テレビとともに生きてきた黒柳徹子の半生を、満島ひかりが熱演しているNHKの『トットてれび』(毎週土曜 後8:15)は、きょう18日の放送で最終回を迎える。全シーンの撮影を終えてから5日後、満島にインタビューを敢行した。「もう5日経っているんだ。きのうまで撮影していたような、それくらいまだ疲労感が残っています」と笑った彼女の声は少し枯れていた。
――全7回を振り返っていかがでしたか?
【満島】素直に答えますと、すごく疲れました(笑)。1回から4回は創成期のテレヴィジョンの世界を駆け抜けていく徹子さんを中心に、エネルギーいっぱいの展開でしたが、5回からは徹子さんと向田邦子さん、渥美清さん、森繁久彌さんといった大切な人たちとのお話になっていきます。撮影中、とても不思議な感覚に襲われたりもしました。向田さんとミムラさん、渥美さんと中村獅童さん、森繁さんと吉田鋼太郎さんの2人ずつを相手にお芝居しているような、変な感覚です。自分自身も、黒柳さんの着ぐるみをまとって、そこから目だけ出しているような。それを話すと、お三方ともうなずいていましたね。自分たちの力ではどうにもならないものが、どこかで確かに動いていて、守ってくれていた感じがずっとありました。
――この作品への意気込みとして、「テレビで遊びたい」とおっしゃっていましたが、遊べましたか?
【満島】“遊ぶ”って、けっこう大変(笑)。でも、普通のドラマとは違うものになったと思うので、遊べていたんじゃないでしょうか。遊びの種類も豊富で、森繁久彌さんを演じた鋼太郎さんとの最終回は大人っぽく、遊べたかな。
鋼太郎さんと最初に『徹子の部屋』のシーンを撮った時に、「君さ、芝居しているの? してないの? どっち?」と聞かれて。「いま声が裏返ったのは、お芝居ですか、たまたまですか? どっちなの?」って。実際、アドリブでたくさんしゃべっていたんです。徹子さんのあのテンションを表現するには台本に書いてあるせりふだけでは足りなくて。それで、「私はいま、面白いと思うことを優先しようと思っています」と答えたら、「わかった」って。
それから鋼太郎さんは、何をしてもお見事に返してくれて。物語の上では、“老い”に対する森繁さんと徹子さんの考え方の違いからくる、バトルがあるのですが、演じていてすごく楽しかった。子どもっぽくもなく、自分より上の世代にも挑戦して、自分たちをさらけ出して、お互い頼り合って。この感覚、久しぶり!というくらい楽しかったです。
――最終回、黒柳さんと一緒に登場する場面もありますね。
【満島】撮影の最終日、徹子さんは現場のスタッフに「自分がここまでやれてこられたのはすごい才能の人たちが周りにいたからで。挑戦しよう、新しいことしよう、面白いものを作ろう、そういう思いで番組を作ってきた人たちがたくさんいたことを改めて振り返ってみることができた。こういう番組を作ってくれて、本当にありがとうございます」とおっしゃっていたのが、本当にすごいなって。
私は、黒柳さんからお手紙をいただいて、「本当にあなたがやってくれてよかった」というお言葉をいただけたのが何よりで。もちろんその場でお礼を申し上げたのですが、撮り終えた直後の興奮状態でもあったので、その場で泣くこともなくて。家に帰って、ご飯を食べていたら、自然と涙がポロポロあふれてきて。なんで泣いているのかもよくわからなったですけど。黒柳さんには、改めてお礼に伺おうと思っています。
――この作品を通して、得難い経験ができたのではないかと思いますが、心境の変化はありましたか?
【満島】まだ生活が自分のリズムに戻れていないので、フワッとですが、変化は感じています。私は、大人が無垢にモノを作る姿がとても好きで、お芝居をすることも歌も踊りもとても好きで。今回、徹子さんのおかげで自分が好きなことが思い切りできたところがありました。主演を任される度に、感じるようになった責任とか、理想と現実のギャップに負けそうになることもあるけど、これからはもっと、あったかくて、朗らかで、みんながヘロヘロにほだされるような作品を作っていける大人になりたい。子どもっぽい自分を成長させてくれる作品になりました。
■NHK総合『トットてれび』最終回(6月18日放送)
徹子(満島ひかり)は『徹子の部屋』25周年のゲストに、記念すべき第1回と同じ森繁久彌(吉田鋼太郎)を招く。徹子と森繁はこれまでの思い出を振り返る。森繁の第一印象は「ちょっとエッチなおじさん」だった。ドラマで共演した森繁は大事なシーンでもせりふを憶えず、大胆なカンニングをして徹子を驚かせる。『徹子の部屋』の収録は進むが、森繁はやる気を見せない。見かねた徹子はCM中に「こんな森繁さん見たくない!」と叱る。徹子と森繁の50年にわたる交流を描く。
――全7回を振り返っていかがでしたか?
【満島】素直に答えますと、すごく疲れました(笑)。1回から4回は創成期のテレヴィジョンの世界を駆け抜けていく徹子さんを中心に、エネルギーいっぱいの展開でしたが、5回からは徹子さんと向田邦子さん、渥美清さん、森繁久彌さんといった大切な人たちとのお話になっていきます。撮影中、とても不思議な感覚に襲われたりもしました。向田さんとミムラさん、渥美さんと中村獅童さん、森繁さんと吉田鋼太郎さんの2人ずつを相手にお芝居しているような、変な感覚です。自分自身も、黒柳さんの着ぐるみをまとって、そこから目だけ出しているような。それを話すと、お三方ともうなずいていましたね。自分たちの力ではどうにもならないものが、どこかで確かに動いていて、守ってくれていた感じがずっとありました。
――この作品への意気込みとして、「テレビで遊びたい」とおっしゃっていましたが、遊べましたか?
【満島】“遊ぶ”って、けっこう大変(笑)。でも、普通のドラマとは違うものになったと思うので、遊べていたんじゃないでしょうか。遊びの種類も豊富で、森繁久彌さんを演じた鋼太郎さんとの最終回は大人っぽく、遊べたかな。
鋼太郎さんと最初に『徹子の部屋』のシーンを撮った時に、「君さ、芝居しているの? してないの? どっち?」と聞かれて。「いま声が裏返ったのは、お芝居ですか、たまたまですか? どっちなの?」って。実際、アドリブでたくさんしゃべっていたんです。徹子さんのあのテンションを表現するには台本に書いてあるせりふだけでは足りなくて。それで、「私はいま、面白いと思うことを優先しようと思っています」と答えたら、「わかった」って。
それから鋼太郎さんは、何をしてもお見事に返してくれて。物語の上では、“老い”に対する森繁さんと徹子さんの考え方の違いからくる、バトルがあるのですが、演じていてすごく楽しかった。子どもっぽくもなく、自分より上の世代にも挑戦して、自分たちをさらけ出して、お互い頼り合って。この感覚、久しぶり!というくらい楽しかったです。
――最終回、黒柳さんと一緒に登場する場面もありますね。
【満島】撮影の最終日、徹子さんは現場のスタッフに「自分がここまでやれてこられたのはすごい才能の人たちが周りにいたからで。挑戦しよう、新しいことしよう、面白いものを作ろう、そういう思いで番組を作ってきた人たちがたくさんいたことを改めて振り返ってみることができた。こういう番組を作ってくれて、本当にありがとうございます」とおっしゃっていたのが、本当にすごいなって。
私は、黒柳さんからお手紙をいただいて、「本当にあなたがやってくれてよかった」というお言葉をいただけたのが何よりで。もちろんその場でお礼を申し上げたのですが、撮り終えた直後の興奮状態でもあったので、その場で泣くこともなくて。家に帰って、ご飯を食べていたら、自然と涙がポロポロあふれてきて。なんで泣いているのかもよくわからなったですけど。黒柳さんには、改めてお礼に伺おうと思っています。
――この作品を通して、得難い経験ができたのではないかと思いますが、心境の変化はありましたか?
【満島】まだ生活が自分のリズムに戻れていないので、フワッとですが、変化は感じています。私は、大人が無垢にモノを作る姿がとても好きで、お芝居をすることも歌も踊りもとても好きで。今回、徹子さんのおかげで自分が好きなことが思い切りできたところがありました。主演を任される度に、感じるようになった責任とか、理想と現実のギャップに負けそうになることもあるけど、これからはもっと、あったかくて、朗らかで、みんながヘロヘロにほだされるような作品を作っていける大人になりたい。子どもっぽい自分を成長させてくれる作品になりました。
■NHK総合『トットてれび』最終回(6月18日放送)
徹子(満島ひかり)は『徹子の部屋』25周年のゲストに、記念すべき第1回と同じ森繁久彌(吉田鋼太郎)を招く。徹子と森繁はこれまでの思い出を振り返る。森繁の第一印象は「ちょっとエッチなおじさん」だった。ドラマで共演した森繁は大事なシーンでもせりふを憶えず、大胆なカンニングをして徹子を驚かせる。『徹子の部屋』の収録は進むが、森繁はやる気を見せない。見かねた徹子はCM中に「こんな森繁さん見たくない!」と叱る。徹子と森繁の50年にわたる交流を描く。
コメントする・見る
2016/06/18