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「ライオンvsトラ」、「サメvsメカジキ」勝つのはどっち? 奇抜なマッチメイク描く人気マンガ『どっちが強い』に子どもが夢中になるワケ

身近な生物を“VRバトル”の世界へ 斬新な切り口が想像力をかきたてる

  • 危険に遭遇した子どもたちは…(『どっちが強い!? ハチvsクモ 危険生物の必殺バトル』より)

    危険に遭遇した子どもたちは…(『どっちが強い!? ハチvsクモ 危険生物の必殺バトル』より)

『どっちが強い!?』シリーズには、最終的なバトルへとたどり着くまでの物語にも、子どもを惹きつける要素が詰まっている。

 例えば、『ハチvsクモ 危険生物の必殺バトル』は、スズメバチの大発生で養蜂場のミツバチが襲われたり、下水処理場で毒のあるクロゴケグモにかまれる被害が報告されたりする事件をきっかけに、 危険生物の情報を集めるためにXベンチャー調査隊が2組に分かれ、それぞれの調査に向かう。その先で、巨大なスズメバチの巣に遭遇したり、毒グモに噛まれたりといったドキドキの展開が用意さているが、「スズメバチの大発生」や「毒グモ被害」といったテレビニュースから事件がはじまり、生物のバトルへとつながる物語の起承転結はとても現実的だ。しかも、スズメバチと毒グモの生態を知ることで、もし自分が実際にそうした場に遭遇した際にどうすればいいか、といったハウトゥを自然と学ぶこともできる。
  • ヒレを切られ捨てられたサメ(『どっちが強い!? サメvsメカジキ 海の頂上決戦』より)

    ヒレを切られ捨てられたサメ(『どっちが強い!? サメvsメカジキ 海の頂上決戦』より)

 また、「サメvsメカジキ 海の頂上決戦」の冒頭では、サメからヒレだけを取るフカヒレ漁の現状を問題定義。ほかの巻でも、毛皮を取るための動物の乱獲など、野生生物を取り巻くさまざまな問題を子どもに伝えている。それと同時に、私利私欲ではなく、文化として人間と動物が長い間どのように共存してきたのかといった点まで、しっかりと描いている点も注目だ。
 加えて、各章末に設けられている「動物百科事典」では、メインの生物以外にも、同じ部類に属す生物が実に詳細に紹介されている(例えば、「サメvsメカジキ」では、計20種以上の魚が取り上げられている)。

 こうした教育的に優れた内容を子どもに面白がって読んでもらうために、「学習漫画ではありますが、まずは漫画として子どもが楽しく読み進められるように、言葉の面白さやリズム感も大切にしました」と、子どもを意識したポイントをKADOKAWAの担当者は語る。

「漫画の台詞はフキダシに入っていて、フキダシの大きさは画とのバランスなどによって左右されます。文字の大きさも決まっているので、おのずと字数が限られてきます。特に子ども向けなので文字が多すぎないように、時には言い方を変えることもあります。漫画は画がメインで、台詞はそれを補うものなので、画を楽しみながら台詞は短く、テンポよく読み進められるよう工夫しています」

 言葉の選び方においても、「子どもにこんな言い方はしたくない」といった親目線でのチェックを入れたという。

「例えば、原文を直訳すると「殺してやる!」という表現だったとしても、ストレートにそうは言わず、状況にもよりますが「やっつけてやる」「こらしめてやる」など、意味を伝えつつも、子どもに本を買い与える親の気持ちになった言葉の選択をするようにしています」

 また、Xベンチャー調査隊のメンバー同士の友情や、たとえ喧嘩をしても、誰かが仲裁に入って仲直りする場面なども描かれている。こうした細部にまで考え抜かれた物語の展開も、子どもたちを惹きつけるのだろう。そして最大の見せ所といえる、ラストを飾るバトルシーン、そのマッチメイク感こそが、同シリーズ製作陣の腕の見せ所だ。

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