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『スター・ウォーズ』マーク・ハミルのジレンマ それでも「愛している」

 1977年〜83年に公開された映画『スター・ウォーズ』旧3部作で、主役のジェダイ騎士ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミル(66)。2015年に公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』からはじまる新たな3部作への出演には、乗り気ではなかったというが、出演を決めた経緯とは? 今年7月に米カリフォルニア州アナハイムで開催された『D23 Expo 2017』のステージイベントの翌日に行われたインタビューでマークはこう語っている。「もし、僕だけ出演を断ったら、ファンから総スカンを食らい、最も嫌われる男になること間違いなしだものね」。

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 何が起こっていたかというと、2012年の夏に『スター・ウォーズ・セレブレーション』(ファンイベント)の集まりがあって、ジョージ(ジョージ・ルーカス)からランチに誘われたんだ。僕は、これは何かあるな、と思ったけど、まさか自分が60歳を過ぎて『スター・ウォーズ』の続きをやるとは思いもしなかった。

 妻のマリロウは「また3部作を作るんじゃない?」と、冗談半分で言っていたんだけど、僕は「エピソード1、2、3があって、エピソード4、5、6があって、それで物語はおしまい」と思っていたから。Blu-rayを売るために、宣伝に協力してほしいと頼まれるんじゃないか、と考えていた。

 食事の席にはキャリー(キャリー・フィッシャー)もいてね。そうしたらジョージが、「会社を(ディズニーに)売ることを決心したんだ。キャスリーン(現在のルーカス・フィルム社長のキャスリーン・ケネディ)が跡を継ぎ、そこで新しい3部作を作ることになったんだけど、君たちが引き続きルークやレイアをやりたいのであれば、ほかのキャストを配役しないようにしておくよ」と言ってきた。

 キャリーは「私はやるわよ!」と、即答だった。その上、「娘のビリー(ビリー・ラード)ができる役はないの?」とまで聞いていたよ(笑)。僕はそれをポーカーフェイスで眺めていただけで、出るとも出ないとも言わずにその場をやり過ごしたんだ。

 僕は、新しい物語に戻るべきかどうか、わからなかった。気が進まない仕事を無理してやらなくても、暮らしていけるくらいの蓄えはあるしね。妻は「もっと働け」というだろうけどさ(笑)。その妻が「ハリソン(ハリソン・フォード)はきっと戻ってこないわよ」と言ったんだ。たしかにハリソンは僕なんかより、ずっとお金持ちだし、へそ曲がりなところもあるし(笑)。「スター・ウォーズ」はもうこりごりだって思っているはずだと、僕も思った。ハリソンが出ないなら、僕も出ない。いい口実になると思っていたんだ。ところがだよ、ハリソンが出るって知らせが届いて、これはもう召集令状を受け取ったようなものだよ(笑)。もし、僕だけ出演を断ったら、ファンから総スカンを食らい、最も嫌われる男になること間違いなしだものね。

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 「スター・ウォーズ」の世界に戻ってくることに葛藤があったことを明かしたマーク。そうならざるを得なかった、「スター・ウォーズ」後の俳優人生についても言及していた。

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 まあ、聞いてくれよ。「スター・ウォーズ」のジレンマというのは、この作品があまりにも有名で、大きすぎるところにあるんだ。僕の好みであろうがなかろうが、もう関係がないということなんだよ。例えば、僕がブロードウェイの舞台劇に出演したとして、君たちメディアは、舞台劇のことで僕に話しかけてこようとは思わないでしょう? アニメーションの仕事をしたってそうさ。アニメーションの専門誌くらいは話を聞きに来てくれるかもしれないけど。7月28日に公開される『Brigsby Bear』という映画にも僕は出ているんだけどね。「スター・ウォーズ」以外の作品で僕に興味を持つ人はいないんじゃないか、と思ってしまうくらいにこの作品は…。本当にやりすぎなんだ。

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 『フォースの覚醒』は、「ルークが姿を消した」ことが発端。レイア(キャリー・フィッシャー)が率いる反乱軍と、帝国軍の残党たちが築いたファースト・オーダーの両方がルークの行方を追う争いに巻き込まれた新ヒロインのレイ(デイジー・リドリー)がフォースを覚醒させ、ルークを見つけたところで終わっている。ルークはラストシーンで登場しただけで、せりふもなかったが、最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(12月15日公開)では、ルークが物語の鍵を握っているのは間違いなさそう。そんな新しい「スター・ウォーズ」を、マークも楽しんでいるようも見えるのだが…。

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 ああ、愛しているよ。ものすごく楽しい。怖いことがあるとすれば、この楽しさがいつまでも続いてしまうということだね。セットに入って、そこに何十台ものカメラがあって、そのカメラが自分に向けられ、近くまで寄ってくるものあるという状況を経験してしまうと、それを知らなかった頃の自分には戻ることはできない。しかもでき上がった映画を、どれだけ多くの人が観ることになるのかと思うと、ね。その上、この作品は忘れ去られることが全くない。僕がこれまでにかかわってきた数々のプロジェクトの中でも、この「スター・ウォーズ」はファンの人たちの情熱や熱心さをとってみても、ほかに比べられる作品がないほど、とんでもないものなんだよ。

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 最後に昨年12月27日に60歳で亡くなったキャリー・フィッシャーさんについて、聞いた。

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 本当にほろ苦い思いだよ。僕は妻から電話でキャリーが亡くなったことを知らされた。「スター・ウォーズ」がそんな仕打ちを受けるなんてありえない、と思ったね。彼女の身の施し方のタイミングはたいてい完璧だったんだ。なのに、なぜ、今回は間違えたんだって。ある種の怒りのような感情さえこみ上げてきた。彼女はエミー賞にも出るべきだったし、『エピソード9』にもいるべきだったのに。

 彼女がこれまでに僕たちに与えてくれたことに感謝すべきだ、と思っている。それでも、今でも彼女のことを過去形では語れない。彼女を好きでいることを止められそうにもない。彼女がいなくて寂しいと思い続けるだろう。でも、彼女は僕たちが悲しがることを望んでいないかもしれないよね。もしかしたら、彼女は僕が余計なことを言わないように、ここに見に来ているかもしれないし。ほら、君たちの後ろに…、なんて、すまないね。



関連写真

  • 映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(12月15日公開)のプレゼンテーションに登場したルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミル=『D23 Expo 2017』(C)2017 Getty Images
  • ライトセーバーがルークのもとに!(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
  • 30年の間にルークに何が起こったのか(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

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