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“車は男のロマン”の時代は終焉? 購入のジャッジは女性主導に “商用車丸出し”だった『ハイエース』爆売れの理由 

 かつて“商用車の象徴”とされ、作業服を着た男性の車というイメージで、女性から敬遠されがちだったトヨタ『ハイエース』。だが、オートバックスセブンが展開するガレージライフスタイルブランド「GORDON MILLER」(ゴードンミラー/車両レーベル「GORDON MILLER MOTORS」)が展開する同車をベースにしたカスタムカー『GMLVAN V-01』は、現在、納車8ヵ月待ちを記録するほどの人気。その購入も女性が気に入って決断することが多いという。最低価格550万円という、決して安くはないこのカスタムハイエースが、なぜ今選ばれているのか?

現在8ヵ月待ち、550万円『ハイエース』が爆売れ「購入をきっかけにアウトドアに挑戦しようという層が多い」

 クラシックな丸目フェイスや、内装に天然ウッドを施工し、唯一無二の世界観でアウトドア好きを中心に注目を集め、人気を博している「GORDON MILLER MOTORS」。2019年にトヨタ『ハイエース』をベースにした『GMLVAN V-01』、日産『NV200バネット』をベースにした『GMLVAN C-01』を、今年2月にもダイハツ『ハイゼットカーゴクルーズターボ』をベースにした『GMLVAN S-01』を発売。いずれも納車まで半年以上待ちとなるほど、販売好調となっている。

広瀬氏GORDON MILLER MOTORSでは現在3車種を取り扱っているのですが、おかげさまで販売台数(の推移)は右肩上がりです。取り扱い店舗も増えており、それに伴って販売台数も伸びています。(オートバックスセブン GORDON MILLER KURAMAEスタッフ・広瀬“ゴンザレス”幸雅氏/以下広瀬氏)

宇留間氏3車種あるなかでも、一番人気は『V-01』(ハイエースベース)。一番ハイエンド(高価格帯)にも関わらず、一時は納車まで1年半待ちまでいくほど。昨年生産ラインも強化したのですが、現在でも8ヵ月ほどお待ちいただいております」(オートバックスセブン 広報・IR部・宇留間裕実氏/以下宇留間氏)

 購入層は、「ご夫婦やご家族で、アクティブに出かける人たちが多いですね。また、この車の購入をきっかけにアウトドアに挑戦しようというエントリー層が多いのも特徴だと思います」(宇留間氏)という。

広瀬氏逆に、もともとアクティブだった方は“乗り換え”が多いですね。その理由は、今使っている車が荷物いっぱいで詰めなくなったというもの。SUVのアクティブな車に乗ってるんだけど、キャンプギアが増えてしまって、荷室が足りない。いい車ないかなと探していたらこの車に出会った、みたいな人が結構多いです。また、テント張るのが面倒で車中泊したいと購入される方もいらっしゃいました。

メーカー側も想定外の“女性需要”「インスタで見つけて夫を連れて来店購入する人が増加」

 ベース車が『ハイエース』で、アウトドア向き。そんな“趣味”要素の強い車の購入を希望するのは圧倒的に男性、とみられがち。だが、販売開始から4年が経過するなかで、徐々に変化が見られ、現在、3割ほどの方々が、“女性主導”で購入を決断しているという。

広瀬氏女性主導で来店され、購入を決断されるお客様が増えていますね。実際『どうやってこの車を見つけたんですか?』と聞くと、ほとんどの方が『インスタグラム』『YouTube』とお答えになるんですね。しかも見つけた写真というのが『内装』なんです。SNSを使ってインテリアを見る女性は多いです。車の内装ではなかなか見かけない木のインテリアに『なにこれ、オシャレ、かわいい』となるみたいで。で、その車の外装を見たら丸目でかわいい。実際に、パパ(夫/男性)をお店に連れてきて見てみると、『みんなで乗れて、寝れるし、家族で出かけるにもいいじゃん』となって『ねぇパパ、この車良くない?』って。情報のキャッチから、プレゼン、そして購入までの全部のジャッジを女性が担うというのは、企画開発時では想定していませんでした。

宇留間氏車の特性上、『車を選ぶのは男性、でもお金を出す(財布をにぎっている)のは女性』という風にとらえ、女性をマーケットの対象とは考えていませんでした。

 予想外の女性の“一目ぼれ”需要。だがメーカー側が想定していた、購入へのテンションが上がっている男性に対し、温度の上がらない女性に向けての「女性に購入を許してもらう“口説くための要素”」は、この需要に見事にマッチ。SNSの写真を見て、憧れる女性たちが、来店し、実物を見て購入を決める後押しとなっているという。

広瀬氏開発時のコンセプトは、『キャンプングカー未満、車中泊の車以上の車を目指そう』。当時販売されていたさまざまなキャンピングカーを視察し、そのなかで、ひとつ気付いたことがありました。それは、物を食べるときのテーブルモードと寝るときのベッドモードの切り替えがすごい面倒だったこと。テーブルモードから、パーツをパズルのように組み合わせるんですけど、それがすごくめんどくさくて、分かりづらい。ものによっては一度、外に出ないと組み立てられないケースも。これでは、雨の日がつらい。なので、この車はそれらが反映されて、『頭使わない、時間使わない、体力使わない』の“3ない”で、女性でも簡単に切り替えられるようになっているんです

宇留間氏これ以外にも、その頃のキャンピングカーショーなどで出会った奥様からさまざまな意見をいただいています。例えば、『使わないのにシンクやトイレがある。トイレした後は、誰が後処理するの?』『キャンピングカーは、大きすぎて私は運転できない。そもそも駐車場に入るの?』など…。この車においては、トイレはありませんし、大きさもハイエースですから、普通の駐車場に入ります。これらは、女性の購入を狙って開発したわけではありません。でも結果的に女性も安心して使える仕様にしたというのが、奏功しました。

男のロマン<財布のひもを握る女、という構図に変化「それぞれの求めるものを両立」

 このように、車選びを女性主導で決める家族も増えている一方で、メーカー側が想定した家族における車選びでの「男性対女性」という構図があるのも事実。その多くで議論されるのが、夫の“趣味”と妻の“経済性”“実用性”。男性は、外観や走りを重視する一方、女性は経済性や実用性までしっかりと考え、話し合いは平行線をたどり、結局どちらかが、どこかで妥協することが多い。実際、こうした対立構図のなかで、来店される人も多いという。

宇留間氏一般的な意見として、車選びにおける男性と女性の対立は起こりえること。“男のロマン”<“女の財布のひも”という構図になり、どちらか(特に男性が)が妥協することが多い。一方でこの車に関しては、男性と女性の車に求めるものを、ある程度両立させることが出来ていると思うんです。
 例えば、一般的なキャンピングカーは、修理などを制作したビルダーさん(販売店)でしか受けられないこともあるなかで、この車であれば、車検や修理について全国に店舗(オートバックス)があるので、出先で何かあったとしても安心です。駐車場も普通のハイエースのサイズなので特別大きくなくて大丈夫。普段使いにも趣味にも全く問題なく使えるし、荷物もたくさん入る。趣味と実用性を両立させていると言えると思います。

 実際に妻が「ハイエースは嫌っ!」と言っていた家族や、ハイエースどころか車を持つこと自体反対していた夫婦が、来店して実物を見て、逆転して購入に至ったというような話も多数存在。それらのケースで共通しているのが、反対していた女性の方がいつの間にか購入に前向きになっていることだ。その理由について、広瀬氏は次のように分析する。

広瀬氏女性も来店して実際に車を見れば、車内インテリアや、外装のかわいさで、気持ちが盛り上がることが多いです。 趣味を両立した車なので、実用的な移動手段としての車というだけではなく、移動中、移動先で“この車でこれから作られるであろう思い出”が、ほかのネガティブな要素を上回るのかなと思います。最終的には経済性は最後の一押しくらいになっていき、男のロマンから“夫婦のロマン”に変わっていくのかもしれません。

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