メルセデスの本気と狂気
ハイエンドサルーンならではのラグジュアリネスと、圧巻のパフォーマンスを併せ持つ「メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス」。車重2.7tのボディーを、最高出力802PS、最大トルク1430N・mの膂力(りょりょく)で動かす巨艦の走りを報告する。
AMGの今後を担う電動パワートレイン
メルセデスAMGが、電動化時代の新たなパワートレインとして展開しはじめた「Eパフォーマンス」。2023年1月に国内発売された「メルセデスAMG GT63 S Eパフォーマンス F1エディション」が最初で、続いて同年9月から12月にかけて、「C63 Eパフォーマンス」や同「ステーションワゴン」、今回の「S63 Eパフォーマンス」が発売となった。
Eパフォーマンス(以下、Eパフォ)は、組み合わせられるエンジンやモーターの出力、電池容量などはモデルによって異なるが、基本構造は共通する。電池容量は小さめながら、外部充電可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)であることも同じ。EV航続距離は短いのでPHEVである実用上のメリットは小さいが、各国の規制面などでPHEVであること自体に価値があるのだろう。
Eパフォは「AMGスピードシフトMCT-9G」を使ったFRベースの4WDというところまでは、これまでの純エンジンのAMGと大きく変わらない。MCT-9Gは9段ATをベースにトルクコンバーター部分を油圧多板クラッチに換装したものだ。Eパフォはそのリアデフ部分にモーターと2段AT、電子制御LSDを一体化したEDU(エレクトリックドライブユニット)、その上面にAMG独自開発の高性能リチウムイオン電池を置く。
今回のS63をほかのEパフォ車と比較すると、エンジンはGT63 Sと基本的に共通の4リッターV8ツインターボだが、612PSという最高出力は少し低め(900N・mの最大トルクは同じ)。190PSのリアモーター出力はGT63 SやC63のそれ(204PS)より控えめなものの、13.1kWhの電池容量は逆に大きく(GT63 SやC63のそれは6.1kWh)、EV航続距離もこの2台の倍以上となる37kmをうたう。
これらを総合したシステム出力は802PS(!)、最大トルクは1430N・m(!!)。出力はGTより低いが、トルクはEパフォのなかでも最大である。...