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『ボヘミアン・ラプソディ』、クイーンを知らない若年層を動かす背景

 伝説の英ロックバンド・クイーンの成功物語を故フレディ・マーキュリーの生き様とともに描く『ボヘミアン・ラプソディ』が、公開4週目週末を迎えた時点で、3週連続で前週を上回る異例の興行を続けている。すでに動員243.3万人、興収33.2億円を突破。全国116スクリーンで応援上映が行われているほか、一部のIMAXシアターでは、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』から『ボヘミアン・ラプソディ』の再上映に切り替わった劇場もある。そんなムーブメントの背景にあるのは、予想外の若年層の動員だ。

時代を超えて使用されたタイアップ曲が若年層にも浸透

 日本でとくに人気のあるクイーンだが、当初、同作の観客層はクイーン世代の40〜50代になると見られていた。ところが、映画が封切られると、同世代に加えて、日を追うごとに10〜20代の女性層が増えていき、3週連続で前週の興収を上回る快進撃となっている。

 現状の観客比は、20代以下18.2%、30代13.4%、40代23.7%、50代30.3%、60代以上11.9%となる。ボリュームゾーンはクイーン世代のアラフィフになるが、その次に20代以下が全体の約2割を占めており、男女比では公開当初は60:40だったところ、現在は44:56と逆転。当初の見込みとは異なる若年層を中心にした女性が、興行を盛り上げていることがわかる。
 フレディ・マーキュリーが急逝したのは1991年。その後もクイーン名義の活動は行われているが、クイーン全盛ともいえる91年までの20年間を知らない若年層に映画が響いているのはなぜか。その大きな要因のひとつには、クイーンの名曲の数々が、2000年代以降においても多くのタイアップで使われてきていることが挙げられる。

 代表的なところでは、木村拓哉主演のフジテレビ系月9ドラマ『プライド』(2004年)の主題歌として「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」が使用されたこと。その後にリリースされた日本版ベスト『クイーン ジュエルズ〜ヴェリー・ベスト・オブ・クイーン〜』は、売上130万枚を超えるミリオンヒットになった。ほかにも、アサヒビールCM曲となった「アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」、キリンビバレッジCM曲となった「ドント・ストップ・ミー・ナウ」など、多くの飲料や自動車、化粧品、家電製品のテレビCMとして時代を超えてオンエアされてきた。彼らのリアルタイムを知らない世代でも、その曲の多くは日常のなかで触れており、なじみがあるのだ。

ライブやフェスにいくような感覚で映画を楽しむ

 そうした下地があるなか、フレディとブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンとの涙なくしては語れない熱い物語、彼らの楽曲のすばらしさを巧みな演出で感動的に映し出す本作は、SNSなどの口コミでじわじわと広がっていった。「聴いたことはあるけどクイーンのことはよく知らない」「いい曲だけどちゃんと聴いたことはない」という多くの若い世代のライト層へ、映画を観てみようというモチベーションを生じさせている。

 配給会社の20世紀フォックス映画でも、その動きをムーブメントへと増幅すべく数々の施策を行っていた。公式サイトとフォロワー5万人超の公式Twitterが連携して、クイーン楽曲総選挙を実施。投票数は6.3万を超えた。さらにTikTokでは「#ドンドンパッ チャレンジ」を開始。名曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」で3000人がショートビデオを投稿し、ビューは3000万を超えている。もちろんTwitter、Instagram、Facebookでの映画感想のハッシュタグ拡散も行っている。
 同社のマーケティング本部長・星野有香氏は、「ラスト21分のライブがすごいと聞いて映画館に足を運んだら、フレディの物語に予想以上に感動、号泣し、そのいい意味でのギャップがSNSの投稿を促進しました。クイーンを知らない世代だからこそ、逆に音楽のすばらしさを発見し、歌詞に込められた意味、天才だけど孤独だったフレディの“家族”を求める姿に心打たれたのではないでしょうか」と語る。

 現在、応援上映は異例の100スクリーン超で行われ、盛況を呈している。フレディ亡き今だからこそ、ライブやフェスなどにいくような感覚で、彼らの音楽を楽しもうという若い世代も多いようだ。YouTubeやサブスクリプション音楽配信サービスで、その名曲の数々にすぐに触れることができるのも、ムーブメントをより大きくしている一因だろう。

 彼らの物語としても、音楽体験としても楽しまれている本作。星野氏は「リピーターや、ロック少女だった母親と観た!などの投稿も多数あり、世代を超えた拡がりになっています」と語る。まだまだブームは続きそうな流れであり、11月興行としては異例の年末年始を超えた大ヒットになりそうだ。

提供元: コンフィデンス

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