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韓国エンタ特集2『進化する韓国映画を体感!音楽&ドラマのベスト投票中間結果も!!』
日本からみた韓国映画の「進化」と「今」
世界に打って出る韓国映画の大作や青春映画の佳作がこの夏、ここ日本でもたて続けに公開され、それぞれの作品が放つ力強くも苦しさを有する韓国映画特有のメッセージが、多くのコアな映画ファンたちをうならせた。しかしながら、期待された大作も大ヒットといえるほどの成績を残すまでには至らなかった。その後のDVDレンタルが好調という話題は上がるが、これらの強力な作品をもってしても、なかなか一般層にまでは響かないのが今のシーンの現状だ。
そんななか、韓国映画の過去の名作や最近のヒット作、そして新作を一挙特集上映し、韓国映画ファン以外にもわかりやすくそのおもしろさを伝えることをひとつの目的にする『K-Movie フェスティバル』が10月12日から、シネマート六本木、新宿、心斎橋で開催される。テーマは「韓国映画の“系譜と今”そして“未来”を体感できる」。珠玉のラインナップを編成した、このイベントを手掛けるCJ Entertainment Japan 配給宣伝チーム チーム長の横山和宏氏に、韓国映画の「進化」と「今」について聞いた。
今回、K-Movie Festivalでは、日本初公開となる『殺人漫画』『フィスト・オブ・レジェンド』『ミリオネア・オン・ザ・ラン』『ダンシング・クィーン』といった日本初公開の新作に、『アジョシ』『サニー 永遠の仲間たち』『復讐者に憐れみを』など、過去の名作8本の合計12本がラインナップされている。これらの作品、そして2000年に公開され日本でも大ヒットした『シュリ』からの韓国映画の進化を、横山氏はどうみているのだろうか。
「例えば、今回の新作『ミリオネア・オン・ザ・ラン』で言うと、ロードムービーでありながら、クライムとコミカルさをクロスオーバーさせているのが特徴です。韓国映画は、ハリウッドや欧米、日本などそれぞれの得意分野の題材をベースにして企画を立て、そこに韓国独特の土着性や情といったものをドッキングさせるのが非常にうまい。アイデアは割とありふれたものであっても、そこにモチーフを足したり、掛け算することでオリジナリティをもたせ、おもしろくすることに長けているんです」(横山)
それは、今回公開される『ダンシング・クイーン』にも当てはまるという。そして、ここ最近、日本でも注目を集めている青春もののある傾向とも一致する。
「この映画も、ウェルメイドなハリウッド作品のような物語でありながら、アイドルを目指していた女性とソウル市長を目指す男性の夫婦が、夢を追い続けるストーリーのなかで、80年代の政情、文化を描いた過去のシーンがうまく加味されています。最近の日本では、懐古趣味的な、中年に差し掛かった男女が、もう一度青春を振り返りることで、前に向かって歩むことになる作品がヒットしています。例えば、今回のラインナップにもある『サニー 永遠の仲間たち』や、今年ヒットした『建築学概論』、台湾の『あの頃、君を追いかけた』なども同じ傾向があります。韓国でも、こういった映画がまだまだ多いんです。『ダンシング・クイーン』もそうですが、実は『フィスト・オブ・レジェンド』も、懐古趣味的な青春映画だといえます。タイトルからすると一見、シンプルなアクション映画に思えますが、青春時代をともに過ごした仲間が、中年になって再会し、もう一度、人生を賭けて総合格闘技の大会に出場する、オヤジの青春ものなんです」(横山)
魅惑の男臭い俳優&突き抜けた復讐と痛みの物語
「現在の日本における韓国映画の人気というのは、いわゆる韓流スターものの人気と、ノワール作品の人気がベースにありますが、そこのファン層とはまた違った方たちにも魅力を知ってもらいたいと思っているところです。ハ・ジョンウは男性にも女性にも人気ですが、そういった男臭さを持つ俳優として、今回のラインナップの中で、先程の『ダンシング・クイーン』『フィスト・オブ・レジェンド』のほか、リュ・スンワン監督作の傑作ノワール『生き残るための3つの取引』にも主演しているファン・ジョンミンにも注目してほしいですね。別名“ファン・ジョンミン映画祭”といっても過言ではないでしょう(笑)」(横山)
昨今は、日本でもドラマ『半沢直樹』(TBS系)のような、決して甘くはない、非・恋愛ドラマに女性が注目するという市場があることもみえてきた。また、同ドラマの物語の根底に流れるのは“復讐”だ。それをベースにした物語は、まさに韓国映画の真骨頂ともいえる分野のひとつ。韓国映画ではそこを痛烈に描き出す作品が多いが、日本マーケットでのポテンシャルの高さも感じさせる。
「韓国には、もともと復讐心や痛みを包み隠さずに剥き出しにして描く作品も多い。今回の公開作でいうと『トガニ 幼き瞳の告発』は、“弱者への性暴力”を鋭く描いたことで、法律までも変えたという事例もありますし、『アジョシ』『復讐者に憐れみを』は臓器売買などのダークサイドを取り上げつつ、痛みを伴う奪還や復讐の物語を描いています。今年韓国で製作された東野圭吾原作の『さまよう刃』は、娘を失った痛みと復讐を描くのに躊躇がなく、善悪の観念ついて葛藤させる骨太な作品になっています。
韓国の歴史や文化、民族性に根付いているのかもしれませんが、韓国映画には、復讐にしても、痛みにしても、アクションにしても、どこか突き抜けたところがあるんです。人はそれを“恨”というのかもしれません。また、韓国は今、とにかく映画の動員数が伸びています。2012年は国内の年間動員数が1億人を超え、今年はそれをまた上回るのが確実とみられています。市場があるということは、さまざまなジャンルの映画が作られることになります。もちろん、韓流ドラマのようなロマンティックなものも健在ですが、クオリティを保ちつつ、より多様化した韓国映画を目の当りにして欲しいと思います。今回の『K-Movie フェスティバル』では、メンズデーなど1000円でご鑑賞いただけるサービスデーも多く組まれていますので、普段あまり映画館に行かない方々にこそ、先入観というカーテンを取っ払って気軽に足を運んで頂きたいです。素晴らしい出会いと発見があれば嬉しいですね」(横山)
(文:西森路代、編集部・武井保之)
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K-Movie フェスティバル
新作と旧作から“韓国映画の系譜と今”そして“未来”を体感!
もう一度スクリーンで観たい名作や日本初登場作品のほか、昨年日本でも口コミから大ヒットした『サニー 永遠の仲間たち』、コン・ユ主演の衝撃作『トガニ 幼き瞳の告発』、ペ・ヨンジュンが貴族を華麗に演じた『スキャンダル』など話題作がラインナップ!
【開催概要】
10月12日(土)〜 11月8日(金)シネマート六本木・新宿・心斎橋
上映スケジュールなど詳細は公式サイトへ。
公式サイト:http://k-moviefes.jp/
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