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【ネット動画トレンド】画一的なブームがなくなり、分散・多様化する人気コンテンツ

 日本語版開始から12年が経過したYouTube。いまや「テレビを観ない」という若年層をはじめ、幅広い世代が日常もっとも触れるメディアとして浸透している。だが、そのメディアウインドウはユーザー個人によってカスタマイズされることもあり、流行やトレンドは見えにくい。そこで、ネット動画の世界の最新動向をUUUM・代表取締役社長の鎌田和樹氏に聞いた。

流行コンテンツの追随から唯一無二のオリジナル志向へ

 スライム風呂など流行の玩具を用いた実験動画、個性的な味の新商品など、これまでは“YouTuberらしいネタ”が、トップYouTuberから動画投稿をはじめたばかりの人まで一気に広まる傾向があった。しかし、そんななかで「以前に比べて、一定量の再生が見込めるトレンドをやる人が減って、自分たちにしかできない動画を作る人が増えてきたと感じます」と鎌田氏は語る。

「以前は、そのときどきの“これが流行しているんだ”という動画が、一過性のコンテンツとして視聴されていましたが、今はクリエイターに紐付いたファンが多く、チャンネル登録をしてそのコンテンツを追いかける人が増えました」。1つの流行ネタがYouTuber全体に広がっていく時代は過ぎ去り、ここ2年ほどは、各チャンネル、各クリエイターの個性が際立ってきているとする。
 そこには「僕(私)にしかわからないおもしろさ」が大切になり、東海オンエアやフィッシャーズ、水溜りボンドら人気YouTuberたちも、ほかにはない、自分たちだからできるネタを日々アップし続けている。

「1人が10分観るのと、100人が10秒しか観ていないのだったら、断然前者の方がコンテンツとして魅力的だと思います。それぞれのクリエイターの個性、彼らならではのおもしろさに視聴者がついてくるようになったのが、昨今のネット動画のトレンドであり、特徴です」

フィッシャーズ

フィッシャーズ

 ではなぜ、YouTuberらしいとされてきた、いわゆる“バズりやすい”ネタの流行から、それぞれの個性を活かしたコンテンツに人気が集まってきたのだろうか? そこには視聴者数の増加と1人あたりの視聴時間数の伸びが関係している。

 鎌田氏は「あくまでも僕個人の肌感ですが」と前置きしつつ、「TikTokが950万、Instagram、Facebookが3000万、YouTubeが6000万ほどのユーザーがいると考えているのですが、そうすると日本人の大半がYouTubeを観ていることになります」と鎌田氏。すでに国内で定着しているメディアであり、それが意味するのは「ここからユーザー数が大きく伸びることはないかもしれない。一方で、ユーザー個々の視聴時間は格段に伸びています。それによって、今は1つのチャンネルユーザーで100万再生オーバーの動画が多く出てきて、1つひとつの動画が“ブーム級”であると言えます」と分析する。

視聴者数、視聴時間の伸びからニッチな動画に広がるチャンス

水溜りボンド

水溜りボンド

 UUUMはこれまで多くのトップクリエイターを育ててきたが、「大事なのはやる気、そこに尽きる。毎日、渾身の動画を作るのは本当に大変なこと。そこに必要なのはテクニックではなく、結局は続けていくことへの本人のやる気なんです」と鎌田氏の言葉に熱が入る。クリエイター本人がやりたいことをやり、それが“刺さった”ユーザーがついてくる。たとえそのコンテンツがニッチであったとしても、全体の視聴者数、視聴時間がこれまでにないほど増加しているから、それに伴って再生数も大きくなる。画一的な流行から、個々が観たいものを観るという状況への変化が、ネット動画シーンの本当の意味での成熟といえるかもしれない。

『UUUM GOLF』の中井学プロ(左)とMCのなみき

『UUUM GOLF』の中井学プロ(左)とMCのなみき

 ここ最近ではスポーツノウハウものの動画が増えているようにも感じられるが、鎌田氏によるととくにそういった傾向は見受けられないという。ただ一方で、ネット動画シーンにおけるコンテンツのカテゴリが増え続けているなか、スポーツ系では、野球の「qooninTV」や、ソフトテニスの「あゆタロウチャンネル」など各ジャンルにおけるスポーツ系YouTuberが、それぞれの日々の努力から注目されてきていることはあるようだ。

 鎌田氏がスタートさせた『UUUMゴルフ』についても「設立は昨年ですが、当初の計画より順調に伸びています。「釣りよかでしょう。」の「よーらい」がシングルプレイヤーを目指す動画など、人気コンテンツも増えています」と語る。「ひと昔前は、ニッチなジャンルはケガをする可能性も高かったかもしれないけど、今はあらゆるジャンルの動画にチャンスが広がっています」と、今後さらにYouTuberおよび動画コンテンツはニッチなジャンルに広がっていき、その多様化された動画のなかから、思いもよらぬ人気動画が生まれてくる可能性を示唆する。
(文/中村梢)

提供元: コンフィデンス

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