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日高屋、物価高騰でも「中華そば390円」を死守 それでも“過去最高収益”を見込む独自戦略とは

 中華料理チェーン店「日高屋」などを展開するハイデイ日高は、今年で創業50周年を迎えた。半世紀に渡って店舗を増やし続け、その数はいまや400を超えるが、意外にも展開は関東のみ。それも「駅前1階」の立地にこだわり、独自のシェアを獲得してきた。ここ数年はコロナ禍や物価高騰など、飲食業界に逆風が立ち込める中、看板メニューの『中華そば』は当初から一度も値上げせず、390円をキープしている。その理由を同社社長に聞いた。

コロナ禍打撃からV字回復の背景に「ロードサイド展開」 女性客&ファミリー層の獲得

 都内近郊で駅を降りると、目の前に佇む日高屋につい寄りたくなる。創業当初から、同社は「乗降客5万人以上の駅前1階」の立地にこだわり、この“帰り道立ち寄り”需要を獲得してきた。しかし、リモートワークが定着したコロナ禍において、当然その売上は激減。1日1000万円、月間3億円の赤字を計上し、経営陣は夜も眠れなかったという。

 2020年に記録した過去最高の年間売上高422億円から、2021年は一気に295億円へと落ち込んだ。しかし昨年にはV字回復を果たし、今年の売上は過去50年で歴代最高を記録する見込みだ。その背景には、創業以来の苦境に追いやられるも、新店舗を開拓し続けた「攻めの経営」にあった。
「50年間関東だけでやってきたので、1ヵ所の工場だけで配送できて、非常に利益率が良いんです。でも400店舗を超えてきたので、コロナがなかったら、関東以外の初進出を計画していたんです」(ハイデイ日高・青野敬成社長/以下同)

 それがコロナ禍で実現困難となり、苦肉の策として打ったのが、ロードサイドの展開だ。これまでのこだわりを捨て、駅から離れた道路沿いの出店に注力した。すると、新たにファミリー層の支持に繋がり、テイクアウトの拡充は女性客の来店を呼んだ。

「テイクアウトはコロナ前に比べて3〜4倍の売上になり、新たなお客様の獲得ができたと思います。店内利用は男性7割、女性3割ですが、テイクアウトでは逆に女性7割、男性3割となってます。主婦の方が夕食のメニューとして、餃子やニラレバなどを購入されるケースが増えています」
 また、郊外の家賃が下がってきた影響で、乗降客の少ない駅前にも出店を広げた。

「以前は乗降客5万人以上の駅でないと採算が取れませんでしたが、今は2万5千〜3万人ぐらいの駅でも出せば勝算があると分かってきました。そうすれば、関東でもまだまだ出店の余地はある。

 店があまりない駅前に出すと、その地域の方々が『街が明るくなった、治安も良くなった』と喜んでくれるんです。パートさんも採用しますから、雇用促進の面でも貢献できます。地域の方々が『来てくれてありがとう』と言ってくださる間は、生き残っていけるんじゃないかと。その意味では、地域の方々にどれだけ信頼していただける店を作れるかが一番大きいですね」

勝因は“中間層”狙う「普通の味」と「価格維持」 創業以来初の全国・海外展開も視野に

 コロナ禍が落ち着きを見せつつある今、創業以来初の全国展開や海外進出も目論んでいる。店舗を広げるに当たり、何より重視しているのは「味」だ。日高屋は、お手頃価格で“普通の味”を心掛けているという。

「人って、すごく甘かったり辛かったり、かなり強調した味を美味しいと感じるんですよね。でも美味しすぎると、週1回とか月1回食べればいいという感覚になりますよね。我々はお客様に毎日来ていただきたいので、あえて美味しすぎない“普通の味”を提供しています。非常に難しいですが、絶妙のバランスをいろいろ研究しています」
 また、ターゲットは“中間層”に定めていることも、この半世紀あらゆる局面を乗り越え、生き残ってきた要因として大きい。

「うちは飲んで食べてもらうという狙いなんですよ。アナリストから『何屋だか分からない』『中途半端』って意見も随分ありましたが、何でも“中間層”っていうのが一番厚いんです。ドラッグストアだって、薬だけ売ってるわけではない。飲食で言えば、『飲む』と『食べる』の真ん中は一番層が厚いんです。でも、大体の店が分かれちゃっていて、真ん中を狙うのは結構難しいんです」

 一般的な中華店のアルコール比率は3〜4%程度だが、日高屋は10〜15%と極めて高い。そして、物価高騰が相次ぐ中、食べて飲んで“1000円以下”の価格を維持している。中でも390円の『中華そば』は、この20年間、一度も値上げをしていない。
「390円を維持するのは、社内でもかなり議論がありましたが、そこは私のわがままでやらせてもらってる部分もあります。いくら物価が上がっても、お小遣いも年金も上がらない。お子様がお小遣いでラーメンを食べたい時、ご高齢の方が少ない年金生活の中で外食を楽しむ時、ぜひ我々のお店に来ていただきたい。そういった意味合いも込めて、頑張らせていただきたいと思っています」

 帰り道に最寄り駅で終電を気にすることなく、気軽に“ちょい飲み”ができる日高屋。昭和、平成、令和と、深夜まで灯るその明かりに救われた学生やサラリーマンは数多いだろう。今後、関東独自だったその灯が近所のロードサイド、さらには全国に広がり、海外にまで『日高屋』の名が知れ渡る日がそう遠くはないかもしれない。
(取材・文=水野幸則)

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