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出川哲朗「お前は、バカか?」の変換力、 “ディスり”から“最大限の賛辞”に

  • 出川哲朗 (C)ORICON NewS inc.

    出川哲朗 (C)ORICON NewS inc.

 出演CMは11本にもおよび、冠番組も好調の出川哲朗。かつての「抱かれたくない男No.1」は、今や老若男女に愛される“出川さん”になっている。そんな出川の口からたびたび飛び出すのが、自分の頭を指さしながらの「お前はバカか!」、「この人、おかしいよ」といったフレーズ。無茶振りするスタッフや、出川を超える天然ぶりを見せる共演者をディスっているようで、実は最大級の賛辞となっているフシがある。こうしたフレーズに隠された、共演者を最大限に光らせる手法とは?

汚れ役から一転、『イッテQ』での体を張ったリアクション芸が転機に

 出川は、映画専門学校の同級生だったウッチャンナンチャンらとともに立ち上げた劇団SHA・LA・LAをきっかけに芸能界デビュー。以後、ウッチャンナンチャンの番組や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)に出演し、“いじられ役”“汚れ役”としてのポジションを確立していく。『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』では「人間性クイズ」なる企画でパンツ一丁になり、駆け出しの岡村隆史とひたすらムチでしばき合う“逆ドッキリ”が今では伝説になっている。

 2004年に結婚すると、「出川がおとなしくなった」、「以前のおもしろさがない」などともささやかれたが、そんな風説をぶち壊したのが2007年放送開始の『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)だ。2010年2月7日放送の回では、「ペットボトルロケットで人は飛べるのか?inタイ」に挑戦。出川はペットボトルのロケットを背中に括りつけると、爆発直後に50cmほど浮上して頭から垂直落下。まさに出川哲朗がブレイクスルーした瞬間であり、今でも“神回”とされている。

 さらに同番組では、「はじめてのおつかい」で放たれる「出川イングリッシュ」が爆笑を取ったり、最強の相棒ともいえるデヴィ夫人との絶妙な掛け合いが視聴者をほっこりとさせ、いつの間にか出川は“愛される出川”へと変貌を遂げるのである。

冠番組では“温かな人間性”を吐露、後輩たちがおいしくなるサポート役までこなす

 そして2017年、初の冠番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)がスタート。電動スクーターで旅をする“だけ”の番組であり、これまでの罰ゲームやドッキリとは無縁。しかも、実際は1時間走ってもオンエアはたったの15秒だったり、充電が切れてスクーターを押して歩いたりなど、かなり過酷なロケ。しかし、立ち寄り先では地元の人々に次々と気軽に声をかけられ、「あ、出川だ」と呼び捨てにされても愛想よく対応し、なぜか誰もが和気あいあいと笑顔になっている番組なのである。

 今年7月の放送では、大御所・明石家さんまが「出川の頼みだから」とNGにしていたテレビ東京に34年ぶりに出演。視聴率は13.2%を記録し、大先輩からも国民からも愛される出川の象徴的な場面となった。実際、同番組の視聴率はコンスタントに10%を超えており、テレビ東京の社長をして「(出川さんには)心から感謝の気持ちでいっぱいです」と言わしめているほどだ。

 また、出川哲朗のホームともいえる日本テレビの特番枠(今年7〜9月は金曜深夜のレギュラー枠で放送)で放送された『出川哲朗のアイ・アム・スタディー』は、タイトル通り「教養バラエティ番組」であり、「知ってるようで知らないトピックスや時事ネタを出川の視点で学ぶ」という内容なのだが、出演するゲストは“アンダー出川”と呼ばれる出川よりちょっと“おバカ”なタレント揃い。ここで出川の最近の必殺技ともいえる「この人たちおかしい…」のツッコミがさく裂するのだ。

 ジャニーズ事務所の期待の新人グループKing&Prince平野紫耀は、サッカー選手のイニエスタを指して「(イニエスタは)国ですか?」とのたまい(ちなみに同じゲストの滝沢カレン尼神インターもイニエスタを知らなかった)、「ZOZOTOWNの前澤友作社長が2023年に予定している旅行先は?」との質問には、「すっごく地下! B7(地下7階)くらいですかね?」と回答(正解は月)。視聴者もちょっと引く珍解答も、出川のコメントが入ることで笑いに昇華され、発言したタレントたちも救われているのである。

「お前は、バカか?」は、出川だからこそなせる“最大の賛辞”

 さらに、CMで共演する本田翼との記者発表会では、CMの決めフレーズの企業名をど忘れした本田に助けを求められ、「何だっけって聞くな! CMキャラクターの僕らが絶対に聞いちゃいけないこと。お前はバカか!」と突っ込んで笑いを取り、『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の人気企画「ゴチになります!」でも、ゴチバトルに出演した竹内結子が店のスタッフに「おいくらですか?」と聞くという天然ボケをかますと、すぐさま「お前はバカか!」と突っ込んだ。

 ヘタすれば強烈に響く「お前はバカか!」は、親しい相手に冗談ぽく使うならわかるが、出川は距離の遠そうな俳優やアイドルにまで使う。しかし、なぜか出川が言うとキツくはならず、言われたほうもはにかんだ笑顔を見せ、むしろバラエティの洗礼を受けたかのような雰囲気に。共演者たちがうまく場の空気になじんでいけるという「みんなをおいしくさせる」役割すら担っているようなのだ。

俳優陣による芸人顔負けのリアクションが通例化、出川が“教育者”としての立ち位置に

 実際、番宣ゲストでバラエティに出演する俳優陣などは、以前は「どうせ番宣だし…」といった態度も見て取れたが、最近では芸人側の予想を超える天然ぶりを見せたり、期待以上のリアクションをとるなど、自分の好感度や評価を上げて新たな仕事・新たなファン層の獲得に結びつけるという傾向にある。菅田将暉山田孝之ムロツヨシなどは見事に成功を収め、綾瀬はるか木村佳乃などもいい意味でイメージアップができている。

 ただ、それでもやはり俳優とバラエティの間には距離感があるのも事実。そこに出川の「お前はバカか!」が介在することで、俳優陣も委縮せずにバラエティになじむことができ、結果的に出川にリアクション芸のイロハを学んでいることにすらなっているのである。そうした意味では、出川の「お前は、バカか!」は、「お前はバラエティをわかってるじゃん」、「よくやれているよ」といった意味にも変換され、バラエティ対応力の“合格”を告げる“最大限の賛辞”にもなっていると言えるのではないだろうか。

 今や「浜ちゃん(浜田雅功)に頭をはたかれる」、「有吉(弘行)にあだ名をつけられる」レベルの“バラエティの洗礼”となりつつある出川の「お前はバカか!」だが、出川になじられる芸能人にとっても、バラエティ界で認められた“勲章”になっている感がある。そして、その背後に隠された出川哲朗のやさしくあたたかい人柄こそが、今の“出川ブーム”の原動力にもなっているのだろう。

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