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第45回日本アカデミー賞(2022年)受賞結果一覧

『第45回日本アカデミー賞』受賞者(C)東京写真記者協会

『第45回日本アカデミー賞』受賞者(C)東京写真記者協会

 米映画芸術科学アカデミーの正式許諾を得て、日本アカデミー協会が発足。1978年4月6日に第1回授賞式が開催された、“日本映画人による日本映画人のための日本映画の祭典”日本アカデミー賞。2021年1月1日から2021年12月31日までに日本で公開された優秀作品を表彰する『第45回日本アカデミー賞』授賞式が2022年3月11日に行われ、各部門の優秀賞受賞者が集うとともに、最優秀賞が発表された。

最優秀作品賞:『ドライブ・マイ・カー』

(左から)主演の西島秀俊、監督の濱口竜介(C)東京写真記者協会

(左から)主演の西島秀俊、監督の濱口竜介(C)東京写真記者協会

 『寝ても覚めても』(2018年)の濱口竜介監督が、村上春樹の同名短編小説を原作に、自ら脚本も共同執筆。愛妻を亡くした舞台演出家喪失感と向き合い、再生へのきっかけを掴むまでを、「ワーニャ伯父さん」や「ゴドーを待ちながら」などの戯曲もシンクロさせつつ描き、見る者の心を揺さぶった。

 「第74回カンヌ国際映画祭」で脚本賞を含む4つの賞を獲得したのを皮切りに、「第87回ニューヨーク映画批評家協会賞」作品賞、「第42回ボストン映画批評家協会賞」および「第56回全米映画批評家協会賞」の作品賞、監督賞、主演男優賞(西島秀俊)、脚本賞、「第47回ロサンゼルス映画批評家協会賞」作品賞、脚本賞、「第79回ゴールデングローブ賞」非英語映画賞を受賞。「第94回アカデミー賞」では日本映画史上初となる作品賞ほか、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞とあわせて4部門でノミネートされる快挙を達成。

 国内でも「第34回日刊スポーツ映画大賞」作品賞、主演男優賞(西島秀俊)、「第76回毎日映画コンクール」日本映画大賞、監督賞、「第95回キネマ旬報ベスト・テン」日本映画作品賞、日本映画監督賞、日本映画脚本賞などを獲得。今回の「日本アカデミー賞」では8部門の優秀賞と最優秀賞、新人俳優賞(三浦透子)を受賞。

監督:濱口竜介 脚本:濱口竜介/大江崇允
出演:西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか、ほか

★『ドライブ・マイ・カー』最多8冠
最優秀作品賞
最優秀監督賞(濱口竜介)
最優秀脚本賞(濱口竜介/大江崇允)
最優秀主演男優賞(西島秀俊)
最優秀撮影賞(四宮秀俊)
最優秀照明賞(高井大樹)
最優秀録音賞(伊豆田廉明=録音/野村みき=整音)
最優秀編集賞(山崎梓)

最優秀アニメーション作品賞:『シン・エヴァンゲリオン劇場版』


 1995年のTVアニメ放送開始から社会現象を巻き起こしてきた『新世紀エヴァンゲリオン』を、2007年に再起動し、これまでに「:序」(07年)、「:破」(09年)、「:Q」(12年)の3作を公開してきた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの4作目。庵野秀明総監督が創作の原点に立ち返り、新たな構想と心境に描いてきた新シリーズの完結編であるとともに、約25年にわたるシリーズ全体を締めくくる作品となった。

 シンジ、レイ、アスカ、マリという個性あふれるキャラクターたちが、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗し、それぞれの生き方を模索する中で、“人の本質とは何か?”“人は何のために生きるのか?”という深いテーマを描き出した。

 日本を代表する一流アニメスタッフが多数参加しているほか、最新のデジタル技術も駆使し、庵野総監督が細部まで徹底的にこだわり抜いて制作。21年度の日本での興行収入トップとなる102億8千万円をあげ、シリーズ最大のヒット作となった。

総監督・脚本:庵野秀明 監督:鶴巻和哉/中山勝一/前田真宏
製作:カラー

最優秀助演女優賞:有村架純『花束みたいな恋をした』

司会の長澤まさみ(右)から最優秀ブロンズを受け取った有村架純(左)(C)東京写真記者協会

司会の長澤まさみ(右)から最優秀ブロンズを受け取った有村架純(左)(C)東京写真記者協会

 『映画 ビリギャル』(2015年)の土井裕泰監督との再タッグとなった『花束みたいな恋をした』で、ヒロインの八谷絹を演じた。菅田将暉扮する山音麦と、終電を逃したことをきっかけに出会い、好きなものが一緒で、瞬く間に恋に落ちる。脚本家・坂元裕二が執筆段階から主演に有村と菅田を想定したというだけあり、二人で過ごした5年間の、何気ない、けれどかけがえのない日常をナチュラルに体現。見る者の共感を呼ぶラブストーリーの立役者となった。

【受賞歴】第39回『映画 ビリギャル』で優秀主演女優賞と新人俳優賞受賞。ほかに本作と『映画 太陽の子』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』などで「第13回TAMA映画賞最優秀女優賞などを受賞。

優秀主演女優賞受賞者(左から)永野芽郁、天海祐希、松岡茉優、有村架純、吉永小百合(C)東京写真記者協会

優秀主演女優賞受賞者(左から)永野芽郁、天海祐希、松岡茉優、有村架純、吉永小百合(C)東京写真記者協会

最優秀主演男優賞:西島秀俊『ドライブ・マイ・カー』

前回の受賞者・草なぎ剛(右)から最優秀ブロンズを受け取る西島秀俊(左)(C)東京写真記者協会

前回の受賞者・草なぎ剛(右)から最優秀ブロンズを受け取る西島秀俊(左)(C)東京写真記者協会

 同映画で、妻をなくした喪失感を抱える舞台演出家であり俳優の家福悠介を演じた。常に穏やかで冷静に振る舞う家福だが、専属ドライバーの渡利みさき(三浦透子)との交流を通じ、無意識下にあった本心に気づき、すべての感情をさらけ出す。その控えめながら揺れる心の機微を物悲しさを漂わせる圧巻の演技で魅せた。アジア人俳優として初めて全米批評家協会賞主演男優賞に輝くなど、言葉の壁を越えて海外の観客の心も震わせた。

【受賞歴】最優秀主演男優賞、優秀主演男優賞はともに初受賞。第42回『散り椿』で優秀助演男優賞受賞。『ドライブ・マイ・カー』では、「第56回全米映画批評家協会賞」「第42回ボストン映画批評家協会賞」「第34回日刊スポーツ映画大賞」にてそれぞれ主演男優賞受賞。

優秀主演男優賞受賞者(左から)西島秀俊、佐藤健、松坂桃李、菅田将暉、役所広司(C)東京写真記者協会

優秀主演男優賞受賞者(左から)西島秀俊、佐藤健、松坂桃李、菅田将暉、役所広司(C)東京写真記者協会

最優秀助演女優賞:清原果耶『護られなかった者たちへ』

前回の受賞者・黒木華(右)から最優秀ブロンズを受け取る清原果耶(左)(C)東京写真記者協会

前回の受賞者・黒木華(右)から最優秀ブロンズを受け取る清原果耶(左)(C)東京写真記者協会

 『護られなかった者たちへ』は、東日本大震災から10年目の仙台で、被害者が餓死させられる殺人事件が連続して発生。その事件の真相を明らかにしながら、現代日本の格差社会の現実も映し出した社会派ミステリー。容疑者・利根役で佐藤健が主演、利根を追う刑事・笘篠役で阿部寛が出演。清原は、殺人事件の捜査への協力を求められる福祉保険事務所の職員・丸山幹子役を演じた。生活保護を本当に必要な人に、という使命感を持ち、親身になって生活困窮者の相談に乗る一方で、不正受給者に対しては、情に流されることなく毅然とした態度で接していく。心の奥底に憎しみを抱え、過去に希望も絶望も味わったからこその頑なさ、強さを持つ幹子を、凛とした佇まいで演じた。

【受賞歴】初受賞。ほかに同作で「第32回山路ふみ子映画賞」新人女優賞、「第34回日刊スポーツ映画大賞」助演女優賞、「第76回毎日映画コンクール」女優助演賞受賞。

優秀助演女優賞受賞者(左から)草笛光子、石原さとみ、西野七瀬、清原果耶、広瀬すず(C)東京写真記者協会

優秀助演女優賞受賞者(左から)草笛光子、石原さとみ、西野七瀬、清原果耶、広瀬すず(C)東京写真記者協会

最優秀助演男優賞:鈴木亮平『孤狼の血 LEVEL2』

最優秀ブロンズを受け取る鈴木亮平(C)東京写真記者協会

最優秀ブロンズを受け取る鈴木亮平(C)東京写真記者協会

 白石和彌監督から、「日本映画史に残る悪役にしてほしい」とオファーされたという、上林組の組長・上林成浩役。刑務所でも手に負えず出所が早まるほどの凶悪者で、出所後はぎりぎりのところで保たれていた裏社会の均衡をいとも簡単にぶち壊し、日岡(松坂桃李)と対峙する。極悪非道な外道を、監督の期待に応え怪演。不気味な恐ろしさを身にまとい、振り切った演技で最凶の悪役を作り上げた。

【受賞歴】初受賞。ほかに同作などで「第95回キネマ旬報ベスト・テン」「第46回報知映画賞」「第43回ヨコハマ映画祭」「第34回日刊スポーツ映画大賞」助演男優賞受賞。

優秀助演男優賞受賞者(左から)堤真一、阿部寛、仲野太賀、鈴木亮平、村上虹郎(C)東京写真記者協会

優秀助演男優賞受賞者(左から)堤真一、阿部寛、仲野太賀、鈴木亮平、村上虹郎(C)東京写真記者協会

最優秀監督賞:濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』

濱口竜介(C)東京写真記者協会

濱口竜介(C)東京写真記者協会

【受賞スピーチ】
 3月11日、11年前のきょう地震があり、津波があり、原発事故がありました。震災が起きてから2年ほど、酒井耕という監督とドキュメンタリーを作っていました(2011年〜13年にかけて東北記録映画三部作『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』を酒井と共同て?監督)。主に東北地方沿岸部で津波の被害にあわれた方にインタビューをして、そこで示してくれたのは、力強い生きる姿で、その生命力を捉えていきたいとその時思いました。そのことが今の自分の映画監督としての基盤になっていると思います。その時の皆さんに関係のあることができているのか自信はないのですが、こうやって作品を作っていますと、お礼を申し上げたいと思っています。

 結果として『ドライブ・マイ・カー』という映画ができて、誇りに思っています。自分たちの一日一日の仕事というものが、未来を作っていくということなんだ、間違えることもあるけれど、その時は引き返して、少しずつ、今いるところから進んでいくしかない。良い社会にするとか、良い世界にすると言ったら大げさですが、今の場所からしか始まらないんだと思っています。今の仲間、未来の仲間とこれからも一緒に映画を作っていけたらうれしいと思います。

優秀監督賞受賞者(左から)成島出、白石和彌、西川美和、瀬々敬久、濱口竜介(C)東京写真記者協会

優秀監督賞受賞者(左から)成島出、白石和彌、西川美和、瀬々敬久、濱口竜介(C)東京写真記者協会

新人俳優賞



  • 磯村勇斗(C)東京写真記者協会

    磯村勇斗(C)東京写真記者協会

  • 尾上右近(C)東京写真記者協会

    尾上右近(C)東京写真記者協会

  • 宮沢氷魚(C)東京写真記者協会

    宮沢氷魚(C)東京写真記者協会

  • Fukase(C)東京写真記者協会

    Fukase(C)東京写真記者協会

  • 今田美桜(C)東京写真記者協会

    今田美桜(C)東京写真記者協会

  • 西野七瀬(C)東京写真記者協会

    西野七瀬(C)東京写真記者協会

  • 三浦透子(C)東京写真記者協会

    三浦透子(C)東京写真記者協会

  • 吉川愛(C)東京写真記者協会

    吉川愛(C)東京写真記者協会

最優秀外国作品賞:『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(C) Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc..All Rights Reserved.

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(C) Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc..All Rights Reserved.

話題賞

 全国の映画ファンによって選ばれる「話題賞」。ニッポン放送(JOLF)の『オールナイトニッポン』(全国ネット)を通じ、一般聴取者の投票によって選出。第3回より設定され、若い映画ファンの注目を集める賞となっている。

作品部門:『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(C)カラー

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(C)カラー

俳優部門:菅田将暉『花束みたいな恋をした』

小栗旬から記念品を受け取る菅田将暉(C)東京写真記者協会

小栗旬から記念品を受け取る菅田将暉(C)東京写真記者協会


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