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『キングダム 大将軍の帰還』大ヒット 漫画の実写映画化を次々と成功させる佐藤信介監督を大解剖

佐藤信介監督(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

佐藤信介監督(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

――『GANTZ』『GANTZ PERFECT ANSWER』(11年)以降、漫画原作のビッグプロジェクトが続いてますね。

佐藤『修羅雪姫』の後、V6の森田剛さん、三宅健さん、岡田准一さんが出演するオリジナルのSF映画『COSMIC RESCUE -The moonlight generations-』(03年)を撮ったり、『LOVE SONG』を気に入ってくださったプロデューサーと芦原妃名子さんの少女漫画を実写化した『砂時計』(08年)の監督・脚本を手がけたり、映画と並行してゲームの仕事をやったり、SF、アクション、そして日常的作品が混じり合いながら作品をつくり続けていた中で舞い込んできたのが『GANTZ』でした。

 現実の東京を舞台にしたオリジナルのSFアクション映画を企画しても「予算的に無理」と退けられるばかりでしたが、『GANTZ』の監督オファーには、大きなバジェットも用意されていて。二つ返事で「やります」と引き受けました。『キングダム』の時もそうでしたが、周りは「実写化できるわけない」「無理だよ」みたいなムードもあったんですが、オリジナルでやろうとしていたジャンルの作品が、むしろプロデューサーの方から依頼されたという感じで、僕としてはそもそもやりたかったことなので、渡りに船だったんです。
――漫画原作の作品を手がける上で念頭に置いていることは?

佐藤原作はいわばバイブル。それをどう解釈していくのかだと思うんです。原作が持っている魅力、読者をひきつけている要素、一番面白いところを僕らも映画化したい。それが根本的に変わっていくことはあり得ない。根本を変えるんなら、オリジナルをやればいい。一方で、原作をコピーしただけの単なる映像化は、縮小再生産にしかならない。自分たちがかかわることによって、原作を映画流に拡大できたらいいなと思うんです。原作ファンの人たちには「映画はこうきたか」と驚いてもらいたいですし、原作を知らない人たちには純粋に映画として楽しんでもらって、「原作を読んでみようかな」と思ってもらえたらいいなと思っています。

 『GANTZ』をやるまで、オリジナル作品にこだわっていたところもあったんですけど、これを描いてみたいという強烈な衝動に駆り立てられる原作との出会いから映画を作っていくのも面白いなと思うようになりました。

 『アイアムアヒーロー』は、「これ、西部劇だな」と思ったんです。僕がそう解釈しただけなんですけど、そういうふうに、その原作を、自分なりに映画的に解釈するんです。この場合は、ゾンビ映画ですが、それ以上に、むしろ、西部劇だという再解釈によって、映画『アイアムアヒーロー』を作りました。

 『BLEACH』の時はクライマックスの戦いを、現代の日常的な街並みの中でやりたい、と思って原作にはない駅前ロータリーで撮ったんです。戦っていくうちに日常的な風景がどんどん破壊されて廃墟になっていくんですが、駅前の風景のほとんどが、壊される前から CGなんですね。でもCGだと気づかなかった人も多くて、どうやって撮ったんだ?みたいになって。日本では予算的にも技術的にも無理だと思っていたけど、360度異世界の作品もできるんじゃないか、と希望が持てたんですね。その後に来た話が『キングダム』でした。

 「映像化不可能」と周りからも言われたんですけど、もしやるなら、一部を中国で撮りませんか?とプロデューサーの松橋さんに提案したんです。もしそれができるなら、映像化可能ですと。実景もありながら『BLEACH』の時のようにCGを駆使すれば、『キングダム』の世界もうまく映像化できるはずだ、という勝算はありました。

 『キングダム』も長い話なので、いろんな切り口、いろんな映画が作れると思うんです。僕は原作漫画の5巻ぐらいまでを読んで、「スター・ウォーズ」の1作目(1977年公開の『エピソード4/新たなる希望』)みたいな冒険活劇だと思ったんですね。再解釈ですね。ある少年が師となる人物と出会い、故郷の村を旅立って、いろんなところをたどり、いろんな刺客と戦い、危ない目にも遭いながら、ついに王宮まで来てしまいました、みたいな。

 そういう意味で言うと、こういう映画にしたいというビジョンが大事かもしれないですね。すでに原作の物語と絵がある、その上で2時間の映画にするわけだから、どんな映画にしたいのか、というのは映画をつくる側が考えなければいけないことです。

 時にはそれが見つけにくいこともあります。当然ですけど、原作は2時間の映画にするために描かれているわけではないですから。どうすれば、多くの人が楽しめる映画にできるか、それがすぐ見つかる時もあれば、時間かかる時もあります。僕の場合は、少しでもそうした映画的な要素を見つけられたら、「行ける!」って感じになりますね。
――『キングダム 大将軍の帰還』での王騎とホウ煖(※ホウ=まだれに龍)の一騎打ちのシーンは、まさに西部劇の決闘でしたね。

佐藤そうですね。あのシーンを撮りたくて、『キングダム』シリーズをやってきたと言っても過言ではないかもしれませんね。『大将軍の帰還』はシリーズ集大成という位置づけと言われていますが、1作目の冒頭で戦災孤児の信が初めて王騎将軍の姿を目にしたことから始まった物語は、4作目の『大将軍の帰還』で王騎軍とともに戦って、綺麗に終わりを迎えることができた、というような気持ちですね。

――『キングダム』シリーズは、全4作いずれも興行収入が50億円を突破するという、比較可能な2000年以降に公開された実写邦画シリーズでは前人未到の記録を達成しました。続編への期待も高まっていますし、ほかの作品からもオファーが絶えない状況かと思いますが、今後について今言えることは?

佐藤『キングダム』は原作の物語がこの先もずっと続いているので、またできるならやりたい、と思っています。自分にとってもこんなに長いシリーズに携わるのは初めてでしたし、なかなかないと思うんですよ。なので、行けるところまで行きたい、という気持ちはもちろんあります。

 「映画監督になる!」から始まった自分自身の長い旅は途中もいいところ。子どもの頃から空想してきた作ってみたい映画はまだまだたくさんあって、大体やったかなぁ、ということは一切ないですし、新たにやってみたいことは増えていくし。これまでの作品で実現できたこともいっぱいありますが、皆さんがあっと驚くような映画をこれからも作っていきたいと思います。と同時に、大学時代から作っていたような、小さな日常の物語を、また作っていきたいとも思っています。

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