「構想力・イノベーション講座」(運営Aoba-BBT)の人気講師でシンガポールを拠点に活躍する戦略コンサルタント坂田幸樹氏の最新刊『戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』(ダイヤモンド社)は、新規事業の立案や自社の課題解決に役立つ戦略の立て方をわかりやすく解説する入門書。企業とユーザーが共同で価値を生み出していく「場づくり」が重視される現在、どうすれば価値ある戦略をつくることができるのか? 本連載では、同書の内容をベースに坂田氏の書き下ろしの記事をお届けする。
“老害”は、組織を想う善意から生じる
「口うるさい」「もう引退したのにまだ口を出してくる」――あなたの職場にも、後輩の失敗を未然に防ごうとする元上司はいませんか?
“老害”と呼ばれてしまいがちな、こうした人の多くは、実は善意で動いています。
彼らは、決して悪意を持って関与しているわけではありません。むしろ、「後輩に失敗をさせたくない」「自分と同じ苦労を味わわせたくない」という思いから、つい口を出してしまうのです。
しかし、その善意こそが、組織の成長を止めることがあります。
失敗から学べない組織は、必ず衰退する
一般的に、失敗は避けるべきものと考えられがちです。
けれども、失敗からしか組織は学べないといっても過言ではありません。
あなたにも、売上が上がらなかったり、職場の人間関係に悩んだりしたときこそ、多くの学びを得た経験があるのではないでしょうか?
もし誰かがあの時のあなたの失敗を奪っていたら、いまのあなたは生まれていなかったかもしれません。
実際、海外のベンチャーキャピタルでは、失敗経験を持つ創業者をむしろ高く評価する文化もあるほどです。失敗は恥ではなく、学習の通過点なのです。
受け入れるべき失敗を定義する
もちろん、やみくもに失敗を許していては、組織は崩壊します。
重要なのは、どんな失敗を受け入れるかを明確に定義することです。
組織が積極的に受け入れるべき失敗とは、影響が中〜大程度で、繰り返し発生しやすいものです。
たとえば、製品やサービスを新たに投入したのに、大きな商談を立て続けに失注しているような場合です。そこからは、「製品・サービスがそもそも市場にあっていないのか」「顧客設定を誤っているのか」「営業プロセスが機能していないのか」といった、本質的かつ戦略の前提を問い直す重要な学びを得ることができます。
このような失敗を組織として共有し、仕組みとして分析・改善に結びつけていくことが、「学べる組織」への第一歩です。
「失敗から学ぶ力」は、『戦略のデザイン』のレッスン10でも、実際の企業事例とともに整理しています。失敗を恐れず、仕組みとして受け入れる文化を育むことこそが、戦略を立てる力を鍛えることにつながります。
明日、部下がミスをしたら――その瞬間こそ、あなたの組織の「学ぶ力」が試されています。