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『百想芸術大賞』授賞式前に振り返りたい!作品賞にノミネートされた“必見”韓国ドラマ5作品【ハングクTIMES Vol.55】

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ハングクTIMES
K-POP、ドラマ、映画などさまざまエンタメコンテンツが盛り上がり、まさに時代は“第4次韓国ブーム”。現地の最新トレンドや話題のドラマ・俳優、グルメ・ファッション・コスメなど…“今”気になる韓国情報をお届けします!
韓国の数ある授賞式の中でも、映画・テレビ両方を扱った唯一の総合芸術賞であり、長い歴史と信頼ゆえに「韓国の演技者たちが最も受賞したい賞」とも言われる『百想芸術大賞』。視聴率や話題性だけではなく「芸術性」の観点から審査されるため、受賞はもちろんノミネートされるだけでも栄誉なことです。5月6日の授賞式を控え、本記事ではそんな『百想芸術大賞』の中でも最も注目度が高いとも言える「作品賞」に今年ノミネートされている、選ばれし韓国ドラマ5作品『D.P. −脱走兵追跡官−』『二十五、二十一』『イカゲーム』『赤い袖先』『こうなった以上、青瓦台に行く』をご紹介します。授賞式前にぜひチェックしてみてください!

『D.P. −脱走兵追跡官−』

累積再生回数が約1000万回を超えたキム・ボトン作家のウェブ漫画を原作とし、陸軍憲兵隊の軍務離脱逮捕組「D.P.(Deserter Pursuit)」という斬新な素材を扱ったNetflixオリジナルシリーズ。今まで触れられなかった韓国の徴兵制の闇に迫り、韓国でも「歴代最高のNetflixオリジナル作品」との声も上がっている作品です。百想では作品賞をはじめ、演出賞、最優秀演技賞(チョン・ヘイン)、助演賞(チョ・ヒョンチョル)、新人賞(ク・ギョファン、シン・スンホ)と、多くの部門でノミネートを果たしています。
本作は、普通に服務していた二等兵のジュノ(チョン・ヘイン)が、ある日突然D.P.になってホヨル(ク・ギョファン)と共に脱走兵を追う過程を描いた作品。多様なエピソードを持つ人々を追っていくうちに、以前は知らなかったさまざまな現実に直面していく、というストーリーです。実際にウェブ漫画を描いたキム・ボトン作家はDPだった本人の経験をモチーフにし、漫画に出てくる状況はほとんど実話を脚色して創作したそう。
本作がすごいのは、表現の制約がないNetflixというプラットフォームを生かし、目を背けたくなるような軍隊内の過酷な行為と、暴力の残虐さといった軍隊の現実をリアルに描き出しながらも、エンタメとしても高い没入度を誇っていること。緊張感溢れるストーリーの中にも、チョン・ヘインとク・ギョファンの抜群のケミストリーが絶妙なバランスで笑いと安心感を生み出し、グッと物語に引き込まれます。
「韓国の軍隊」という日本人にはなかなかなじみのないテーマと、「重そう…」というイメージで敬遠されがちかもしれませんが、本作が投げかける「傍観する社会」へのメッセージは、私たちが属するあらゆる組織や社会にも通じ、現代社会を映し出しているんです。心にずっしりと響き、深い余韻を残す本作は、韓国ドラマの奥深さをもう一度痛感する一作です。
そして俳優陣が軒並みノミネートを果たしている事からも明らかですが、チョン・ヘインやク・ギョファンをはじめとする全俳優陣の熱のこもった演技に終始魅了されてしまいます。百想では、作品関連の賞はもちろん、俳優陣も受賞する可能性が非常に高いのではないかと思います。
▼配信情報 
Netflixシリーズ『D.P. −脱走兵追跡官−』独占配信中

『二十五、二十一』

沼人、ロス人を続出させ、日韓のドラマファンを熱狂させたドラマ『二十五、二十一』。近年視聴率がなかなか出にくいロマンス、青春ドラマジャンルにも関わらず、同時間帯視聴率1位、テレビドラマ話題性1位を獲得し、韓国内でも大きな話題を集めた作品です。百想では作品賞をはじめ、最優秀演技賞(キム・テリ)、新人賞(チェ・ヒョヌク)といった部門でノミネートを果たしています。
本作は、1998年、韓国が類を見ない経済不況に陥っていたアジア通貨危機時代を背景に、夢を奪われた若者たちのジレンマと成長、そしてロマンスを描いたヒューマンドラマ。主人公ナ・ヒド(キム・テリ)の娘が、コロナ禍である現在に開いた母の高校時代の日記帳を元に、母ヒドの若かりし青春時代の物語が展開していきます。
本作がまず序盤から視聴者を虜にしたのは、細かな演出や過去の小さな伏線から考察を白熱させる、まるで名作『応答せよ』シリーズを彷彿とさせる巧みな展開方式でしょう。現在の状況をチラ見せすることで「娘の父親は誰か」という最大級の謎をスタートから匂わせ、毎週放送日直後は、SNSを中心に日韓で「考察班」が巧みな推理を繰り広げました。
さらに謎解きと共に人々を夢中にさせたのは、老若男女誰しもの心の中にある「美しい青春」の思い出を呼び起こすストーリー。ヒドのまぶしい青春物語を1ページずつ振り返りながら、どこか自分の青春を重ねて観ていた…という人も多かったのではないでしょうか。
前半は、キム・テリ演じるヒド×ナム・ジュヒョク演じるイジンをはじめとするそれぞれの恋愛物語に“ギュンギュン”して、フェンシングを通しての友情、彼らの眩しい青春に胸を打たれながら。後半は、物語と同時に自分の青春時代が幕を閉じてしまうかの様に切なく、ただとどめなく涙が流れてしまう。「永遠ではないからこそ輝く青春の尊さ」に胸を震わせながらも、不遇な環境下の中で立ち上がり続ける彼らの姿は、コロナ禍を生きる私たちの背中をそっと押してくれるはずです。
▼配信情報 
Netflixシリーズ『二十五、二十一』独占配信中

『イカゲーム』

グローバルセンセーションを巻き起こした、まさに2021年の主人公とも言えるドラマ『イカゲーム』。初公開後の28日間で1億4200万人もの人が視聴し、Netflix歴代最高のヒット作となりました。百想では作品賞をはじめ、脚本賞、演出賞、芸術賞、最優秀演技賞(イ・ジョンジェ)、助演賞(ホ・ソンテ、キム・ジュリョン)、新人賞(チョン・ホヨン)と、今回最多の8部門にてノミネートを果たし、テレビ部門大賞も予想されています。
本作は、456億ウォン(約44億円)の賞金がかかった謎のサバイバルゲームに参加した人々が、最終的な勝者になるために命をかけて極限のゲームに挑戦する物語。壮絶なデスゲームは、人間の欲望と心理に迫りながら、恐ろしい人間の本性を引き出し、緊張感と共に観る人に数々のメッセージを投げかけました。
やはり本作の魅力は、パッと目を引き人々の五感を刺激する奇抜なビジュアルと、ストーリーのシンプルさ。「デスゲーム」という誰もが没入しやすい題材、そして至ってシンプルでわかりやすいストーリー展開。全9話と週末にサクッと観やすい話数というのもあり、既存の韓ドラファンはもちろん、そうでない人たちも魅了した作品ではないかと思います。
イ・ジョンジェをはじめ、チョン・ホヨン、ウィ・ハジュン、イ・ユミら出演俳優たちのインスタグラムアカウントのフォロワー数が激増するなど、俳優陣にも大きな注目が集まりました。イ・ジョンジェとチョン・ホヨンが、全米映画俳優組合賞(Screen Actors Guild Award、SAG)を受賞したのをはじめ、オ・イルナム役を演じたオ・ヨンスがゴールデングローブ賞で助演男優賞に輝くなど、海外で数々の賞を受賞し高い評価を得ている本作が、百想でどのように評価されるのかが、今年の授賞式の大きな見どころとなりそうです。
▼配信情報 
Netflixシリーズ『イカゲーム』独占配信中

『赤い袖先』

「史劇の新たな名作が誕生」と韓国視聴者から絶賛された大ヒット史劇『赤い袖先』。最終回では17.4%という高視聴率を記録し、『2021 MBC演技大賞』では驚異の8冠を受賞。百想でも、作品賞、演出賞、最優秀演技賞(ジュノ、イ・セヨン)など7部門でノミネートを果たしている今年の大本命です。
本作は、自分の人生を守ろうとした女官と、愛より国が優先だった第22代王イ・サンの切ない愛を描く歴史ロマンス。イ・サンを描いた作品はこれまでたくさん制作されていますが、本作のすごみは、女官という新たな視点から、君主の苦悩や孤独、女性の生き様など、その時代を生きる人々の心理を深く掘り下げて、歴史を見つめているということです。
王に愛されることによって「失うもの」や「変わってしまうこと」など、これまで史劇で描かれることのなかった「女性の人生」にも着目した作品なんです。そのため、史劇でありながら、現代に生きる私たちの人生にも通じる深いメッセージを投げかけたことが、絶大な支持を集めた理由ではないかと思います。
史実に基づいたストーリーで史劇らしい重厚感を醸し出しながらも、キュンとするロマンス要素や笑えるコメディー要素も織り交ぜ、エンタメとしても高い完成度を誇っているのもポイントです。深いメッセージ性がありながらも、時にキュンとして笑って、号泣して…と全ての感情を満たしてくれる作品なんです。個人的には作品賞はもちろん、テレビ部門大賞も狙える作品ではないかなと思います。
▼放送情報
『赤い袖先(原題)』
KNTV
4月16日(土)スタート、毎週土曜 後8:00〜10:30※2話連続放送

『こうなった以上、青瓦台に行く』

ノミネート作品の中で、唯一日本で放送・配信されていないのが本作品。作品賞をはじめ、演出賞、脚本賞、助演賞(イ・ハクジュ)とさまざまな部門でノミネートを果たしています。それもそのはず、実は本作、韓国の映画雑誌『CINE21』が実施した映画評論家、記者と共にテレビ評論家計30人が選ぶ、『2021年を輝かせた韓国ドラマシリーズTOP10』で、2位のほぼ二倍に近い票を集める圧倒的支持を得て1位を獲得した作品なんです。ちなみに2位は『調査官ク・ギョンイ』、3位は『DP』だったのですが、『DP』は言わずもがな、ク・ギョンイも「なぜ百想にノミネートされていないのか?」という声があるほど、韓国で高い評価を得ていた作品なので、1位に輝いた本作が今年の百想で作品関係の賞を取る可能性は非常に高いのではないかと思われます。
本作は、韓国の動画配信サービスwavveでしか観ることができない完全オリジナルドラマ(韓国でもテレビ放送はありません)。文化体育観光部の長官に任命されたオリンピック金メダリスト出身でセレブのイ・ジョンウン(キム・ソンリョン)が、夫で政治評論家のキム・ソンナム(ペク・ヒョンジン)が拉致事件に遭ってしまい、一週間孤軍奮闘する物語です。
本作がすごいのは、ユーモア、風刺が効いた絶妙なコメディーに、「夫の拉致事件」というサスペンス要素が加わって、「政治」について、誰もが興味を持てるようなわかりやすい作品になっていること。政治問題や権力闘争を重く、ダークに描くのではなく、コミカルに愉快に扱ったことで、誰もが共感し、楽しめる作品になっているのです。wavveの新規視聴者の流入及び視聴時間1位を達成し、シーズン2の要請が溢れ出すなど韓国で大きな愛を受けた作品なので、日本上陸の際は必見です。
ライタープロフィール
Dramawriter Nana
韓国ドラマをこよなく愛するドラマライター。
WEB媒体を中心に、ラジオ、雑誌等で韓ドラ愛を叫ぶ記事執筆中。Twitterでは推しドラマ愛を暑苦しく配信中。
マニアックで隠れた名作なら任せて下さい。
Twitter:https://twitter.com/Nana_writer76

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