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『トクサツガガガ』『まんぷく』『3年A組』らが受賞 深夜ドラマが3部門「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」発表

 オリコンによるエンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』が主催し、有識者と視聴者が共に支持する質の高いドラマを表彰する「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」。第15回目となる今回は、19年1月クール放送の主要ドラマと、クールをまたいで放送されたNHK連続テレビ小説など、計20作品を対象に、「作品賞」をはじめ全7部門を決定した。

「作品賞」を受賞したのは、小芝風花主演のNHK総合ドラマ10『トクサツガガガ』(C)NHK

「作品賞」を受賞したのは、小芝風花主演のNHK総合ドラマ10『トクサツガガガ』(C)NHK

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◆NHKが“本気”で挑んだ『トクサツガガガ』が作品賞を受賞

 今回、“最も質の高いドラマ”として「作品賞」を受賞したのは、丹羽庭氏の同名漫画を実写化した、小芝風花主演のドラマ10『トクサツガガガ』(NHK総合)だ。本作は、戦隊ヒーローなどの「特撮ドラマ」をこよなく愛す商社勤めのOL・仲村叶(小芝)の日々の奮闘を綴ったコメディードラマ。女の子らしさを好む毒親、職場の同僚など、周囲に特撮オタクであることを隠して暮らしてきた仲村が、特撮オタクの先輩である吉田さん(倉科カナ)や、男性アイドルオタクの同僚・北代さん(木南晴夏)、特撮好きの小学3年生・ダミアン(寺田心)、菓子店「おかしのまつもと」で店番をする任侠さん(竹内まなぶ)など、新たな仲間たちとの出会いによって「好きなものは好き!」と、自分自身を解放していく様子がユーモアたっぷりに描かれた。

 特撮オタクを題材にしながらも、描かれているのは、日常に息苦しさを感じている人なら誰もが共感できるような人生讃歌。視聴者によるドラマ満足度調査「オリコン ドラマバリュー」では、全話平均75.4%と好数値をマーク。普遍性のある物語だったからこそ、幅広い層に支持されたと言えるだろう。

 そして、本作を語るうえで欠かせないのが、特撮パートのクオリティの高さだ。劇中には主人公が好きな特撮ヒーロー作品として、『獅風怒闘ジュウショウワン』、『救急機エマージェイソン』と2作の架空のドラマが登場。長年、特撮番組を作り続けている東映が撮影協力する本気度の高さで、ヒーロースーツや戦闘シーン、主題歌に至るまで、こだわりの仕上がりとなっており、フィギュア等の関連グッズにも抜かりがない。NHKだからこそ成し得たクオリティとも言えるが、実現したのは制作陣が全身全霊で挑んだ結果であり、その熱量がSNS等で大きなバズを引き起こしたのだろう。

◆連ドラ単独初主演の光石研、19年ぶり「日曜劇場」主演の常盤貴子が存在感を発揮

 「主演男優賞」は、深夜ドラマ木ドラ25『デザイナー渋井直人の休日』(テレビ東京系)で、俳優生活40年にして初の連続ドラマ単独主演を果たした光石研が受賞した。渋谷直角氏の同名漫画を実写化した本作で光石が演じたのは、仕事もプライベートも充実した52歳独身のデザイナー・渋井直人。光石は、細やかな仕草や表情でちょっぴり哀愁漂う主人公の日常を体現し高評価を得た。

 一方の「主演女優賞」は、『グッドワイフ』で19年ぶりにTBS系「日曜劇場」枠の主演を務めた常盤貴子が受賞した。アメリカの人気ドラマが原作の『グッドワイフ』は、専業主婦としてエリート検事の夫(唐沢寿明)、2人の子ども(小林喜日、安藤美優)を支えてきた主人公・蓮見杏子が、汚職容疑による夫の逮捕を機に16年ぶりに前職の弁護士に復帰し、弁護士として、人間として成長していく姿を描いたリーガルヒューマンエンタテインメント。常盤は夫への不信感や世間から向けられる好奇の目、仕事のブランクなど、数々の困難に悪戦苦闘しながらも懸命に立ち向かう杏子を好演した。

松尾スズキがデリヘル店オーナー役を好演、松坂慶子は“うざ可愛い”母親役で新境地

 「助演男優賞」は、鈴木良雄氏の同名漫画を原作に、デリバリーヘルス店で働くワケあり女性たちの悲喜こもごもを描いたドラマ24『フルーツ宅配便』(テレビ東京系)に出演した松尾スズキが受賞。『凶悪』(2013年)、『孤狼の血』(2018年)の白石和彌氏を筆頭に、映画シーンで活躍する沖田修一氏、是安祐氏の3人が監督を、濱田岳ら個性豊かな実力派キャストが名を連ね、深夜帯のドラマながら、映画さながらの映像が実現した本作で松尾が演じたのは、デリヘル店「フルーツ宅配便」のオーナー・ミスジ。松尾は、強面で怪しくも心優しい男を体現し、見事に作品の世界観を作り上げた。

 「助演女優賞」は、18年度後期(18年10月〜19年3月)の連続テレビ小説『まんぷく』でヒロインの福子(安藤サクラ)の母親・今井鈴を演じた松坂慶子が受賞。鈴は「私は武士の娘です」が口癖で、しっかり者である反面、心配性な性格の持ち主。松坂は煩わしくも憎めない“うざ可愛い”キャラクターを魅力的に演じ、ベテラン女優ながら新たな一面をのぞかせた。

◆“狂気”の演技、展開で注目を集めた『3年A組』と『絶対正義』

 「脚本賞」は、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の武藤将吾氏が受賞。武藤氏は、主人公の教師・柊一颯(菅田将暉)が担当生徒29人を人質にとり、自殺したクラスメート・影山澪奈(上白石萌歌)の死の真相を明らかにするため「授業」を行っていく、謎と事件が絡み合うミステリーをオリジナル脚本で展開した。

 都度、状況が変化していくジェットコースターのような流れから、視聴率は中盤以降、右肩上がりで推移し、最終回では平均15.4%と同「日本テレビ系 22:30枠」最高の最終回視聴率を記録した。影山の死の真相が「SNSによる暴力」という着地点については、賛否両論の意見が寄せられたが、そんな反響も含め、ドラマ界に一石を投じる熱量のある作品だったことが高く評価された。

 同じく“狂気”の演技で注目を集めたのは、深夜帯のオトナの土ドラ『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系)で主人公・高規範子(山口紗弥加)の高校生時代を好演した白石聖。「新人賞」を受賞し、人生で初の“女優賞”を獲得した。範子は法律のみを唯一の価値基準として生きる“絶対正義”の女性。主人公の高校時代こそが物語のカギとなり、白石は感情が欠落した範子の心情を声のトーンや視線で巧みに表現し、圧巻の存在感を放った。

 今期、特筆すべき点は「深夜ドラマ」のクオリティの高さ。その勢いを証明するように、7部門中3部門を23時以降のドラマが制し、審査会でも多くの審査員が、「ゴールデンタイムをしのぐ出来栄えだった」と称賛していた。ちなみに、2018年の年間大賞では、土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ』が「作品賞」を受賞。現在放送中の4月期ドラマにおいても、ドラマ24『きのう何食べた』(テレビ東京系)や土曜ナイトドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系)など、深夜帯の作品が話題をリードしている。深夜からヒットドラマが生まれる流れが定着しつつあるようだ。

※「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」とは
オリコンのグループ会社oriconMEが発行する、週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』が主催し、有識者と視聴者が共に支持する「質の高いドラマ」を表彰する賞。視聴者の評価は、『コンフィデンス』が毎週、約700名を対象に調査しているドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」の累積平均データを使用。審査員の投票結果と合計したうえで、最終的には有識者14名による審査会で決定する。


【『第15回 コンフィデンスアワード・ドラマ賞』特集】
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関連写真

  • 「作品賞」を受賞したのは、小芝風花主演のNHK総合ドラマ10『トクサツガガガ』(C)NHK
  • 「主演男優賞」を受賞した光石研 (撮影:逢坂聡)
  • 「主演女優賞」を受賞した常盤貴子 (撮影:片山よしお)
  • 「作品賞」を受賞したのは、小芝風花主演のNHK総合ドラマ10『トクサツガガガ』(C)NHK

提供元:CONFIDENCE

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