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ノンスタ石田「テレビは下手くそすぎた」 同期はお笑い+αでも活躍…笑いの求道者は今何を求める

 3児のよきパパとして知られ、家族との時間を大切にするために「週休2日」で過ごしていることが話題を集めたNON STYLEの石田明。同期にオードリー、ピース、ナイツ、南海キャンディーズ、キングコングなど、独自の価値を生み出すモンスターたちがひしめくなか、2008年の『M-1グランプリ』など、漫才師として最初に“てっぺん”を取ったのはNON STYLE。だが、近年の石田は「週休2日」という発言からも分かるように、同期たちとシノギを削る流れでは無く、自らテレビとも距離を置いているフシすら見受けられる。芸人界随一の“お笑い求道者”である石田が、今何を考え、何を求めているのか?

「しゃべらない舞台」で爆笑狙う、“構想4年”漫才師の挑戦

──自身が脚本・演出を手掛ける部隊『結-MUSUBI-』が来年2月に東京・大阪での公演が決定しましたね。セリフ無しの“しゃべらないけどうるさい”というコンセプトの原点に、「してはいけないこと」が増えすぎた昨今の風潮を逆手に取りたいという思いがあったそうですね。

石田明世の中、「あれはダメ」「これはダメ」と言われることが増えましたよね。最近で言えば、飛沫感染防止のために、あんまりしゃべらんほうがいい…とか。でも今回の舞台に関しては、逆にその風潮が追い風になりました。ノンバーバル(非言語)で笑わせる舞台という構想は4年前からしてきたんですが、ここにきて一気に動き出しましたから。

──「セリフなし」にこだわったのは?

石田明海外でも勝負できる笑い、それもお客さんの前でやる生のパフォーマンスに挑戦してみたかったのが一番にありました。とは言え英語で漫才をやっても笑いのクオリティは落ちてしまうし、どんな手法があるかなと国内外の舞台をいろいろ観て回ってノンバーバルに行き着いたんです。日本の“笑い”なら勝てると確信しました。

──“しゃべらないけどうるさい”芝居で笑わせてくれるとのこと。

石田明言葉なしでも笑いの質を落とさないのは、大前提としてありますね。あとノンバーバル舞台って、派手な映像とか音楽を駆使するものが多いんですけど、そうした演出もなるべく削りたい。方法論はいくらでもあるんですよ。目線1つ、動き1つで爆笑をかっさらう師匠っていっぱいいますし、個人的にも無音の状況でしょうもないことをするのが一番面白いと思う。いわゆる“緊張と緩和”でどこまで笑わせられるか、お笑いオタクとしてこれまで分析してきた笑いをこの舞台に詰め込みたいですね。

厳しさ増すコンプライアンス…お笑いへの制限も逆手に 「“してはいけない”支配されたら負け」

──鋭いお笑い分析に定評が高い石田さん。近年携わっているNSCのカリキュラム作成や講師も、吉本興業の岡本昭彦社長に直々にお願いされたことだったとか。

石田明もともとオタク気質で、多くの芸人が感覚でやってるオモシロを、僕は体系化して考えるのが好きなんです。そういう話を(ナインティナインの)岡村(隆史)さんや、(博多華丸・大吉の博多)大吉さんが面白がってくれたのが、やがて吉本の上層部にも伝わって。最近は会議の出席も多くて、そろそろ名刺作ってもらわんとなと思ってるんですけど(笑)。

──プレイヤーである一方で、指導に回ることについては?

石田明お笑い研究も堂々とできて楽しいですよ。あとは社内への説得力も増しました。この舞台を構想し始めた4年前は誰も耳を貸してくれなかったけど、1個ずつ結果を積み上げていって実現に漕ぎ着けましたから。

──「してはいけないこと」が増えている昨今、お笑いの指導者、プレイヤーとしてやりにくさを感じることはありますか?

石田明こないだテレビでネタの収録があって、ほんまは“オネエ”というワードが3回連続で出てくるネタだったんです。ただそれは今のテレビ的にはアウトやと言われたんで、笑い要素はそのままに“オネエ”を使わないアレンジをしたんです。それでもウケたんでよかったなと。「してはいけない」に支配されたら負け。「してはいけない」を逆手にとって、どんだけオモシロがやれるかが芸人だと思うんです。

──しかし相方・井上裕介さんへの愛のある容姿いじりも、難しくなってないですか?

石田明「ブス」というワードですよね。僕はそこに「井上、お前は愛おしいな」という感情を込めてるんですけど、単なる文字情報で捉えられたら叩かれることもあるかもしれない。ちなみにこないだのNON STYLE20周年ツアーで、「石田の笑いは時代遅れ」というネタをやったんですよ。容姿いじりする僕を、井上が「時代遅れや」と批判するという(笑)。個人的にこのネタはめちゃくちゃ気に入ってます。

キングコング西野、ピース又吉、ウーマン村本…「同期が独自のポジションを築いている」

──舞台『結 −MUSUBI−』は、ゆくゆくは常設劇場を設け、海外公演も視野に入れているとのこと。失礼ながらその野心は意外でした。

石田明僕はわりと静かに暮らしたいタイプだったんですけど、やっぱり同期の影響は大きいですよね。1人は昔から仲のいいキングコングの西野亮廣。同期では真っ先に結果を残しながら、お笑いとは別の道に飛び出してね。「お前、身の丈に合ったことやっとけ」って言ってたら、あれよあれよと。もう1人はピースの又吉直樹。あいつも僕と似たタイプで目立たない人生を歩むんやろうなと思ってたら、「芥川賞ってうそやん!」というね。

──どちらも実力ある芸人でありながら、今やまったく異なる分野で結果を出しています。

石田明そのほかにも同期には(ウーマンラッシュアワーの)村本(大輔)がいて、ナイツがいて、オードリーがいて。いろんなところで独自のポジションを築いている、面白い世代やと思いますね。

──この世代は、青春時代にテレビ黄金期に直撃しながら、自分たちがテレビに出るようになった2000年代中盤以降のテレビのメディア力低下にも直面しています。

石田明そうですね。キングコングがテレビの全盛期にギリギリ間に合って。それを見ながら「俺たちもいけんねん!」と色めきたった世代やと思います。その矢先に…。でもそこで腐ることなくなにくそ精神でやってきたから、この世代は戦い方も多岐にわたってるんだと思いますね。

──2008年M-1王者の石田さんは、「テレビで天下を取る」ことにどう考えていましたか?

石田明井上はテレビで天下を取りたい人やったし、テレビでの振る舞いも上手だったけど、僕が下手くそすぎたんですよね(苦笑)。僕はほかの同期メンバーと違って、いわゆるテレビ黄金期を経験してないんです。それは、15歳まで家にテレビがなかったから。お笑いに夢をもらったのは、心斎橋筋2丁目劇場でした。だから今も舞台が好きやし、お客さんに笑いのエネルギーを100%渡せるのは、テレビよりも生の舞台やと思ってるんです。

──当時の舞台で、どんな芸人さんを観ていたんですか?

石田明初めて観た舞台で一気にほれ込んでしまったのが、シェイクダウンというコンビでした。僕らがbaseよしもとという若手の劇場に入ったときに解散してしまったんですけど、シェイクダウンの片割れで、ずっと憧れている先輩が、現在のザ・プラン9のお〜い!久馬さんです。つまり僕は、久馬さんに憧れてこの世界に入ったんですよね。

──お〜い!久馬さんも、独自の路線でさまざまなお笑いを生み出している方です。

石田明ホンマは久馬さんと同じことをしたくて、どうやったら勝てるのかって考えたのが、今のノンスタの形です。さらに、演劇ではどう勝てるだろう? って考えたときに、面白さでは勝てないので、だったら僕はプレイヤーとして、いろんな演劇や芝居ができるようになれば、もしかしたら久馬さんに勝てるかもしれない。まず根底にそんな想いがあるんです。

──近年の石田さんは、舞台役者としての活躍もめざましいですが、やはり笑いにはこだわっているのでしょうか?

石田明それも“生の笑い”に。舞台『結 −MUSUBI−』もそうだし、ここで鍛えた筋肉を漫才にも持ち帰りたいですね。もしかしたらテレビの視聴者からは、NON STYLEの全盛期はもう過ぎてると思われているかもしれないし、過去を美化してくれるのはうれしい。だけど、僕らはずっと生のライブをやってるし、攻めたネタを作り続けています。だからよけいテレビでネタをやりにくくなってるところもあるんですけどね(笑)。

【インフォメーション】
『結 −MUSUBI−』
脚本・演出:石田明(NON STYLE)
●東京公演(全6回):2022年2月4日〜6日/渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
●大阪公演(全4回):2022年2月11日〜13日/COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
■出演/小野塚勇人(劇団EXILE)、株元英彰、廣野凌大、杉江大志、中村里帆、久保田創、守谷日和、瀬下豊(天竺鼠)、石田明(NON STYLE)
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●あらすじ
伝説の横綱・雅ノ富士が生前に立ちあげた富士見部屋には、二つの「してはいけないこと」がある。それは「私語」と「女性を土俵にあげる」こと。とくに女性を土俵にあげてしまうと、とんでもないことが起きると言われている。その「してはいけないこと」を守りつつ、この日も雅ノ富士の息子、雅ノ花・雅ノ國・雅ノ海・雅ノ龍の4人は 稽古に勤しんでいた。そこに彼らが愛してやまない妹・幸恵がフィアンセを連れてくる幸せな物語。だと思っていたところに不穏な空気が流れ始め、彼らの命がけの結びの一番が始まるのだった。

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