ORICON NEWS
“消費されない”お笑いトリオの作り方、今だからこその売り出し方法とは?
コントが強み、演技力が光るトリオ芸
もちろんその変形型もあり、その代表例としてダチョウ倶楽部は肥後克広がツッコミ、上島竜兵はボケ、寺門ジモンは「説教」を担当している。
結成に関してはコンビに新たに1人が加わるパターンが多くみられ、例えばネプチューンは原田と堀内というボケ2人にツッコミ名倉を引き入れ結成された。ロバートは秋山、馬場のコンビに山本がツッコミとして加入。東京03も飯塚と豊本がコンビ活動をしていたがそこに角田が加入したスタイルだ。
漫才などが主流のコンビに対してトリオはコント…すなわちお芝居ができるのが強み。東京03やジャングルポケットらは演技力やキャラクターが引き立つネタがウケているほか、ハナコもネタ(お芝居)の斬新さや演技力も高評価。コントで鍛えた演技力から俳優として成功する芸人も多い。代表的な例では1960年代に活躍したスリーポケッツから故・渥美清さんが、てんぷくトリオから伊東四朗が、コント赤信号からはラサール石井が、シティボーイズは大竹まこと、きたろう、斉木しげるの全員が。ネプチューンからは原田泰造が、森三中からは村上知子、黒沢かずこがそれぞれ役者としても活躍している。
3人フルセットで前に出ない、徐々にキャラを出していく戦略
「ですがテレビや新聞、雑誌メディアは物量・スピード兼ね備えた驚くほどの“消費”社会。最初から3人のキャラクターが際立ち、ワーッと出ていくとあっという間に消費され、すぐに飽きられることも予想される」(衣輪氏)
つまりトリオが売れる法則として、まずは1人1人を小出しに見せていき、最後に3人でバラエティに出られるようになったら勝ち。“徐々に”が重要というのだ。数々のMCを担当するネプチューンや、『ヒルナンデス』(日本テレビ系)の森三中はこれの成功例で、プロモートする側もこれを意識していた感がある。だがそんな中、「ハナコは時代がいい。これまでとは違った形にハマるかもしれない」と衣輪氏は分析する。
「いらなくね?」と思わせたら勝ち、自然な“無能感”がカギ
そのくせ、KOCでは審査結果にいち早く一喜一憂。優勝発表時には誰よりも早く涙を流した。またこれに対してKOCの審査員だったバナナマン・設楽から「菊田君はテレビの出方、ちょっと気をつけたほうがいいよ」と苦言(!?)。だが『ワイドナショー』では、そんな菊田に東野幸治がある助け舟を出した。「『水曜日のダウンタウン』で、3年後にブレイクしてそうなんですよ」――。
「実際、SNS上でも『菊田はいらない』と『菊田が面白い』で評価が真っ二つ。菊田さんが“サイコパス気味”という噂もあり、東野さんが言うように『水曜日のダウンタウン』で安田大サーカス・クロちゃんのようなブレイクもあり得る。ほか昨今はお笑いの楽しみ方も多様化。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の『〜じゃない方芸人』のように、光が当たってない人の面白がり方も視聴者に提言されており、菊田さんはここにハマる手もある。視聴者の目が肥え、様々な楽しみ方がある今だからこそ、“能力値ゼロ系”の菊田さんには、他の2人以上の可能性が秘められているとも言える」(衣輪氏)
もしかしたら菊田は計算でヘタレ・無能感を出しているかもしれない。だとすればその計算が悟られない自然さも必要になってくる。お笑いトリオに必要不可欠なのは1人の“超個性的キャラ”。菊田がそこに当てはまってくる可能性もある。結成4年目、今後ハナコがお笑い界でどんな立ち位置になっていくのか。菊田は逸材となるかお荷物(!?)となるか、お笑いトリオの未来を占う上でも見守りたい。
(文/中野ナガ)