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『鬼滅の刃』グッズはどこまでがOK? 氾濫する偽物、地域振興…その境界を弁護士に聞く

聖地巡礼も盛んな『鬼滅』、「町おこし」への利用は?

  • 興収300億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』ポスター

    興収300億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』ポスター

――一方で、「町おこし」のような形で、作品の関連地域で鬼滅を思わせるグッズが販売されたりもしています。この場合、地域振興につながるということで、目をつぶることも多いのでしょうか?

 「権利元に明確に許諾を得ていなくても、社会的な意義がある場合や、作品自体の盛り上がりに貢献する場合、なかば黙認することも多々あります。『黙示の許諾』と言うもので、ざっくりいうと知っていながら敢えて放置している状態を許諾したと考えるのです。そもそも、著作権侵害は『親告罪』。著作権を侵害された側が『侵害されました』と訴え出て初めて、刑事罰となるものです。著作権を持っている側が何も言わないということは、黙認しているということも多いようです。もちろん、実はしっかり許諾を取っているという場合もあります」

――以前、キャラクターたちの着物の柄が商標出願され物議が起こりましたが、これに関する見解は?

 「商標とは、コカ・コーラのロゴや瓶の形など、その会社をイメージできるようなマーク等を登録することで守る法律です。ですが、着物の柄のような『地模様』は、それが会社を想像させるかというと、確かに疑問が残ります。以前、アパレルメーカーが絵文字の『ぴえん』の商標を出願して話題になっていましたが、こちらも同様です。着物の柄の場合、市松模様などは昔から広く使われている地模様なので、認められることは難しいと思います。ただし、商標を取るということ自体は権利を守るために大切な考え方ですので、これを否定するものではありません」

――なるほど。一般ユーザーはこれらを受けて、どのようにしたらよいのでしょうか。

 「アニメの制作にかかわる人にお話を聞くと、アニメを作るだけではプラス収益にならないと言います。グッズやDVDを作る、玩具会社とコラボしておもちゃを作る。日本のアニメではそうして収支を安定させていくことが多いので、ぜひ正規品を買っていただいと思いますね。確かに、偽物グッズを入手しても罪に問われません。ですが、公式・正規のものを購入することが、作品の応援、また日本のアニメの発展につながると考えてもらえればと思います」

(文:衣輪晋一)
<プロフィール>
舟橋和宏弁護士
レイ法律事務所所属。アニメ・映像コンテンツの権利保護に力を入れており、知的財産保護(特に、著作権・商標権保護)に精力的に取り組んでいる。自他ともに認めるアニメオタク。近年の推し漫画は主にグルメ系。

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