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“イクメン”演じ疲弊するパパたち…新たな定義“スーパーダディ”とは?

 育児に積極的に参加する”イクメン”が当たり前になってきた一方で、慣れない育児のストレスに追い込まれ、孤立してしまうパパたちも増えている。誰にも悩みを相談できず ”男性の産後うつ”を発症する人も。そんな中、楽しく育児に参加していくことを提案するパパによるパパのための集まり”スーパーダディ協会(SDA)”なる団体がある。従来の“イクメン”思想との違いはどこにあるのだろうか?『サンデー・ジャポン』などを手がけるTBSテレビ制作プロデューサーでSDA代表の高橋一晃氏と、the Organic代表理事でSDA常任理事の小原壮太郎氏に話を聞いた。

妻の人生も大切に、新世代お父さん”スーパーダディ”とは?

  • 左からスーパーダディ協会の高橋一晃氏、小原氏

    左からスーパーダディ協会の高橋一晃氏、小原壮太郎氏

 ”スーパーダディ”とは、”仕事当然家事育児”をモットーに、仕事と育児を全力で頑張る男性のことで、スーパーマンにあやかって名付けたのだとか。スーパーダディ協会として5年ほど前からそういった男性たちの情報交換の場を作ってきたが、2017年にNPO法人化。現在は20代〜50代まで約70人のメンバーが在籍している。

 もともとは子育てをしない派だったという高橋氏。TVプロデューサーという激務に身を置きながら、子育てに積極的に参加しようと思ったきっかけは妻の一言だったという。

 「当初、子育ては母親の仕事と考えていました。赤ちゃんは母親から生まれてくるから、赤ちゃんをどうしていいかわからなかった。基本的に何もせずに過ごしていたところ『私は出産のために仕事を一度休み、子供が生まれてもずっと家にいなければいけないのに、あなたは何もしてくれない』と妻の不満が爆発してしまって」(高橋氏)。そこではじめて「妻の人生も大切にしなくいてはいけない」と思い、考えを改めたそう。

 仕事とともにトライアスロンの選手としても活躍する小原氏は、平日の週に5日は朝食か夕食を必ず作ると決め、妻との食事作りの分担と自身のトレーニングも含め1年先まで予定を立てているという。

「お父さんと子供がめちゃくちゃ盛り上がっていることによって奥さんがすごく楽になる。例えば5時間くらい公園を走り回る子供と一緒になって遊ぶとか、男だからこそできる育児もあるのかなって」(小原氏)

 小原氏は“やんちゃに育児を楽しむ”をモットーに「仕事と育児に全力投球している」と語ってくれた。

横のつながりがなく、孤独に追い詰められるパパたち

 イクメンが一大ムーヴメントとなった一方で最近話題となっている「”男性の”産後うつ」。育児による睡眠不足、仕事ではバリバリ活躍できるのに思うように育児ができないストレスなど様々な要因で引き起こされるといわれているという。その原因のひとつとして高橋氏は、「男性は女性同士と違い育児について報告・共有する文化がないことも大きな原因の一つでは」と推測する。男性同士で集まっても、子育てや家事が話題にのぼることは稀なため、悩みを誰にも話せず抱え込んでしまう方が多いのだという。仕事も子育ても家事も全力とはいえ、張り詰めるような頑張り方では産後うつを引き起こしかねない。

 「僕は”子育ては趣味、家事は特技”とあえて言っています(笑)。妻や子供が寝た後に、ヘッドフォンで好きな音楽をかけてワインやビールを飲みながら洗濯物を畳んだり、家族全員分の靴を磨いたり」(高橋氏)。あくまで”楽しみながら”取り組むことの大切さを訴える。一家の大黒柱として、仕事に一生懸命にならざるえない環境ではあるが、限られた時間の中で、いかにに効果的に、いかに密度濃く子育てするかが大事なのだとか。そういった家事のスタイルを“ゆる家事”と名付け、ワークショップを開くなど積極的に提案している。

未婚女性からは好感触、一方で仕事優先の男性からは反発も?

 新しい父親像を示唆する”スーパーダディ”は、結婚を考えはじめる20代の独身女性からの支持が厚く、Facebookでもフォロワー数が多い。一方で、「40代後半の仕事をバリバリやってきたような男性たちには煙たがられているような気がする」と高橋さん。仕事も子育ても両立するスーパーダディに対して、”仕事しかできない”男性というレッテルを貼られてしまうのはなんとも居心地が悪い。また、仕事は男性に任せて子育ては自分が頑張りたいと考えている女性も多く、そういった層にもスーパーダディはやや不評なのだそう。

「とはいえ、母親の感覚だけでなく父親のいいところも全部教えてあげて子育てをしてあげるのが、少数精鋭を目指す今の時代の子育てなんじゃないかなと思います。そういう意味では環境が叶うなら妻が専業主婦であっても、男性も子育てに参加してあげるのが理想ですよね」(高橋氏)

SDAが認めるスーパーダディ、Jリーガー大久保嘉人

  •  大久保嘉人選手 (C)ORICON NewS inc.

    大久保嘉人選手 (C)ORICON NewS inc.

 それではスーパーダディを目指した時、どんな人をお手本にしたらいいだろうか? 「昨年初めて開催した”スーパーダディアワード”ではJリーガーの大久保嘉人さんが選ばれました。奥様の抗がん剤治療を励ますため、3人の子供たちと坊主頭でお見舞いに行ったというエピソードが有名ですが、サッカー選手としても活躍する一方で良き夫であり良き父親ですよね」(高橋氏)

 さらに、昨年”イクメン オブ ザ イヤー”に選ばれた爆笑問題の田中裕二さんや、実は6人の子をもち食事作りや送り迎えなど積極的に行っている俳優の谷原章介さん、昨年UOMOに「10年後も妻と笑っているために今日からできる10のこと」が掲載された滝藤賢一さんらはSDAも認めるスーパーダディ。

「パパタレであることをウリにしている人は、スーパーダディとはちょっと違うのかなと思います(笑)。仕事をバリバリやっている裏で、家族のことを想い家事や子育てをしているという部分で、イクメンタレントとは違う、スーパーダディタレントというジャンルが確立するといいですね」(高橋氏)
 
 子育てや家事についてイキイキと語るスーパーダディたちが目指すのは「育児は楽しいんだ」という男性の意識改革。「イクメンにならなければ」とプレッシャーを感じてしまうのではなく、大切なのは誰よりも楽しんで子育てや家事に取り組もうとする姿勢。そんなスーパーダディ的考え方が、日本の新しい父親像になっていくかもしれない。
(取材・文/齋藤倫子)

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