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『M-1』新王者が蚊帳の外? 賞レースにおける「功績より“負の話題性”優先」の普遍性

  • (左から)とろサーモン・久保田かずのぶ、 スーパーマラドーナ・武智(C)ORICON NewS inc.

    (左から)とろサーモン・久保田かずのぶ、 スーパーマラドーナ・武智(C)ORICON NewS inc.

 今年も年末恒例の『M-1グランプリ2018』(テレビ朝日系)が開催された。さっそく優勝した霜降り明星に何十件もオファーが殺到…とニュースで話題になったかと思いきや、放送直後に昨年優勝したとろサーモン・久保田かずのぶとスーパーマラドーナ・武智正剛が審査員の上沼恵美子を批判したとする動画がインスタライブで配信され、大炎上。すぐに動画は削除され、久保田と武智も自身のTwitterで謝罪したが、優勝した霜降り明星を完全に“喰ってしまった”形となった。『M-1』優勝→オファー殺到→大ブレイクという定番の流れに水を差し、ネガティブな話題が先行する現状に疑問の声が挙がっている。

一夜にしてスターへ 人生が変わる日本一や世界一の称号

 大きな盛り上がりを見せる賞レースと言えば、そのひとつにお笑いコンテストがある。『M-1グランプリ』『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)、『キングオブコント』(TBS系)、『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)など、民放各局で開催。その時々の「日本一」を決めるコンテストで優勝すれば大々的に報道されて、レギュラー番組、CM出演、雑誌の表紙など続々と仕事が舞い込むのも恒例となっている。高額賞金もさることながら、名誉が与えられ、一夜にして大ブレイク。正に勝者の名前が呼ばれたときが人生の変わる瞬間と言えるだろう。

 他にも、五輪やW杯などの世界的なスポーツの大会でも、メダリストたちには華々しい盛り上がりが。空港でお迎えするファンの様子の中継から始まり、情報番組やバラエティ番組にも多数出演、そして優勝パレードとスターの仲間入りとなる。

 その勝利の瞬間を見届ける喜びに加えて勝ち負けによる人間ドラマでも多くの視聴者を惹きつける。賞レースは、芸能、スポーツ、芸術に限らず、いつの時代も感動を与える優良コンテンツとなっているのだ。

実績よりも話題性? ネガティブな側面のみがクローズアップされる歯がゆさ

 しかし、誰もが祝福する栄光も、“負”の盛り上がりで曇らされることもある。例えば、昨年の『第9回AKB48選抜総選挙』では、20位の須藤凜々花が「私、NMB48須藤凜々花は結婚します!」と結婚を電撃発表。総選挙自体は指原莉乃が1位で連覇達成、渡辺麻友が2位でさらに卒業発表と本来であれば大きく話題になるはずが、スポーツ紙やワイドショーで何度も取り上げられたのは須藤の発言だった。その後も、「アイドルの結婚」「総選挙での結婚発表」について賛否両論が沸き起こり、芸能界のご意見番や、現役メンバー、OGたちにもコメントが求められるなど尾を引く結果をなった。

 また、スポーツ界においても2011年にサッカーの『FIFA女子W杯』で優勝した「なでしこJAPAN」がひとつの例だろう。帰国後、多数のメディア出演で一躍“時の人”になると、翌年の『ロンドン五輪』でも期待通りに銀メダルを獲得。ところが、表彰式の場でカメラに向かってピースをしたり手を振ったりと、サービス精神たっぷりに喜びを表現。すると「ふさわしくない」「品がない」などの意見が集まったことで一気にバッシングの対象になる。五輪で銀メダルを獲得した栄光よりもネガティブな側面ばかりに話題が集中し、日本中の祝福ムードが一転した。

先輩芸人たちも苦言、「ネットを見たらそのニュースしかない」

 そして今回の『M-1』も、大会の順位や勝者たちのネタよりも大きな話題となっているのが、とろサーモン・久保田とスーパーマラドーナ・武智による暴言問題だ。事の発端は7位に入賞した武智が、『M-1』放送後にインスタライブで動画を配信したことがきっかけ。そこに昨年の『M-1』で王者となった久保田が泥酔した状態で登場し、名指しはしなくとも審査委員の上沼恵美子を批判するような発言をしたことで大きな騒動へと発展した。

 本来であれば若手の霜降り明星は、決勝常連の実力者たちが集う中で優勝したことにもっと純粋な賞賛があってよかったし、僅差で3年連続2位となった和牛も、ラストイヤーだった3位のジャルジャルも、4640組から上り詰めた実績で話題の中心になるはずだった。ところが、“外野”が盛り上がってしまい、王者たちが“蚊帳の外”となっている状況となっているのだ。

 自身もその場に立ったことがありながら、出場者たちの栄光に泥を塗る形になった久保田と武智。2人には、審査員を務めたオール巨人がブログで「年に一度の皆さん楽しみの、楽しまれた折角のM-1なのに、つまらん本当に情けない話が」と言及。また、博多華丸・大吉の大吉からも「また、バカ後輩たちがやらかした。ネットを見たらそのニュースしかない」、ナインティナイン・岡村隆史からも「純粋に大会の話をしたかった」など、多くの苦言が届き猛省が求められている。突然巻き込まれる形となった上沼恵美子も終息するように気遣う発言をしているが、今もなお「暴言騒動」というインパクトのある話題性がひとり歩きしてしまっている。

 時として、王者の功績以外の盛り上がりに寄ってしまう賞レース。話題性が絶対という風潮は何とも歯がゆい。何より賞レースが多くの感動のドラマを生むのは、たった一人、たった一組の出場者が頂上に登りつめるからこそ。報道するメディア側も、それを受け取る視聴者側も、そうした本質的なことを見失わないでいることが勝者に対する礼儀だろう。

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