女優の松嶋菜々子が主演するフジテレビ系『山崎豊子ドラマスペシャル 女の勲章』がきょう15日とあす16日(両日とも後9:00〜)の2夜連続で放送される。
原作者の山崎豊子さんは、新聞社に記者として勤務する傍ら小説を書き始め、『花のれん』で第35回直木賞を受賞し、作家活動に専念。『女の勲章』のほか、『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』『大地の子』『沈まぬ太陽』など、数多くの作品が映画・ドラマ化されて人気を博した。そんな山崎さんの作品の中でも、『女の勲章』は数少ない女性が主人公の物語だ。
ドラマの舞台は山崎さんが生まれ育った大阪・船場で始まり、神戸・甲子園・京都など関西を中心に展開する。主人公・大庭式子(松嶋)は船場の羅紗問屋の娘として育ったが、戦争で家族や家を失ってしまう。焼け野原の中、闇市で1台のミシンを見つけた式子は、幼少の頃から興味があった洋服、婦人服の時代がこれから来ると感じ、洋裁教室を始める。それは、服飾学校となり、チェーンスクールへと発展。自らもデザイナーとしてデビューし、東京進出さらに世界へと羽ばたいていくストーリーが展開する。
戦後の復興から、高度経済成長時代を迎えて貪欲になった社会を象徴するように、強い執念で表舞台に立ち、したたかに成功の階段を上っていく主人公。その裏で、男たちに翻弄され、その人生は愛と悲しみに彩られていく。
奇しくも4月1日までNHKで放送された連続テレビ小説『べっぴんさん』と時代や場所が重なる。あちらは焼け野原の神戸からベビー・子ども服メーカーを起業した女性たちの物語だった。ヒロインには3人の女性の仲間がいたが、ドラマ『女の勲章』にも洋裁教室時代からの式子の愛弟子として、津川倫子(ミムラ)、坪田かつ美(相武紗季)、大木富枝(木南晴夏)という3人の女性が登場する。こちらの3人は、恐ろしいまでの野心、欲望を内に秘め、時に感情をむき出しにする。原作者・山崎さんならではの、人間の暗部をえぐるような筆致が冴える人物を、3人の女優たちが熱演している。
女たちをドロドロに引きずり込むのは、一人の男。服飾学校の立ち上げから式子を支え、次第にその経営的手腕により式子に取って代わっていく八代銀四郎を玉木宏が演じる。玉木といえば、連続テレビ小説『あさが来た』でヒロインの夫を好演していたことが思い出される。相変わらず艶っぽい男を演じているのだが、今回は完全に夜の艶。式子と3人の弟子たちを利用し、翻弄していく役どころだ。ちなみに、『あさが来た』の舞台も大阪・船場で、幕末生まれのヒロインは女性起業家のパイオニアだった。
『女の勲章』を手掛けたプロデューサーの太田大氏は、ドラマの制作を初公表する際、次のようなコメントを寄せていた。「決して器用ではないけれど情熱的に刹那的に人生を駆け抜けた式子。彼女のような女性の存在が、いまの女性たちの活躍の礎を築いたのではと感じており、今こそ式子の生き様を映像で蘇らせるべきと考えています。現代を生きるすべての女性の皆さんにエールを送れるような作品にできたらと思います」。
しかしながらこのドラマは、女性を男性に置き換えて観ても良い気がする。どんな時代も、何か新しいことをしようとすれば、女だろうが男だろうが、邪魔されたり、利用されたり、翻弄されたりするものだ。『べっぴんさん』を観ていた視聴者なら、『女の勲章』との表裏一体感でより物語を豊かに楽しめると思う。
『女の勲章』では、松嶋が着こなした60着以上もの服や帽子などのファッションも見どころ。原作者の山崎さんは新聞記者時代、ファッションの担当だったこともあり、自身も衣装持ちだった。作品を描く際、いつも緻密な取材をすることで知られる山崎さんだが、その日の天気を見ながら帽子からスーツ、手袋、靴に至るまでトータルコーディネートをして、取材に出かけていたという。
12日から東京・新宿伊勢丹本館4階の特設展示スペース「センターパーク/プロモーション」で特別展『山崎豊子ドラマスペシャル 女の勲章』が開催されており、松嶋が身にまとった衣装や、山崎さんの直筆原稿、私物の帽子などが展示されている。一部の商品は購入することもできる。18日まで。<記者コラム>
原作者の山崎豊子さんは、新聞社に記者として勤務する傍ら小説を書き始め、『花のれん』で第35回直木賞を受賞し、作家活動に専念。『女の勲章』のほか、『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』『大地の子』『沈まぬ太陽』など、数多くの作品が映画・ドラマ化されて人気を博した。そんな山崎さんの作品の中でも、『女の勲章』は数少ない女性が主人公の物語だ。
戦後の復興から、高度経済成長時代を迎えて貪欲になった社会を象徴するように、強い執念で表舞台に立ち、したたかに成功の階段を上っていく主人公。その裏で、男たちに翻弄され、その人生は愛と悲しみに彩られていく。
奇しくも4月1日までNHKで放送された連続テレビ小説『べっぴんさん』と時代や場所が重なる。あちらは焼け野原の神戸からベビー・子ども服メーカーを起業した女性たちの物語だった。ヒロインには3人の女性の仲間がいたが、ドラマ『女の勲章』にも洋裁教室時代からの式子の愛弟子として、津川倫子(ミムラ)、坪田かつ美(相武紗季)、大木富枝(木南晴夏)という3人の女性が登場する。こちらの3人は、恐ろしいまでの野心、欲望を内に秘め、時に感情をむき出しにする。原作者・山崎さんならではの、人間の暗部をえぐるような筆致が冴える人物を、3人の女優たちが熱演している。
女たちをドロドロに引きずり込むのは、一人の男。服飾学校の立ち上げから式子を支え、次第にその経営的手腕により式子に取って代わっていく八代銀四郎を玉木宏が演じる。玉木といえば、連続テレビ小説『あさが来た』でヒロインの夫を好演していたことが思い出される。相変わらず艶っぽい男を演じているのだが、今回は完全に夜の艶。式子と3人の弟子たちを利用し、翻弄していく役どころだ。ちなみに、『あさが来た』の舞台も大阪・船場で、幕末生まれのヒロインは女性起業家のパイオニアだった。
『女の勲章』を手掛けたプロデューサーの太田大氏は、ドラマの制作を初公表する際、次のようなコメントを寄せていた。「決して器用ではないけれど情熱的に刹那的に人生を駆け抜けた式子。彼女のような女性の存在が、いまの女性たちの活躍の礎を築いたのではと感じており、今こそ式子の生き様を映像で蘇らせるべきと考えています。現代を生きるすべての女性の皆さんにエールを送れるような作品にできたらと思います」。
しかしながらこのドラマは、女性を男性に置き換えて観ても良い気がする。どんな時代も、何か新しいことをしようとすれば、女だろうが男だろうが、邪魔されたり、利用されたり、翻弄されたりするものだ。『べっぴんさん』を観ていた視聴者なら、『女の勲章』との表裏一体感でより物語を豊かに楽しめると思う。
『女の勲章』では、松嶋が着こなした60着以上もの服や帽子などのファッションも見どころ。原作者の山崎さんは新聞記者時代、ファッションの担当だったこともあり、自身も衣装持ちだった。作品を描く際、いつも緻密な取材をすることで知られる山崎さんだが、その日の天気を見ながら帽子からスーツ、手袋、靴に至るまでトータルコーディネートをして、取材に出かけていたという。
12日から東京・新宿伊勢丹本館4階の特設展示スペース「センターパーク/プロモーション」で特別展『山崎豊子ドラマスペシャル 女の勲章』が開催されており、松嶋が身にまとった衣装や、山崎さんの直筆原稿、私物の帽子などが展示されている。一部の商品は購入することもできる。18日まで。<記者コラム>
2017/04/15