18年上半期映画興行、前年比10%減 低迷する邦画実写に明るい兆しも
今の洋画シーンを象徴する充実した布陣
そのほか洋画を見ると、シリーズ前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年/116.3億円)から興収比64.5%と厳しい数字になったが2位の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(75億円)、ディズニーからアニメと実写シリーズの大作『リメンバー・ミー』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、約6年ぶりのドリームワークス日本劇場公開作品となった『ボス・ベイビー』。
この並びを映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、「ディズニーの定番シリーズ、メジャースタジオのアニメーション、ミュージカル映画と今の洋画シーンを象徴している充実した布陣。そのなかでも、安定した人気のディズニー作品の間に『グレイテスト・ショーマン』がランクインした意味は大きい」。昨今のミュージカル映画人気が一過性のものではなく、ある程度の観客の規模を持って定着してきていることが示されている。
昨年から尾を引く邦画実写低迷の現状
しかし、そんななかで明るい兆しになっているのが、6月公開の2作『空飛ぶタイヤ』『50回目のファーストキス』がロングヒットになっていること。『空飛ぶタイヤ』は6/15の公開から5週目でも5位にランクインし、興収は15億円を突破。『50回目のファーストキス』は6/1公開の7週目で9位をキープし、12億円を突破している。
今のロングヒットには口コミによる拡散が欠かせない。同作に限らないが、上述のようなおもしろさ、内容のよさが、SNSによって波及し、一般層の興味を強く喚起することが、余暇時間の使い方にシビアな時代のヒットには不可欠になっている。ただし、SNSなどの口コミは、PR的な匂いのするものに対しては、逆の効果を生む場合もあり、宣伝としての活用には限界がある。『空飛ぶタイヤ』の口コミでの話題の広がり方や、映画化にふさわしい原作小説のあり方など、ここから学ぶべき、今の“ヒットの方程式”のヒントがありそうだ。
下半期、夏休み映画が好調なスタート
邦画では、細田守監督の夏休みアニメ『未来のミライ』や、フジテレビによる『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』。かつてフジテレビが得意としていたドラマ映画の『劇場版コード・ブルー』は、昨年7月期に月9枠で放送された連続ドラマが平均視聴率14.8%と好調だっただけに、ヒットへの期待が高まる。それとともに、ここしばらく制作されていなかったドラマ映画が、今どう観客に受け止められるか、映画界が注目している。
『グレイテスト・ショーマン』(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation『万引き家族』(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.『空飛ぶタイヤ』(C)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(C)Universal Pictures『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(C)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会