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「忘れられても仕方ない…」登録者数200万人のぷろたん、“終わりなきマラソン”YouTuberの苦悩と闘病生活を語る

筋肉系YouTuberのぷろたん

 登録者数200万人を超える筋肉系YouTuberのぷろたんが、昨年12月に開催されたフィジーク競技の国際大会『2021 IFBB PRO League x FWJ WORLD LEGENDS CLASSIC』で優勝した。昨年7月に自己免疫系疾患の闘病で活動休止を余儀なくされたが、療養後わずか3ヵ月で見事な復活を遂げた。闘病中と闘病後の日々を振り返り、“終わりなきマラソン”を続けるYouTuberの苦悩や注目を集めるボディメイク界の未来についての思いを聞いた。

闘病中はメンタル面で地獄の日々、動画が更新できない苦悩と強迫観念

──大会優勝おめでとうございます。鍛え上げた肉体美を競う大会だけに、療養明けの復活は多くのトレーニーに希望を与えてくれました。

ぷろたん 大会出場までの3ヵ月間は、死に物狂いで食事制限とトレーニングをする毎日でした。7月から約1ヵ月の入院生活で体重は7キロ減、何より筋肉がゴッソリ削げ落ちてしまって。だからこそ「3ヵ月後の大会に出場する」という目標を見据えられたところもありました。正直、優勝を目指してたわけではないんです。それよりも「大会に出られる体」に仕上げることで、療養生活で完全に失っていた自己肯定感を取り戻すことが、一番の目的でした。

──療養中に一番辛かったことは?

ぷろたん 動画を更新できなかったことです。YouTuberは、日々新しい人が次々と生まれる世界。少しでも更新頻度を下げると「忘れ去られるんじゃないのか?」という恐怖感が常につきまとっています。実は、療養中も2〜3本の動画を上げています。でも入院し、手術をすることにもなって結局やめざるを得なかった。体調が悪いこと以上に、メンタル面で地獄の日々でした。

──どこで諦められたのでしょうか?

ぷろたん どん底まで気持ちが落ちて、「忘れられても仕方ない」という境地まで至りました。結果、大会までの3ヵ月間、筋トレ・食事・睡眠にすべてを費やす日々を送ることができた。それまではアイデアが浮かばなくても、なんとか絞り出して動画を更新しないといけないという強迫観念にとらわれていました。入院をきっかけに、強制的にでも更新できなかったことは、今思うと良かったのかもしれません。

YouTuberにつきまとう“終わりなきマラソン”「休む自分を許せるようになった」

──YouTuberとして3ヵ月活動を休止していただけに、大会出場に伴う復活劇は大きな話題を集めました。

ぷろたん 普段は筋トレ系動画ってあまり数字が伸びないんですよ(苦笑)。ほかのバラエティ系動画のほうが、視聴者の方には楽しいみたいで。今回は「療養明けからの壮絶なトレーニング&減量、そして復活」というストーリー込みで、注目してもらえたのかなと思いますね。

──チャンネル登録者数も休止前より増加。更新に追われて心を病むYouTuberも多いなかで、1つのロールモデルを示されています。

ぷろたん 正直、僕も同じ状況でした。ただ、苦し紛れに上げた動画は、そんなに再生数が伸びないし、それに伴う収益も微々たるもの。それをわかっていながら、“終わりなきマラソン”を走り続けているところはありました。活動休止を経験した今は、メインチャンネルの更新頻度を意識的に下げています。本当に面白いアイデアが浮かんだときだけで、量より質を追求するようになりました。アイデアが浮かばなかったら休もうと、自分を許せるようになったのは大きいですね。

──更新頻度を下げて、収益的には問題ないですか?

ぷろたん YouTuber以外のビジネスもありますし、サブチャンネルもあります。こちらは登録者数も20万人程度と少ないのですが、気軽に動画を上げています。そうしたら自然と再生数も伸びていって、やっぱり投稿者が純粋に楽しんでいるものは、視聴者も喜んでくれるんだなと改めて実感しました。メインとサブを両立させることで、メンタル面でもバランスが取れているところはあります。

──ボディビルやフィジーク競技は、アスリートであるにもかかわらず、他のスポーツ競技と異なり、これまでは職業として生計をたてることが難しく、“趣味”と捉えられていました。そうしたなか、ボディメイクへの関心の高まりから大会にも、かつて以上に注目が集まっていまが、競技者として生計を立てる方も増えているのでしょうか?

ぷろたん 日本では、まだまだこの競技は成熟していないです。たしかに僕のように“筋肉系YouTuber”と呼ばれる人が増え、SNSなどのデジタルの普及に伴うビジネスの広がりもあります。でも、例えばアメリカでは大会に莫大な賞金がついて、そこでのし上がってセレブになる人がたくさんいるんですね。

デジタルの普及で広がったボディメイクビジネス、業界全体が盛り上がるためのファイト精神が必要

──古くはアーノルド・シュワルツェネッガーもボディビルダー出身です。

ぷろたん 歴史が違うんですよね。一方、日本ではまだまだ競技者や業界内だけにとどまっているというか、海外とは置かれている状況がぜんぜん違う。ボディビルダーやフィジーカーは、紳士的な人が多いんです。お互い苦しい思いをして大会に立っていることをよくわかっているので、誰が優勝しても称え合う、いわば「優しい世界」なんですね。

──それはそれで素晴らしいですが。

ぷろたん 僕も平和でいいなとは思います。ただやはりある部分でストーリーがないと、競技は盛り上がらない。格闘技がいい例で、大会前から対戦相手がバッチバチにやり合いますよね。それによって周辺やファンを巻き込んで、業界全体が盛り上がっていく。そういうファイト精神というか、図式が筋トレ界にはないです。

──日本における筋トレ競技が次のステージに進むカギは、ぷろたんさんの復活劇のようなメイクドラマかもしれないですね。

ぷろたん そうだと思います。僕は、職業柄どうしてもエンタテインメント性を追求してしまうので、大会中も動画のことばかり考えていました(笑)。でも見る人に楽しんでもらうためのある種の演出は、業界を盛り上げるためには重要だと思うんです。それに成熟してないということは、逆に言えばこの業界には可能性しかない。僕も足を突っ込んだ以上は、業界の盛り上がりに貢献する役割があるのかなと考えるようになりました。

──具体的に構想していることはありますか?

ぷろたん YouTubeで筋肉系の方とコラボするのもそうだし、逆に意図的にコラボしない人がいてもいいかなと思っています。殺伐とさせるつもりはないのですが、どこかピリッとした空気を漂わせることも大事だと思っています。それによって「ぷろたんは、あの人を意識しているのでは?」といった憶測を呼んだり、「いやいや、俺はこっちを応援する」といった視聴者同士のヤジの飛ばし合いが起こるようになったら、筋トレ業界はもっと成熟していくんじゃないかなと思います。

(文/児玉澄子)

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