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食卓から昆布が消える? “和食の危機”も目前か…高齢化による生産激減に一手、「利益度外視」の挑戦
利益度外視の“生昆布”事業、コストかさむも「昆布業界を守る第一歩」

ふじっ子煮MIRAI おやさい生昆布
ふじっ子煮MIRAI 梅入り生昆布
「でも、生昆布を使用した『ふじっ子煮MIRAI(ミライ)』シリーズは、乾燥昆布を用いた商品と比べてもお値段据え置き。現状は利益度外視なんですよ(笑)。よく『儲かるからやっているのでは?』と聞かれますが、そんなことはまったくないです。昆布業界に深刻な危機感を持っているからこその取り組みです」
とりあえず、3月の売上目標は クリア。流通事業者からは、SDGs的な観点でも評価を受けており、実際に店頭に並ぶ機会も増えている。とはいえ、消費者にとってみれば、乾燥だろうと生だろうと好きなものを購入するだけだ。生昆布を使っているから、SDGsだからと購入する人はまだまだ少数。和食の未来のために利益度外視で…との同社の目的は崇高ではあるが、エンドユーザーにしっかり認知してもらうことも重要だ。
ちなみに、和食のキモであるだし用には乾燥昆布の方が向いているそうで、“生昆布”ですべてが解決できるわけでもない。乾燥昆布自体の消費量も年々下がっているが、だし文化は世界で注目されていることもあり、まだまだ諦める気はない。
「昆布 佃煮のシェア50%の我々が伸びていけば、市場全体も上がっていくと思っています。まずは生昆布事業を成功させ、次に乾燥昆布でも別のやり方を模索していきたい。現在は昆布業界を守る第一歩を歩み始めたばかりです」
「ただ原料を仕入れて売る時代は終わり」、生産者側に踏み込む企業
生産者の高齢化や跡継ぎ問題、若者のホワイトカラー志向、自然環境の変化による影響。これらの問題は昆布業界にとどまらず、第一次産業とそれに関わる企業に突きつけられた命題ともいえる。日本の礎ともいえる第一次産業を守るために、企業は何をすべきか。この“生昆布”事業が、昆布の、ひいては和食の危機を救う一助となるのか。今後の展開を注視したい。
(文:衣輪晋一)
■フジッコ 生昆布の取り組み(外部サイト)