• ORICON MUSIC
  • ドラマ&映画
  • アニメ&ゲーム
  • ホーム
  • ライフ
  • ゲイカップルのイラストに「羨ましい」「違和感」の声、当事者語るブームのその先

ゲイカップルのイラストに「羨ましい」「違和感」の声、当事者語るブームのその先

 今年4月クールのドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)、『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(NHK総合)などを見ても、昨今の日本社会の中でLGBTに対する受け入れ方は、ひと昔前に比べると大きく変化している。そんな中、グラフィックデザイナーのmoriuoさん(@momomoriuo)がゲイカップルを描いたイラストをツイッターに投稿し反響を呼んでいる。作品への思いや周囲の反応と共に、ゲイとして理想の社会などを聞いた。

カップルよりもシングルからの反響大「羨ましくて、嫉妬する!」

――先日ツイッターでアップされた、男性カップルがキスをしているイラストの反響が広がっていますね。まず最初に「リツイートしていただけたら…」というコメントと一緒にアップした理由をお聞かせください。

【moriuo】以前から「リツイートしてくれたら嬉しいです」と書き添えてアップしたりもしていたので、今回だけこんなに反響があるとは思ってもいませんでした。あとは、LGBTQ(※)を描くイラストレーターの中では、ストレートの方にも受け入れてもらえやすい絵柄だと言われていたので、「イラストを通して、コミュニティに閉じこもらず、広く一般に発信しできたらいいな」という意識は当事者として常にあったのかもしれません。

――多くのコメントも寄せられています。

【moriuo】今回はLGBTQの方よりもストレートの方からのコメントがほとんどで、当事者にとってはみんなが憧れる幸せな微笑ましい絵なのですが、そうではない人にとってはやはり違うということを、「違和感を感じる」という正直なコメントをいただいて再認識しました。でも、「嫌悪感」ではなくて「違和感」と表現してくれているコメントが多くて、僕のイラストで少しは緩和できたのかなと前向きに捉えられました。

――イラストを見た同性カップルの方はどんな反応ですか。

【moriuo】同性カップルよりも、断然シングルの人たちからの声の方が多いですね。「いつかこんなカップルになりたい」とか「また恋がしたくなりました」とか、中には「羨ましくて、嫉妬する!」とか。みんなストレートの方と同様に、当たり前に恋やデートやパートーナーとの生活とかを夢見ていますよ。

観てくれた方に「恋がしたい」と思ってもらえるような絵を

――イラストを描き始めたきっかけを教えてください。

【moriuo】美術系の大学に通っていたので、ずっと絵は描いていたのですが、ゲイに特化して描いたのは、15年位前にマツコ・デラックスさんやブルボンヌさんが編集部にいたゲイ雑誌で、挿絵などのイラストを描かせていただく機会があったのがきっかけです。

――SNSでイラストを投稿し始めた時と現在で、周りの反応に変化はありますか?

【moriuo】雑誌にイラストを描いていたときのことを覚えてくれていた方が意外にもたくさんいらっしゃって、「雑誌でイラストを見てました!」といった声をたくさんいただいたのがまず驚きでした。SNSをやらなければ、覚えてくれている人がいるなんて知ることもできなかったですから。

――まさに時代の変化で生まれた気づきですね。描く上で心がけていることは?

【moriuo】ストレートの方が描くLGBTQのイラストは、当事者から見るとややリアリティがなくて絵空事になりがち。でも、ゲイのイラストレーターの方が描くと、偏っていてリアルすぎて食傷気味になりがち。僕の場合は、その中間のいい塩梅なイラストを描けたらいいかなと。そして、橋渡しができたら尚いいのかなと。15年前にゲイ雑誌で描き始めたときに、ゲイイラスト界のノーマン・ロックウェル(アメリカの画家、イラストレーター)になれたらなと思っていたので、その感覚はずっとあります。

――“ほどよい軽さ”が、「嫌悪感」を「違和感」に変えるのかもしれません。

【moriuo】見てくれた方の口角が緩んだり、ほっこりしてくれたり、「恋がしたいなぁ」と思ってくれたりするような絵になるように心がけています。

「若いパパ2人が子育てをしている情景」が当たり前になってほしい

――子どもとゲイカップルを描いた風景もとても印象的でした。これにはどういった思いが込められているのですか?

【moriuo】オーストラリアで同性婚をした日本人の知り合いが、「向こうではゲイのライフケースがちゃんとあって、若い頃はたくさん恋をして、落ち着いた年齢になったら結婚をして、そして養子縁組などで子供を持ち、2人で育ててfamilyになる。LGBTQの人たちもそんな人生設計を意識して暮らしている」と教えてくれたんです。その直後に、あるLGBTQ団体から「LGBTQの数年後の未来」というテーマで冊子のイラストの依頼があって。それでオーストラリアの話を思い出して、「日本でも数年後には若いパパカップルが2人で子育てをしている情景を当たり前に見られたらいいな」といった願いも込めて描きました。

LGBTコミュニティだけではなく、広く一般に作品を発表したい

――「社会の空気がこんな風に変わったら…」と、moriuoさんの理想とする社会の形などはあったりしますか?

【moriuo】自分と違うものに対して人が違和感や嫌悪感を抱くということはなくならないと思います。でも、それは育った環境や社会に大きく左右されると思うので、多様性を認め合える感覚を持った人が育つ社会になればいいなと感じます。

――現状はいかがですか。

【moriuo】僕らの世代はカミングアウトをすることに積極的ではなかったし未だに臆病です。カミングアウトをするときの大きな不安と決死の覚悟を持つようなあの感じは、もうあまり経験したくないと思ってしまいます。でも、10代や20代のLGBTQの子たちを見ていたら、家族にも職場にもとても自然にカミングアウトをしている人が多いです。それはやっぱり時代も社会も変わってきているんだなとすごく感じます。

――この数年で、メディアの影響もあって、少しずつ社会の中で意識の変化はあるのかもしれませんね。

【moriuo】近年はドラマや映画のヒットなどで、LGBTQがよりポピュラーになりつつあるので、ただの一過性ではなく、このブームをきっかけにその先にも繋がる流れになってほしいですね。さらにはオーストラリアのように、同性カップルも恋愛や結婚、そして養子をもらって子育てをするといったライフプランが可能になるような日が来ればいいなと思います。
――今後描いてみたいイラストは?

【moriuo】同性カップルのイラストは描き続けていきたいです。日本ではゲイの年配カップルを公の場で目にすることがまだあまりないので、微笑ましいおしゃれなおじいちゃん同士の同性老夫婦を素敵に描いてみたいですね。あと、タキシードを着た同性の新郎新郎の絵や、子供のいる家庭の風景もいつか描いてみたいです。

――最後に、実現したい夢がありましたら、ぜひお聞かせください。

【moriuo】まずは、イラストの展示、個展を年内か来年には開催したいです。イラスト作品を、LGBTコミュニティだけではなく、広く一般にもっと積極的に発表していきたいという思いがずっとあるので、いつか僕のイラストが企業さんや社会で普通に起用していただけて、街のポスターや広告に使われる日が来るのを夢見ています。

※LGBTQは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性別に差がある人)、クエスチョニング・クィア(性自認や性的指向が定まっていない、もしくは意図的に定めていない人)の頭文字を取ったもの。

オリコンニュース公式SNS

Facebook、Twitterからもオリコンニュースの最新情報を受け取ることができます!