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脚本家・古沢良太氏が語る、新月9『コンフィデンスマンJP』の海外展開

 フジテレビは、古沢良太脚本の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』が、日中韓で同時製作されていることを、アジア最大の映像コンテンツ見本市『香港フィルマート』(3月19日〜22日開催)で発表した。企画段階から今回の海外展開プロジェクトに協力する古沢氏に、実現に至った経緯などを同会場にてたずねた。

◆脚本家も企画の先頭に立ってチャレンジするべき

 脚本の段階で、異なる言語圏・文化圏での製作がスタートすることは極めて異例。日本のテレビドラマでは初の試みとなる。脚本家の古沢良太氏が事前に書き上げた全10話分の脚本をもとに、韓国側は公共放送局のKBSが出資するスタジオ・インビクタスが、中国側は最大手の製作会社(社名は後日発表)が、それぞれ自国版の製作をスタートしたところである。大規模な海外展開プロジェクトに挑んだ理由を古沢氏はこのように説明する。

 「日本のドラマは限られた条件の中で脚本作りが行われることがほとんど。脚本主導で進められていくことが当たり前のはずなのに、そうはなっていない。でも、それでは良い作品を生み出す可能性は低くなってしまう。韓国のドラマは日本よりも先行して世界と戦っています。

 中国はすごい資金力と人の熱意があります。今の時代、世界で戦っていくために脚本家も汗をかいて、責任を負うことも含めて企画の先頭に立ってチャレンジしなきゃいけないと思います。だから、フジテレビの成河さん(フジテレビ編成制作局 企画担当部長)から今回の日中韓同時製作の提案を受けた時、迷いなく即答しました」(古沢氏)

 古沢氏が完成させた脚本は「欲望や金」をテーマに、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)という3 人の信用詐欺師たちが金融、不動産、芸能、美容業界などさまざまな業界を舞台に騙し騙されする痛快エンタテイメントコメディが1話完結で展開される。

 古沢氏は「月9をほぼ意識せずに書き上げました」と話す。日韓中同時製作を見据えた創作活動は古沢氏にとって初めてのことだった。

 「中国の場合は規制が厳しい事情もあり、どの国でも話の本筋としては問題なく展開でき、どの国でも面白いと思えるものを目指しました。ダー子さんたちが変装する衣装が着物や忍者など、細部でローカル版の遊びを作ることができる工夫もあります。“コンゲーム”という騙し合いの物語を1人で10個分作ることそのものがチャレンジングなことで、書き始めてから完成するまで1年かかりましたが、楽しかったです」
◆中国市場でリメイク20作品、フジの新たなチャレンジ

 今回のプロジェクトが実現するに至った背景には、フジテレビが他局よりも先行して中国市場に向けてこれまで約20作品、韓国ではここ5年で12作品のリメイクを成立させてきたことも大きい。

なかでもドラマ『デート 〜恋とはどんなものかしら〜』など古沢作品の人気は高く、「古沢さんの脚本には価値があり、その名前だけでアジアで売れます」と、フジテレビ総合事業局 コンテンツデザイン部 部長職の久保田哲史氏は話す。

同局のこれまでの実績と、海外でも評価が高い古沢作品だからこそ、リメイク作品とは異なる新しい取り組みにチャレンジすることができたということだ。

 「リメイクの場合、完成したオリジナルを尊重して作るため、応用度は少なくなります。一方、今回のケースは脚本をもとに各国で一から製作するので、キャスティングから演出まで自由度は高くなります。中国版と韓国版の製作にフジテレビも参加していきますが、完成するまで各国版がどのような仕上がりになるのかわからない分、互いの製作意識がより高まることに面白さがあります」(久保田氏)

 フジテレビが仕掛けた、脚本ありきのドラマ作りに韓国も中国も賛同し、同時製作に取り掛かっている。完成後は日中韓それぞれの各国版が世界に販売されるだろうし、新たなローカル版製作にも繋がっていくことも十分にあり得る。世界ヒットの可能性をあらゆる角度から探る手法だ。

文/長谷川朋子

(『コンフィデンス』 18年4月2日号掲載)



関連写真

  • 『 香港フィルマート』の会場で香港最大手通信メディア PCCW のインタビューを受ける古沢良太氏(右)。日本版『コンフィデンスマンJP』はPCCW を通じて、東南アジア各国に直後配信されるほか、世界82 の国と地域での放送・配信が決定している。
  • 『 香港フィルマート』会場の様子

提供元:CONFIDENCE

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