世界中が共感できる要素を盛り込む『アベンジャーズ』クリエイティブ
ヒーロー同士の共演には1つの物語の軸が必要
そんなマーベル・スタジオの10年間の集大成にして最新作『〜/インフィニティ・ウォー』を手がけたのが、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14年)や『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年)の監督を務めたアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟。これまでの作品では、友情がもたらすアベンジャーズ同士の戦いを、根底に流れる人間ドラマをメインにしながら壮大なスケールと本格的なアクションで描いており、シリーズのなかでもとくにファンの厚い信頼を得ている。すでに来年公開の次作『アベンジャーズ4(仮)』のメガホンをとることも決定している。
「マーベル・シネマティック・ユニバースは、ありとあらゆるキャラクターが登場することで、さまざまなトーンが映画のなかに生まれます。弟のジョーと僕は、マッドサイエンティストみたいに無茶な実験をする感覚で“この2つのキャラを掛け合わせたら一体どうなるだろう”とキャラクター同士の組み合わせを考えながら映画を作るのがすごく好きなんです。でも、単に掛け合わせるだけでは統一感が出ませんしブレてしまいます。そこで、1つ物語の軸となるものを作るようにしていて、たとえば『〜/ウィンター・ソルジャー』であれば主人公のキャプテン・アメリカの視点で最初から最後まで物語を描くことを意識しました。今作に関しては、メインの敵が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)に登場した宇宙の帝王・サノスなので、悪役である彼の企みや目的を軸にヒーローたちを描いています。これまでのさまざまなシリーズ作品に伏線として登場しているインフィニティ・ストーン(6つすべてを手に入れると全宇宙を滅ぼす無限大の力を得る石)を狙うサノスに対して、今まで顔を合わせることのなかった最強のヒーローたちが集結するので、シリーズファンはワクワクしてくれると思います」
関係性を楽しめるように調整したコミカルとシリアスのバランス
「今作で言えば、サノスの養女であり確執がもっとも深いガモーラが登場するシーンでは必然的にシリアスなトーンで作らなければいけませんが、『ガーディアンズ〜』以外のシリーズのキャラクターからすると、「サノス? 知らないなぁ…」と言った感じで最初は危機感をほとんど感じていないので、コミカルなシーンが作りやすくなります。そんなふうに、観客が敵とヒーローたちそれぞれとの関係性を楽しめるようにコミカルとシリアスのバランスを考えながら作っています。作品によっては客層も意識していて、『アントマン』は比較的若い層の観客にウケる内容にしていますが、『〜/ウィンター・ソルジャー』はシニア層に響くように作っています。それぞれの作品の主人公の特性を意識して、観客が自然に物語に入り込めるようにすることが重要です」
「詳細は伏せますが、ストーリーが展開していく上で必要性があるから日本を選んでいます。このシリーズを手がける上で一番大事なのは、特定の国や市場を意識することではなく、世界中の観客が楽しめるように心がけて作ること。そのためには、ストーリーやキャラクターを描く際に世界各地の情勢や文化的な背景を意識しなければいけません。世界中の誰もが共感できる要素を盛り込んでいるからこそ、大ヒットに繋がるのではないでしょうか」
(文:奥村百恵)
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
監督: アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ
出演: ロバート・ダウニーJr./クリス・ヘムズワース/マーク・ラファロ/クリス・エヴァンス/スカーレット・ヨハンソン/ベネディクト・カンバーバッチ/トム・ホランド/クリス・プラット/チャドウィック・ボーズマン/ジョシュ・ブローリン
4月27日(金)公開
【公式サイト】http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/(外部サイト)
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