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「軽バンに300万円は高い」世間の声に、オートバックス“新車”開発者の回答は?「『軽自動車だから…』という概念を払拭したい」

11月に発表されたGORDON MILLER MOTORSの新型車両『GMLVAN S-01』(C)oricon ME inc.

11月に発表されたGORDON MILLER MOTORSの新型車両『GMLVAN S-01』(C)oricon ME inc.

 昨今のアウトドア・キャンプブームを追い風に、軽自動車のハイトワゴン・バン市場は、その高い経済性と積載力から人気を集め今や群雄割拠。そんななか昨年11月、オートバックスセブンが展開する「GORDON MILLER」(ゴードンミラー)が発表した新車は、ダイハツ『ハイゼットカーゴ クルーズターボ』をベースに、内外装をカスタム。その仕様に「カッコイイ」「欲しい」など賛辞が贈られる一方で、「軽バンに300万円はさすがに高い」「自分でDIYしたほうが…」といったネガティブな声も聞こえる。この価格帯も含め、開発の背景を同ブランドの宮田丈氏、会田高久氏に聞いた。

『東京オートサロン2019』での“出会い”が開発の発端に

 昨年11月に発表された新車『GMLVAN S-01』(以下/S-01)の企画が生まれたのが、2019年。同年に「GORDON MILLER」(車両レーベル「GORDON MILLER MOTORS」)から発売された、トヨタ『ハイエース』をベースにした『GMLVAN V-01』(以下/V-01)、日産『NV200バネット』をベースにした『GMLVAN C-01』(以下/C-01)を、『東京オートサロン』に出展したことがきっかけだった。

宮田『東京オートサロン』に出展した際、はからずもブースが近かったダイハツ工業さまが、『GORDON MILLER』の世界観などに興味を示していただき、「一緒にタッグを組んでできないかな?」というお話をいただいたのです。実は、この2台を開発していた当初から社内でも「もう少しサイズの小さい車をやりたいね」という話があり、“渡りに船”というわけではないんですが、そこから話が進んでいったというのがスタートでした。

 この『東京オートサロン』から2年後となる、2021年12月に、ベース車両となるダイハツ『ハイゼットカーゴ』は17年ぶりにフルモデルチェンジ。「GORDON MILLER」は、車両メーカーとタッグを組んだ関係で、早い段階からこの新型車両の提供を受け、開発に臨むことができた。開発時に意識したことは、“持て余さずに使い倒せること”。

宮田以前のV-01は大人数のファミリー、C-01は大人2人にお子さんや、ペットを乗せるイメージ。新たに開発するS-01は、それより小さい車で、ソロキャンプなどでも持て余さない、ひとりでも使い倒せる車を作って“バンライフ”を楽しんでいただこう、ということが念頭にありました。

「軽自動車だから…」という概念を払拭し、特性を最大限に生かす開発

 これまでに発売された2台では大きすぎて運転できないという人にも、軽自動車というサイズ感であれば手軽に運転ができ、また「GORDON MILLER」の世界観に触れられる。そういう意味では「すそ野を広げる」(宮田氏)という役割がぴったりなS-01だが、一方でもうひとつ意識したのは、“軽自動車感”を払拭するということ。そこには、クラス感を感じさせない車両を開発するという想いがあった。

宮田今の軽自動車はとても性能が良く、価格も普通車以上のものも多い。軽自動車がメインカーとしても市場に浸透していく一方で、絶対的なサイズからくる質感や小排気量による走りの性能については限界がある、ということも事実として感じていました。S-01はこれまでの車両が培ってきた世界観をこの小さなボディにギュッと凝縮し、『軽だから…』というネガティブな概念は払拭したい。

 ベース車にターボを選んだのも、内外装にこだわったのも、『軽自動車だからV-01、C-01の廉価版』であるという安易な建て付けではなく、ユーザーに自信を持って送り出せるものをしっかり選びました。実際、V-01、C-01には付いていないパワースライドドア(通常のハイゼットではオプション設定)や、スマートキー/プッシュスタート、CORDURA生地のシートカバーが標準で付いていたりするのも、そういった想いからです。ボディもオールペンによる全塗装ではなく、ダイハツ工業さまご協力のもと工場ラインによる塗装とし、品質にこだわりました

 “軽自動車感”を感じさせず、ユーザビリティーの面では、軽自動車の持つ特性を最大限に生かす。それは細かいところにも表れているという。

会田リアガラスは、スマートアシスト(衝突回避機能)の大きなカメラがあるので、カーテンレールをよけないといけない。よけて付けるとどうしてもスキマが生まれてしまうんですが、S-01の場合はカメラをよけつつ、遮蔽できるカーテンの形状にしています。短くしたり長くしたり、カーテンの合わせ面をどうしたらいいのか…など、何度も試行錯誤を繰り返しました(笑)。

 軽自動車だけに、ソロキャンパーや女性キャンパーの需要が見込まれる。当然、防犯面では大人数に比べ、気を付けなければならない点が多い。S-01については、「セキュリティアラームが付いているので、こじ開けられそうになったら、セキュリティー音が鳴りますし、カーテンもフルスクリーンでついていますので、防犯の面でも心強さはあると思います」(会田氏)と、その強みを誇る。

「300万円は高い」の声への開発陣のアンサーは?

写真左/GORDON MILLER事業推進部 モータース企画開発 宮田丈氏、写真右/GORDON MILLER事業推進部 会田高久氏 (C)oricon ME inc.

写真左/GORDON MILLER事業推進部 モータース企画開発 宮田丈氏、写真右/GORDON MILLER事業推進部 会田高久氏 (C)oricon ME inc.

 先述の通り、軽自動車のハイトワゴン・バン市場は今まさに盛況。ライバルが多いことについては、「いままさに、市場全体が認知され盛り上がっている。その影響で、今までキャンプに興味のなかった人たちが『そういう遊び方もあるんだ』『ソロキャンプも流行っているらしいね』と気づき、S-01が注目されたということはあると思います」(宮田氏)と歓迎の模様。だが、価格も含めた競争が激しいだけに、「“軽バン”に300万円というのは高い」「自分でDIYしたほうが…」という声があるのも事実。そのあたりは、メーカーとしてどのようにとらえているのだろうか?

宮田「自分でDIYしたほうが…」というご意見もいただいていますが、例えば、内装で木とビスをドリルで打ち付けることは可能だと思います。ただ、どこでも打っていいわけではなく、打っていい箇所を理解した上での作業になってくる。DIYされる方のなかには、「自分で配線もやったけど、ヒューズが飛んでしまった」なんて話も聞きます。また、ご自身でDIYされた場合、車検の保安基準に通らない可能性もありますし、それだけリスクがある。我々は、法的な部分でも、隅々まで何度も検証を繰り返している。安心を買うという意味でも、プロに任せていただければとも思います。

宮田我々は「お気に入りのガレージライフをそのまま外に持ち出して、バンライフとして楽しもう」というコンセプトを提唱していて、その付加価値があの車で表現できていると思っています。それに、私たちが開発した車両は、車両本体の価値だけではないと考えています。車との付き合い方、楽しみ方を提供できる空間づくり(車のオーナーが一堂に集うオーナーズキャンプ)も行っていて、さらに拡大していく予定です。そういったコミュニティも含めた価値として受け止めていただけると幸いです。
 ただ正直なところ、『高い』というユーザーの声に関しては、真摯に受け止めなければいけないと思ってます。価格を下げるというよりは、より魅力を高められるようにしたい。そういう良さを伝えられるようにしていきたいですね。

 1月13日から開催される『東京オートサロン』には、新車だけでなく、これまで発売した2台もそろって出展予定とのこと。「内外装のクオリティはかなり高く仕上がっていると思います。写真だとうまくお伝え出来ない部分もあると思うので、ぜひご自身の目で見て、ほかのライバル車種と比較していただければ」(宮田氏)と自信をのぞかせる。「300万円は高い」と評するかどうか、その価値を自身の目で確かめてみては。

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