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『わた定』で人気のクール系不器用男子“種田さん”、本人連想させる役が向井理の突破口に

  • 向井理

    ドラマ『わたし、定時で帰ります。』での種田役が好評だった向井理 (C)ORICON NewS inc.

 25日に最終回を迎えた『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)で、主人公・結衣(吉高由里子)の上司にして元カレ・種田晃太郎を演じた向井理。仕事ができるのに不器用…といったギャップが人気となり、放送時は「種田さん」がトレンド上位に入ることもしばしば。最終回前から、「種田ロス」が心配されるほどの人気を博した。これまでクールな役柄も多く、本人もイケメンかつクレバーといった印象を持たれることが多かった向井。どこか本人とオーバーラップした種田役が、中堅俳優となった向井の突破口となるのではないか。

“できる男”なのに不器用、「これまで見た中で一番のはまり役」

 本作での向井の役柄・種田は、“仕事ができるイケメン”という意味では、これまで向井が演じてきた役柄と大きな変化はない。しかし、仕事に徹しすぎて彼女(吉高)と婚約破談になった過去を持ち、部長に仕事を押しつけられても本音が言えない、周囲に弱みを見せられず部下にそっぽを向かれ、元カノに取りなされる…など、仕事ができて部下思いの理想の上司(しかもイケメン)なのに“どこか不器用”な部分が大きな魅力となった。さらに、酔っぱらって元カノに「今でも好き」と発言してしまうなど、男性の弱さや情けなさ、そして可愛げを見せ、そのギャップがおもに女性視聴者から好評を博したようだ。

 そんな“人間味”のある姿が響き、SNSでは「結衣(吉高)ちゃんは種田さんと一緒になったほうが幸せになれる」といった声があふれたり、「最終回前にして“種田ロス”になるなんて…」など、多くの視聴者が感情移入し、また“萌え”ていたのである。毎回Twitterで“種田さん”がトレンド入りするほどの人気ぶりは、物語や役のキャラクターの力はもちろんだが、向井の演技がしっかりと種田像を形作っていたからにほかならない。向井が演じてきた役柄にはこれまであまりなかった、「寂しげな表情がたまらない」「少し疲れた感じが魅力的」との声もあり、「これまで見た中で一番のはまり役」という意見も多かった。

イケメンでクール、才能ある男…完璧さが足かせに?

 「明治大学農学部生命工学科卒業のインテリ」、「元バーテンダー」などのバックボーンそのままに、落ち着いたクールな雰囲気やスマートな語り口、高身長なさわやかイケメンとして注目を集めた向井。2009年には女性誌『an・an』でオールヌードを披露する一方、2010年には連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(NHK総合)でヒロインの夫役、さらに翌年の大河ドラマ『江 〜姫たちの戦国〜』(同)で江の夫・徳川秀忠を演じると、一躍その人気も全国区に。以降、映画やドラマ、舞台、ナレーションなどで活躍し、イケメン&クール路線のみならず、“できる男”、“才能ある男”といったイメージも加わり、俳優としてのポジションを確固たるものにしてきたのである。

 このように、非の打ち所がない向井であったが、ブレイク以降は逆にそれが足かせになったようにも思える。人は完璧すぎるものには“いけ好かない”といった感想を持ちがちだし、少しほころびがあるものにこそ愛着を抱きやすいからだ。さらに、イケメン枠には若手俳優たちが引きも切らず進出してくる。演技力や人気には定評があるものの、30代も中盤を越えた向井が、今ひとつ突き抜ける必要があったことは事実であっただろう。

近年増えたクセのある役への挑戦、人間的に「丸くなった」との声も

 本人にそのような焦燥があったかどうかは定かではないが、実際、ここ最近の向井の役どころには大きな変化が見られる。ドラマ『君が心に棲みついた』(TBS系/2018年)では、元カノにDV&モラハラを繰り返す屈折男、『リーガルV 〜元弁護士・小鳥遊翔子』(テレビ朝日系/同)では、エース弁護士ながら「大企業の番犬」と揶揄されるプライド高すぎの野心家といった具合に、2〜3番手のクセのある役を積極的にこなしてきた。特に『リーガルV』では、イケメンだからこそ出せるブラックな演技が話題で、SNSでも「ひと皮むけた」と高く評価。また、今年2月に放送された『約束のステージ〜時を駆けるふたりの歌〜』(日本テレビ系)では人生初の髭面に挑戦、最新映画『ザ・ファブル』では顔に傷持つ裏社会組織の幹部役と、もはや“イケメン”というカテゴリーすら飛び越えようとしているように思える。

 また、そんな変化は演技のみならず向井の人間性にも表れているようで、共演した女優の村川絵梨からは、「向井さんは丸くなった。家族を持つことで、昔のとげとげしいものから変わりました」と指摘されたことも。妻・国仲涼子との間に二児をもうけ、父親としての顔も持つ向井。その影響が、演技にも柔らかさ、人間味として出ているのかもしれない。

“本音”見せるカッコ悪さが魅力に、芝居左右する人間力

 そうした流れを経ての今回の役柄は、“できる男”ながら不器用で、誤解されがちな種田。その様子は、どこか向井自身にもオーバーラップしているようにも映り、より視聴者の心を揺さぶる結果に。以前の向井であれば、もしかしたらカッコいい、クールな方向に比重が寄り、ここまで人間味ある役にはならなかったかもしれない。種田のキャラ同様に、演じながらも“本音”の向井自身を見せることで、カッコ悪い部分が逆に大きな魅力となったのだ。

 芝居とはいえ、俳優のパーソナルな部分や人間力は、やはり芝居の深みを左右する。それが良い方向に働いたのが種田役であり、だからこそここまでの人気を得ることができたのだろう。脂ののった37歳、この種田役は向井にとっての突破口になるのではないか。役の幅を広げ一皮も二皮もむけた向井が、今後どんな顔を見せてくれるのか期待したい。

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