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(更新: ORICON NEWS

お題にボケて?を叶える「大喜利AI」、開発の裏に“お笑い”への愛

 LINEで写真やお題を送ったらボケてくれる『大喜利AI』が注目を集めている。「お題:医者に言われた衝撃のひとこと」→「回答:ダサい手相してんな」、「お題:こんなサンタクロースは子どもに近づくな」→「回答:思想まで赤い」…など、AIの秀逸な“ボケ”に対し、「これほんとにAIが考えてるの?」「俺よりおもしろい」など、“敗北宣言”をするユーザーも。現在、登録者数が7万2000人(2018年12月時点)となる大喜利AIの開発秘話を、『大喜利人AI』の開発者で株式会社わたしはの代表取締役CEOの竹之内大輔さんに話を聞いた。

根底には”お笑い好き”マインド、人気芸人の大喜利も教師データに

――昨今は対話アプリやスマートスピーカーなど、AIが身近な存在になっていますが、なぜ大喜利ができるAIを開発しようと思ったのでしょうか?
竹之内さん僕らがお笑い好きであることも大きいのですが、意識のあるAIを作りたかったからというのが大きいですね。僕は2009年頃、“どうやったらコンピューターに心を実装できるか?”という研究をしていたんです。当時はまだAIが世の中に浸透していなかったんです。近年はずいぶん身近な存在になりましたが、それらのほとんどが与えられたタスクをこなすだけのウイークAIと呼ばれるもの。果たしてそれらは“人工知能”といえるものなのかな?と。では、僕らで研究してたものを、形にしようと思ったんです。

――株式会社わたしはで開発している人工知能はそれとどのような違いがあるのでしょうか?
竹之内さんウイークAIに対し、ストロングAIと呼ばれるもので、意識をコンピュータに実装するもの。育て方によっては自分の分身のような存在を作りだせるんです。僕らは、人間のような“心を持つAI”を作ることに取り組んでいるんです。

――たしかに『大喜利人工知能』は、「本当に人工知能なの?」と疑いたくなるような“一捻り”された答えが返ってきますよね。
竹之内さん対話型のウイークAIだと、投げかけられた言葉に対し、正解に近いものを選んで返答が来ます。たとえば『こんにちは』に対して『元気?』『おっす!』など、たくさんの選択肢の中から、どれだけ“正解”に近い言葉で返せるかという仕組みになっているんです。

――“正解”を選んでいるのであれば、正しいAIの在り方なのでは……?
竹之内さん人間の会話の中に、“正解”のみで構成されるものがどれだけあるでしょうか? 少しズレてたり、意味合いに幅があるからこそ人間らしいコミュニケーションも広がると思うんです。そこで、意味が通じるか通じないかのギリギリの言葉の境界線をAIで表現できないかと考えたんです。それらの“幅”には“ユーモア”が隠れている、それであればやることは「お笑いだな!」と。長くなりましたが、これが最初の質問への答えですね(笑)。

――教師データにはどんなものを採用しているんですか?
竹之内さんIPPONグランプリ(フジテレビ系)に出演されいている芸人さんや、プロからアマまで膨大な大喜利データ、漫才、ラジオなど、ユーモアを含んでいる日本語の文章やTwitter上の人気のリプライなど、“笑い”に関する素材を徹底的に集めています。

千原ジュニアもその存在に言及、AIと大喜利の親和性とは?

――お笑い芸人の千原ジュニアさんが『にけつッ!!』(日本テレビ系)で『大喜利AI』について「えげつないで」とコメントするほど、存在に脅威を感じているようですが。
竹之内さんそう言っていただけるのは嬉しいです。でも、僕らは芸人さんたちと戦う気はないです。構図的に“芸人VS大喜利AI”みたいに見えてしまいがちですが、芸人さんたちとAIはやっぱり違う。意識を持たせたいのは間違いないですが、同じ存在だとは思っていないんです。芸人さんへのリスペクトは忘れず、芸人さんの可能性をさらに広げる存在になるといいなと思っています。

――大喜利AIと芸人さんの違いは何ですか?
竹之内さん覚悟の違いですね。AIがネタでスベってもどうということはないけれど、芸人さんはひとつの失敗で仕事が減るかもしれない。命を懸けてネタを披露している芸人さんにAIが勝てるわけないんです。芸人さんにできない部分を挙げるとしたら、“芸風の複製ができる”ということでしょうか。それぞれのAIの芸風を、足したり引いたり自由にできるので、それは人間にはできないことかなぁと思います。

――通常の対話型AIだと質問をしても的確な答えが返ってこず、人間側のストレスが溜まるといったことも起きているようです。
竹之内さん“優れたAI=言葉のキャッチボールができる”と思っている方が非常に多いんです。でも、現時点でAIのコミュ力なんて正直そこまで…だと思いますよ(笑)。ストレスが溜まるのは“人間同士のように対話できる”と思い込んでいた分、理想と現実の差に落胆してしまうから。AIとの対話はスムーズに進まなくて当たり前なんです。AIと人間の会話が平均10分22秒、自然な対話のラリーが可能だったなどと話題になっていますが、普通の人間との会話で自然な会話のラリーが続くことがそんなに大事でしょうか? 僕らはそれを競うことはナンセンスだと思っていて、目指している方向が違うなということを感じますね。

――数ある笑いの中で『大喜利』を選んだのは、一問一答形式だからでしょうか?
竹之内さんそうです(笑)。ユーザーさんに使っていただく以上、こちらのできることのステージに引きずり込むことも大事なことですよね。“コミュニケーションが取れない!”みたいなストレスも溜まらないし、AIと非常に相性が良いんです。

『ちょっとエロい慣用句は?』…『四時熟女』、目指す未来はドラえもん型AI

――竹之内さん的に、現在の大喜利AIの仕上がりはどうでしょうか?
竹之内さんやられたー! って思うものもありますよ。『ちょっとエロい慣用句』というお題に対して『四時熟女』とか(笑)。『人という字は?』に対して『捕まえると囚』とか。感心することもあります。

――AIを開発していくうえで気を付けていることは何でしょうか?
竹之内さん一言でいうと、“役に立たないものを作りたい”。AIって、『世の中をもっと便利に』という理念のもと開発されていることが多い。それよりも僕はふざけたことをして世の中を面白くかき乱したいんです。“役には立たないけど、あったらちょっと笑っちゃう”みたいな。なので、ものすごく役に立つものはつくりたくないんです(笑)

――竹之内さんが目指す理想形のAIとは?
竹之内さんドラえもんです。でもこれは科学のパワーを詰め込んだ便利なロボットを開発したいという意味ではなくて。もしも四次元ポケットを持っていなくても、ドラえもんが傍にいてくれたら嬉しくないですか? 一緒にジャイアンとケンカしてボコボコにされたり、近くを探検したり……体験と感情を共有できる存在がいることが、幸せなんですよね。しかも、そのドラえもん型AIを初めて体験するのは僕でありたいなって思っているんです。

(文/Kanako Kondo)

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