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「こんな場所にも…」モンベルの出店戦略はセオリーの“逆”? 好調の理由はアウトドアブームだけではない
重いランドセル問題を解決する商品は完売、アウトドアで培った技術が生きる
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大きな話題を呼んだ通学用リュックサック『わんパック』
ほかにも、期せずしてヒットしたのが、『トレッキングアンブレラ』や『サンブロックアンブレラ』だ。その名のとおり、元は登山など過酷な環境での雨や風、強い日差しを遮るために生まれた商品ではある。だが、野外での活動用に軽くて丈夫に作られたものは、普段の生活でも重宝するのは当然だ。
「これらがアウトドア好き以外の方にも注目していただけたのは、SNSによる拡散と、ショッピングモールへの出店が影響していると思います。ファミリーで来店していただく機会ができて、商品を手にとってもらう機会も増えたので。ただ、SNSでの盛り上がりは偶然ですね(笑)。発売からだいぶ経ってから、山好きなモデルさんや口コミで広まってくれました」
流行やファッション感覚とは「目指しているものが違う」、ブームに乗せられない強度
2023年の春夏アイテムも販売中
「我々のものづくりのコンセプトは、“自分たちが欲しいものを作る”からスタートしています。起業から40数年の間に社員が増え、やりたいこと、欲しいもののバリエーションも多くなってきました。最初は登山用品からスタートしていますが、カヤックにサイクリング、家庭菜園など、社員の趣味の幅も広がってきましたし、子ども用製品も欲しい…といった要望が出てくる。そういった声を吸い上げて、企画部が整理して形にしてきて、現在に至っています。製品についても、数字上の合格基準以外にも、社員が使ってみてどうだったのかという、細いフィードバックを重視している。お店のスタッフなど、いろんなところから声が届きますし、商品化されてからも改良は重ねています」
アウトドアが盛り上がる現在。それだけに、ライト層を意識したファッション寄りの商品、低価格のあまり耐久性などが不安視される商品もあるが、モンベルはあまりブームに左右されているようには見えない。
「機能を追い求めていけば、そこに美しさが宿る。“Function is beauty(機能美)”を理想としています。目指しているものが違うところにあるので、流行にはあまり左右されないですね。世の中の動きとは関係なく、いつの時代もアウトドア好きな人を対象に地道にやってきました。結果的にブームの浮き沈みなど、悪い影響も受けにくいのではないでしょうか」
本当に必要な機能を備え、快適さを追求した商品展開を続けて歩んできた40数年。世に溢れるマーケティングやセオリーとは、また異なるやり方で発展してきた。「求める人がいるから」とは、とても原始的でありながら究極の指針だ。たとえ現在のアウトドアブームが落ち着いたとしても、同社は変ることなく、人や地域とつながっていくのだろう。
(文:根岸聖子)