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【プラモデル】戦艦、航空機、戦車など“神作”まとめ
モデラーはなぜ“破壊”に惹かれるのか? 「どう壊れているか」に物語を込めるのがジオラマ
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静止したジオラマの世界で、“時間の経過”を表現したい
【あわくし】作品名は「斬撃」です。巨大なビームサーベルを振り回し、周囲のすべてのモノを斬る豪快さを表現しました。
――本作に設定したストーリーを教えてください。
【あわくし】とある局地で現地開発された、試作巨大ビームサーベルを搭載した陸戦型ガンダム。拠点強襲装備として期待され、まさにその一撃が決まった瞬間をジオラマとして作りました。ただ、活躍できるシーンが限定的で、量産には至らなかった幻の武器、という設定です。
――なるほど、巨大ビームサーベルにはそのような背景があるのですね。では、本ジオラマで一番こだわった部分はどこですか?
【あわくし】大きなビームサーベルを振り回した時、斬撃の軌跡が見えるようなジオラマ構成をこだわりました。ザク2体だけでなく監視塔もブった斬ることで、斬撃が広範囲に及んでいることを表現しています。陸戦型ガンダムから見て左側から右側へ振り抜いており、左のオブジェクトのほうが時間的に先に斬られているということで、より大きくズレているようにしています。ジオラマは止まっていますが、時間の流れが見えたら嬉しいです。
――今回は斬撃ですが、ジオラマでは“破壊”の描写が多くなると思います。小さいころからガンプラを壊したりして遊んでいましたか?
【あわくし】子どもの頃は、ろうそくの火や線香でプラスチックをあぶるとダメージっぽくなって楽しかったですね。楽しくてついついやり過ぎてしまうのですが(苦笑)。今は当時と比べて塗料やマテリアルが豊富ですし、ネットで色んな技法を知ることが出来るため幅広い表現ができるます。状況に合った技術を選べてより楽しいですね。
――ロボットの“破壊表現”に惹かれる理由は何だと思いますか?
【あわくし】個人的に、モビルスーツをリアルな巨大兵器として作りたいという思いがあって、破壊されることによって「メカ感」を強調できるところが楽しいです。また、どう壊れているか、に物語を込められるところもジオラマの魅力ですね。
ファーストガンダムの「殺陣」からは、人同士のような殺気を感じる
【あわくし】一度きちんとガンプラとして完成させたモノを、ホットナイフで切断しました。それだけでも切断面っぽくなるのですが、プラ板やプラ棒などで断面にメカを詰めます。さらに、その上にエポキシパテで切断方向を意識しながら溶けた質感を作りました。
――手間暇がかかっていますね。断面が光っているように見えるのは?
【あわくし】エポキシパテの部分を一度シルバーで塗装し、その上から蛍光のオレンジと黄色で塗装します。すると、撮影時に紫外線のライトを当てると蛍光の部分だけが光ります。なので、通常の照明と紫外線ライトを合わせて当てると断面が光っているように見えます。
――こうした“破壊表現”の中で得意な技術は何ですか?
【あわくし】経年劣化した質感の表現は楽しいです。錆びや色褪せた塗装、キズがついた装甲など、本当はプラスチックなのにいかに金属に見せるかは意識しています。最近のメタル系塗料はとても優秀なので、エアブラシで吹くと本当に金属のような輝きを見せます。これに対して、汚しや錆びを書き込んでいくと時間が経過して古くなったパーツに生まれ変わっていきます。壊れた古いモビルスーツを表現するのに役立つ技術です。
――本作では、ビームサーベルでぶった斬られた表現が秀逸です。ガンダム作品の「殺陣」シーンからインスピレーションを受けていますか?
【あわくし】真っ先に思いついたのは、アムロが操るガンダムがランバラルのグフの腕を切り落とした瞬間でしょうか。まさに「殺陣」という感じで、メカというよりも人っぽさ、殺気さえも感じられそうです。
――監督である富野由悠季監督は、アニメで「殺陣」をどう見せるかについて、相当こだわっていたようです。
【あわくし】1話でザクのコクピットを串刺しにするシーンはもちろん、グフやゲルググとの「殺陣」はファーストガンダムを名作たらしめる演出のひとつだと思います。
―― “破壊表現”で探求したいモノはありますか?
【あわくし】今回の作品もそうですが、“動いて見える”ジオラマは作っていきたいです。戦場の瞬間を切り取る表現は、モノを浮かせたりバランスがとれないポーズを取らせたりと、思いついたとしても実際に制作するのが難しいモノが多々あります。その難しさに挑戦していき、見たことのない個性的な構図をもったジオラマを制作したいです。
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