想いで挑みました。このご縁に感謝しながらすべてをかけなければ。表現者としての基盤をこの作品で作ろうという気持ちでした」と熱い想いを打ち明ける。
キャスティングされる以前から晴人を演じるなら…というビジョンも描いていた。ただ、「僕が予想外だったのは、自分がイメージしていた晴人と監督がつくる晴人が違ったことです。僕のイメージしていた晴人はさわやかだったけど、監督が作る晴人はモサめのナヨナヨしている感じ。そこの考え方のギャップにワクワクしました」と深川監督だからこその人物像や世界観に胸を踊らせた。
現場では、美咲を演じる松本と役を交代して演じてみたり、深川監督のアイディアで中島は台本には晴人と会わない間の美咲の描写をまるごと空欄にしたり…と役作りの上でさまざまな試みがなされた。「僕が知らない美咲さんの時間軸のことは、知らない方がいい。そんな丁寧に作られた台本はなかなかないです。この作品、環境づくりに注力してくださったスタッフのみなさんには感謝しかない。自分はなにも考えずにゼロの状態で脚本に挑むことができました」とこのチームだからこそ出来上がった“晴人”でもある。
俳優業のみならずさまざまなジャンルの仕事を並行する中島だが「この作品に関しては(集中力を)途切れさせたくなかった。それくらい想いが強く逆に切り替えてはいけないと思いました。役者の先輩はやっぱり『切り替え』というのですが、そのロジックがこの作品には通用しないと思っていた。そういう意味では春をイメージした音楽を聞いて、晴人を自分のそばから離れさせないようにする努力はしていました」と常に晴人を考え、晴人として生きた撮影期間だった。
■現場では“苦労”はしても“苦戦”はしていない「ここまで心を削った作品はこれが初めて」
「『桜〜』も『かのきれ』(昨年の夏クールに主演した恋愛ドラマ『彼女はキレイだった』)も、その点に関して自然にできた気がします。この作品が影響して、表現者としての背中を後押ししてくれているのは間違いない。監督がものすごく厳しく繊細な表現にこだわる。テイクも重ねましたし、洗練されていった部分が大きいと思います」と手応え。
困難だったシーンはありながらも「苦戦はしていない」と言い切る。例えば「泣いているところは苦戦しなかったので監督から『本当に苦手なの?』と言われたくらい(笑)。得意ではないですし、切り替えができる人間ではないけど環境がそうさせるし、そうじゃないとき泣く必要もない。大変だったのは、美咲さんと晴人が桜の下を歩くシーン。そこはなかなか監督の正解にいかなかったので、OKがすぐ出るかと思ったらそんなに甘くない現場でした」。
「全部のシーンが大変でした。大変で倒れかけたシーンもあった。スタッフさんに支えられて介抱してもらって。それくらい役に入り込んで大変なときもあった。ここまで心を削った作品はこれが初めてです。だから今も、すでに撮影から10ヶ月経った今でも、こんなにしゃべれるんだと思います」と心に深く刻まれた作品になった。
■「つらいこと、失敗したことはチャンス」心の余裕が生んだポジティブ精神
物語の序盤、くすぶっていた晴人は太陽のような美咲の存在に導かれ、もう一度、人生を生き直す。大切な存在がいるから頑張れる、そんな晴人に共感する部分として「ブログの毎日更新が今年の8月くらいで5年目くらいになるんです。読んでくださるみなさまのために頑張れると思うし、ファンのみなさんはもちろん、家族はいつも応援してくれている。家族のために、未来を作っていこうと思っています」と話す。
また「20代後半を生きていくなかで、最近は本当に自分の価値観に近い友だちが集まってきた。20代前半は価値観の範囲が広いからいろんな人間が周りにいたんですけど今、27歳になって自分の周りにいる方は自分と考え方が近く、似た者同士によるコミュニティーの密度が高くなってきました。そういう友人のために、もっと刺激を与えたいから、もっと仕事を頑張ろう、とか今までにない感覚が芽生えました。今回の作品もそうですし、去年ドラマで共演した同世代の人間だったり…いいご縁が増えたと思います」と新たなモチベーションも生まれた。
そんな中島が仕事をする上で大切にしていることは「いかに、現場を楽しむか、だと思います」という。「これは好き、これは嫌というのも判別しすぎると、可能性をつぶしている気がする。今の僕の考え方では“柔軟に、楽観的に、7割くらい”でいいんじゃないかな。つらいこと、失敗したことはチャンスだと思った方がいいかも。失敗したほうが面白いかもと思います」。
「例えば『ミュージックステーション』の過去映像特集で、大体流れるのは本番に出演しなかった方や、階段で転ぶアーティスト、歌詞を忘れるジャニーズの先輩だったり…そういうのが歴史に残る。意外と面白いなって。失敗すれば、必ずいいことがある、と思えれば楽観的になれるし、結構適当でもいいかも」と軽やかに笑う。
「自分の人生観や仕事とライフスタイルは直結しているので、僕は区別したことはないですが、自分の時間を大切にできたら楽観的になれる。常に追われている感じだと、余裕がないので、ものごとをネガティブに捉えちゃう。自分の時間を大切にしていれば余裕が生まれるんじゃないかな。その確保の仕方が難しかったりするんですけどね」。役を突き詰め、真剣に向き合うなかでも、柔軟に、楽しむことを忘れない。培ってきたさまざまな経験が、自信や余裕を生み、今のスタイルを確立させている。
2022/03/01