サグラダ・ファミリアのように
2015年に登場したND型こと4代目「マツダ・ロードスター」のマイナーチェンジモデルに試乗。過去最大規模の改良を施し、走りやデザインに磨きをかけ、安全性を強化したとアナウンスされる最新モデルの仕上がりやいかに。
ネルソン・ピケになりきる
大幅な商品改良を受けたというマツダ・ロードスターをwebCG編集部に引き取りに行く道中、大げさではなく、少しどきどきした。変わっちゃったらイヤだな、速くて立派になったぶん、ヒラヒラと舞う軽快感が失われたら残念だな、と不安だった。「Just the way you are」というと、最近はビリー・ジョエルじゃなくてブルーノ・マーズらしいけれど、素顔のままでいてほしい。
webCG編集部が入居するビルの地下駐車場で対面した「マツダ・ロードスターRS」は、幸いにもデザインの変更はほとんどなかった。デイタイムランニングランプがヘッドランプのシールド内部に組み込まれ、リアコンビネーションランプを含めて灯火類がすべてLEDになったくらいで、取ってつけたようなお化粧直しはない。
けれども編集部員たちがロードスターを取り囲み、表情を曇らせながら腕組みをしている。イヤな予感がする。話を聞くと、どうやらギアボックスに不調をきたしているらしい。「3速に入れる時にゴリっというんです」とのことだ。仕方がない、でも丁寧に扱えばなんとかなるでしょうと、編集部を出発する。
でも甘かった。どんなに丁寧に扱っても、2速から3速にシフトアップしようとすると、ゴリっという不快な手応えが伝わってくる。それはホントにイヤ〜な感触で、ロードスターが発する悲鳴のようで心が苦しくなる。かつて乗っていた初代ロードスター(NA型)は、10万kmを超えてもギアボックスからは「コリッ」とも音はしなかったし、クラッチだって一度も交換しなかったぞ。このロードスターRSは、どんなにひどい扱い方をされたのだろう……。
心の中で、ピットリポーターの川井ちゃんこと川井一仁さんが、「今宮さん、大変です! ピケのマシンは3速ギアを失っているようです!」と、緊急事態を告げた。仕方がないので、「レース後もギアボックスの内部は新品のようにピカピカだった」とたたえられたシフトの達人、ネルソン・ピケになりきる。3速はスキップ、2速を少し引っ張って、次は4速だ。
こんなイレギュラーなシフト操作でも、マツダ・ロードスターの6段MTは、「滑らかに入る」と「節度がある」が絶妙にバランスしている。望ましい状況ではないけれど、図らずもSKYACTIV-MTの優秀さを身をもって知った。...