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『あまちゃん』総決算特集『国民的ドラマとして愛されたワケとは?』

日本中に旋風を巻き起こした連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK総合)もいよいよ大詰め。そこで、ORICON STYLEでは“あまちゃん総決算”と題し、同作がなぜ多くの人たちに愛されるドラマとなり得たのか、改めてヒットの理由を探った!

人気に箔をつけた“あまちゃん音楽”

『あまちゃん』を語る上で欠かせないのが、ストーリーに華を添えた数々の劇中音楽だ。これらの楽曲は、ドラマを抜け出し現実世界でもヒット! 今回は、「潮騒のメモリー」や『あまちゃん 歌のアルバム』など、関連6作品のディレクターを務めたビクターエンタテインメント木谷徹氏に、製作の舞台裏について直撃した。

ドラマとのシンクロ感を大切に

  • 『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック』

    『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック』

  • 「潮騒のメモリー」

    「潮騒のメモリー」

  • 『あまちゃん ぶらばん 〜公式版 吹奏楽「あまちゃん」曲集〜』

    『あまちゃん ぶらばん 〜公式版 吹奏楽「あまちゃん」曲集〜』

――国民的ドラマとして愛された『あまちゃん』。その人気を支えたものとして、物語を彩った劇中音楽の存在が大きかったと思います。ビクターエンタテインメントからは、計6作の関連作品が発売されましたね。
【木谷徹】 関連作品はパッケージ、配信、どちらかだけに偏ることなくランキング上位にくい込んでいる状況で、さらに、インストや歌もの問わず、どれもに大きな反響がありました。人気ドラマの音楽商品が必ずしもヒットするとは限らない中、これだけの反響があったのは、ドラマや音楽そのものの魅力に加えて、『あまちゃん』というドラマが一種の“音楽劇”的要素を持ち併せていて、ドラマの中で音楽がストーリーやキャラクターと切っても切り離せない重要な関係性を持っていたということが大きいと思います。

――ドラマと同様に、老若男女問わず支持されましたよね。
【木谷】 通常の朝ドラの幅広い視聴者層に加え、脚本ほか音楽面でも深く作品に携わった宮藤官九郎さんというカリスマクリエイターの存在。アンダーグラウンドでも支持される大友良英さんの作り出す音楽の高い作品性やそのコアなミュージシャンセレクトによって、音楽マニアやサブカル層など、カルチャーを語るコア層にまで深く訴求したため、大きなムーブメントになり得たという印象があります。

――木谷さんご自身、身を持って“ブーム”を感じた出来事は?
【木谷】 この夏、甲子園で「あまちゃん オープニングテーマ」を演奏した学校の不敗神話は記憶に新しいですが、特に「潮騒のメモリー」に関しては、カラオケで若者が振り付きで歌ったり踊ったりしているという話や、スナックなどで中高年の方々が熱唱しているという話を聞きます。本当に幅広い年代の方々に愛される“流行歌”となっているのだなと感じますね。

――私も友だちとカラオケに行った際「潮騒のメモリー」でマイクの奪い合いになりました(笑)。ところで、ドラマで話題になったこれらの楽曲を実際に“発売する”となった時、意識したことはありましたか?
【木谷】 まず一番に大切にしたことはドラマとのシンクロ感です。作品の根底に流れる“愛情とユーモア”、ドラマの世界観を壊さずにCDのパッケージでも演出すること。また、ドラマの展開に感情移入するユーザーが、ドラマの世界を飛び出してきた関連CDのリリースに違和感なく、逆にそのフィクションと現実との融合に興奮して楽しめるような工夫が必要だと感じました。そのためにCDを発売するタイミングは非常に重要で、ドラマサイドのプロデューサーとも何度も打ち合わせを重ねて、どの作品もドラマの進行にシンクロするように情報解禁や発売時期を設定しました。

――どの作品も入念な打ち合わせの末に制作されたワケですね。
【木谷】 例えば「潮騒のメモリー」は、小泉今日子さん演じる天野春子が、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の影武者であったことが発覚するオンエアのタイミングまで一切情報を外に出さず、“あまちゃん関連シングル”という名称で、曲のタイトルもアーティスト名も公表しないという異例の方法で受注を行い、オンエア直後の情報解禁から10日という、これまた異例のスピードで発売するという入念な準備の元、ドラマとのリンクを実現したんです。その結果、見事に現実世界でもヒット曲となりました。

どのアイテムも工夫や遊び心を散りばめて

  • 『あまちゃん 歌のアルバム』

    『あまちゃん 歌のアルバム』

  • 『春子の部屋〜あまちゃん 80’s HITS〜 ビクター編』

    『春子の部屋〜あまちゃん 80’s HITS〜 ビクター編』

  • 『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック2』

    『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック2』

――その“仕掛け”で、関連楽曲の中ではNo.1の売上(※2013/9/30付現在)を記録しました。
【木谷】 『あまちゃん 歌のアルバム』はドラマに登場する“お座敷列車”の空間のような、聴くだけではない“参加型アルバム”というコンセプトで、ボーナストラックにカラオケを多数収録して一緒に歌えるような構成にしたり、振り付けガイドを封入しました。

――ドラマの特性を活かした楽しい仕掛けですよね。
【木谷】 また、ドラマに登場するアイドルグループ・GMTメンバーのカラーロゴステッカーをランダム封入したり、アメ横女学園の架空のシングルジャケットを4種類封入したりと、ドラマのキャラクターたちが実際に存在するかのような遊び心を織り交ぜて。ほかにも、クリエイターの音楽対談を封入して音楽的な観点でも楽しめる工夫もしました。

――その結果、朝ドラ関連のアルバム史上初の1位という快挙を達成しました。
【木谷】 スピンオフ企画的な『春子の部屋〜あまちゃん 80’s HITS〜』も、ただ番組で流れた80年代ヒット曲のコンピレーションということではなく、あくまでもドラマに登場する若き日の春子(有村架純)が高校時代を過ごした“部屋”ということに重点を置いた作品となるように、ドラマの世界を現実世界にシンクロさせる丁寧な作業が必要でした。そのためには『あまちゃん』の世界を作り出す宮藤さんの監修であり選曲であることが必須でしたし、宮藤さんが書いて下さったその楽曲にまつわるエピソードがただのライナーノーツではなく、“若き日の春子”目線でのライナーになっていることが一番の魅力でありポイントであったと思います。

――本当にさまざまな工夫が散りばめられているんですね。これら関連作のヒットによって、音楽業界に与えた影響というのも大きいと思うのですが。
【木谷】 これだけ多方面に立体的に膨らませられる魅力的な『あまちゃん』というドラマ自体が非常に希有な存在であったので、これがきっかけにドラマのサントラが売れるようになる、という短絡的なことではないと思います。ただ、丁寧に音楽と向き合っているドラマは、その伝え方次第でサントラがヒットアイテムになり得るということを再認識出来るきっかけになった気もします。

――今後のヒントも得られたという感じですか?
【木谷】 宮藤さんや大友さんはじめ、NHKのドラマチームの方々が本当に丁寧に愛情を持って、そして本気で楽しみながらドラマを作られていて、それらがちゃんと受け手に伝わったからこそ、この『あまちゃん』が社会現象にまで至ったのだと思っています。いい音楽を作ることはもちろん、その伝え方、パッケージなど、ユーザーが愛情を持って本気で楽しんでくれる商品を作るための大事なことを教えて頂けた気がします。

『あまちゃん』関連楽曲 売上状況



関連作品名(発売日/レーベル名)推定累積
売上
推定初回
売上
最高
順位
 連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック
 (2013年6月19日/ビクターエンタテインメント)
5.2万枚
(5万2,469枚)
1.2万枚
(1万2,088枚)
5位
 潮騒のメモリー
 (2013年7月31日/ビクターエンタテインメント)
14.8万枚
(14万8,391枚)
7.8万枚
(7万7,757枚)
2位
 あまちゃん ぶらばん 〜公式版 吹奏楽「あまちゃん」曲集〜
 (2013年7月31日/ビクターエンタテインメント)
0.7万枚
(6,649枚)
0.1万枚
(1,374枚)
63位
 あまちゃん 歌のアルバム
 (2013年8月28日/ビクターエンタテインメント)
12.3万枚
(12万3,389枚)
7.4万枚
(7万4,044枚)
1位
 春子の部屋〜あまちゃん 80’s HITS〜ビクター編
 (2013年8月28日/ビクターエンタテインメント)
1.5万枚
(1万4,766枚)
0.9万枚
(9,199枚)
10位
 春子の部屋〜あまちゃん 80’s HITS〜ソニーミュージック編
 (2013年8月28日/ソニー・ミュージックダイレクト)
1.1万枚
(1万1,039枚)
0.7万枚
(7,300枚)
12位
 暦の上ではディセンバー
 (2013年9月11日/ポニーキャニオン)
1.7万枚
(1万6,624枚)
1.4万枚
(1万3,899枚)
6位
 連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック2
 (2013年9月18日/ビクターエンタテインメント)
1.1万枚
(1万0,612枚)
1.1万枚
(1万0,612枚)
12位

※2013年9月25日現在

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