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俳優から司会業まで谷原章介が重宝されるワケ
“ただの2枚目”から“2枚目だけどイヤなヤツ”に路線変更で、独自の立ち位置を確立
谷原はもともと『メンズノンノ』(集英社)のモデル出身で、95年に23歳で映画『花より男子』で俳優デビューしている。神尾葉子の少女マンガが原作で、後にドラマ版が大ヒットした作品。ドラマでは松本潤(嵐)が演じた道明寺司役に抜擢された。華々しいデビューだったが、ほぼ同時期に竹野内豊、沢村一樹、藤木直人らもモデルから俳優に転向。主役級の多い彼らと“2枚目枠”で競合して、仕事がまったくない時期もあったと言う。28歳で現事務所に移籍してから、出演作を増やそうと脇役の“2枚目だけどイヤなヤツ”路線へシフトチェンジ。『プライド』(フジテレビ系)での木村拓哉(SMAP)の恋を邪魔する役などドラマや映画に相次ぎ声が掛かるようになり、俳優としての幅も広げた。
良い意味での“無難さ”と女性視聴者に“お得感”を提供できる谷原の存在
谷原が司会者として成功している要因は数多い。スマートで典型的なハンサムながら、物腰が柔らかくて嫌味がない。再婚した夫人の連れ子も含めて5人の子供がいて、6人目も生まれるという家庭的なイメージ。料理が趣味、ヘヴィメタル好き、広島カープファンといった意外な庶民っぽさ……。役者としてイケメンだけで押さなかったことも、人間的な深みに繋がったのだろう。また、声も大きな魅力だ。やや低めで流麗な語り口調とも相まって、品の良さを醸し出している。総じて言えば、谷原章介のファンにならないまでも、誰でも彼に良い印象を持つだろう。この良い意味での“無難さ”は司会としてポイントが高い。
『王様のブランチ』は情報バラエティ。MCは幅広い話題に対応して仕切るのは当然としても、進行係であって主役ではない。ただ、暇つぶしでザッピングしていたり、興味を惹かれる度合いが同じ番組が並んでいたら、女性視聴者には谷原の存在が“お得感”をもたらす。どうせ観るなら素敵なハンサムが出ている方が……とチャンネルを合わせがち。
競合がいない独壇場の谷原、芸人と一線を画す爽やかイケメン司会者枠
谷原の場合はそのうえ、男性司会者としては競合がいない独壇場だ。前述の通り、司会業に進出した時点で空席だったポジションだが、現在でもバラエティのMCといえば芸人系がほとんど。谷原のような爽やかなイケメンで、スマートに仕切れるタイプは少ない。ファミリー向けの『アタック25』にはピッタリなうえ、40年の伝統を継げる安定感では唯一無二だろう。
俳優としてはやりたがらない人も多い“イヤなヤツ”役から活路を開き、現在は『警部補・杉山真太郎〜吉祥寺署事件ファイル』(毎週月曜 後8:00〜 TBS系)で主演を務めている。司会業も、児玉さんの助言も受けつつ、俳優がやらないジャンルに飛び込んだもの。我が道を進んだことが、10数年を経て大きな成果をもたらした。
(文:斉藤貴志)