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僧侶がPC操る『オンライン法事』話題、築地本願寺の危機感「今こそ資質が問われる」
ZOOM会議にYouTube配信も 400年の歴史あるお寺の“IT化”に当初は反対意見も
「4月に緊急事態宣言が発令されたことを受け、4、5月の年忌や命日での法事はご遠慮いただいておりました。年忌など法事はその日にこそやる意義があることが多く、ご要望に応えられないものですから、寺としても歯がゆい想いを抱えていたんです」(東森氏/以下同)
牽引したのは、代表役員で宗務長を務める安永雄玄氏だった。安永氏は三和銀行(現・三菱UFJ銀行)や外資系ヘッドハンティング会社、経営コンサルティング会社に勤務経験がある、変わった経歴を持つ僧侶。この安永氏の手腕により、同寺は以前からオンライン化が進められていた。
「去年の7月から寺内のIT化がスタートし、分院との会議はZOOMなどを用いたオンライン会議も行われていました。また、去年の11月から規模の大きな法要でWEB配信を開始。コロナ禍の4月20日からは、毎日配信するようになりました。以前から“法事もオンラインで可能なのではないか”という安永宗務長の意見もありましたので、コロナ禍を機に実施へ。何度もテストを経た上で、5月11日から『オンライン法事』がスタートしたのです」
もちろん、そもそも法事は対面で執り行うべきものという考えもある。同寺は、これまでも直接足を運んでもらうことに一番の重きを置いており、「そんなことでいいのか」という躊躇する意見はあったと言う。
「コロナ禍で始めたものですが、幸いにも良い反響をいただけました。『オンライン法事』があって良かったという声がよせられている。コロナ禍でなくても、遠方で法事に来られない、海外在住で簡単には日本へ行けない、入院中で参拝できないといった、さまざまな理由で足をお運びいただけなかった方々も、今後ご利用いただけると思います。また『法要LIVE配信』では、今どのようなお経が読まれているのか、今この僧侶はどのような役割で何をしているのか、そうした解説も映像に入れており、こちらもご好評をいただいております」
この解説も、安永氏のアイデアによるものだ。きっかけは文楽。文楽も上演中に、どのようなシーンでどのような芝居なのか、その解説が壁に表示される。これを参考にしたのだという。