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須藤凜々花は本当に“戦犯”だったのか? 『AKB総選挙』で求められるスタンドプレーの線引きとは
エース候補がヒールに転向!? “タブー中のタブー”だった禁断の一手
そんな順風満帆な中での「結婚宣言」。そのインパクトは大きく、3連覇を実現した指原、卒業発表した渡辺の存在を霞ませるほどセンセーショナルに報じられた。渡辺は“初代神7”として“王道アイドル”を貫いた功労者。3連覇の指原はHKT48に移籍後、劇場支配人としても活躍し、グループを表と裏の両面から導く“偉業”を実現。その両者の話題性をブチ壊しにした須藤のスタンドプレーは、まさに“タブー”だった。
グループにおいてご法度だった恋愛絡みの発表だけに、AKB48の歴史を知るコアファンほど、グループの根幹を揺るがす“大事件”として受け止めた。AKB48メンバーもさまざまに反応。高橋朱里は壇上で「ファンの皆さんが複雑になることを言うメンバーを見て、胸が痛い」と辛辣なコメント。峯岸みなみは「考えていたことが全て飛ぶくらい…もう何を言っても記事ならんやん」と嘆いた。また、この一件により「あるメンバーは荒れに荒れて女子トイレで叫び続けた」とも報じられた。
成長するグループに必要なのは“予定調和の破壊”
「アイドルグループは団体芸ですが、『仲良くやろう、みんなで頑張ろう』だけの仲良しこよしグループに発展や成長はない」と語るのは、元週刊誌の芸能記者でアイドルのマネジメントに携わる豊沢朱門氏。
AKB48はドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48』で、コンサートの舞台裏で多くのメンバーが過呼吸になりながらも、ステージの上では笑顔で踊る“アイドルの光と影”を明確に世に訴えてきたグループ。また、数年に1回は“組閣”としてチーム体制をシャッフルして、新たな仲間との連帯と協調性を学び、成長促進を促してきたりもした。“ヒリヒリするような切磋琢磨”、“世間を揺るがす賛否両論”、それこそがAKB48を突き動かしてきた原動力と言っても過言ではない。
「そんなグループだからこそ、予定調和を壊す “スタンドプレー”があってこそイノベーションが生まれるはず。実際、須藤の結婚宣言はAKBファンの怒りを買ったが、世間への話題性としては一人勝ちだった」と豊沢氏は分析する。
TVサイズに収めた“お騒がせキャラ”でポジションを確立
とは言え、法律に関わるような不祥事を起こしたわけではないため、須藤はメディアにとって使い勝手のよいキャラ。実際、幻冬舎の見城徹社長から「須藤のトークを見た。オリジナリティとセンスがあって面白い。頭もいい」と評価されるほどのコメント力を持つ他、趣味である麻雀好きを活かして、『NMB48須藤凜々花の麻雀ガチバトル! りりぽんのトップ目とったんで!』(TBSチャンネル1)でレギュラー冠番組を持ち、NMB48卒業まで出演。ラップにも興味を抱き、ヒップホップラジオ『渋谷WREP学園』(WREP)の木曜レギュラーになるなど多方面で活躍。
このように、絡んだ分野で必ず爪痕を残すことができる“対応力”と“トーク力”を兼ね合わせており、「一見、ただのぶっ飛びキャラに見られがちだが、ちゃんと“TVサイズ”に収められるキャラを演じている」と豊沢氏は解説する。一般視聴者の「元アイドルがどこまで転落するのか見てみたい」という願望に応えるかのようにギリギリの話題を提供しつつも、制作サイドの要求に合わせて“TVサイズ”に収めるトーク力は、AKBグループ卒業メンバーの中でも屈指と言えるだろう。
実は運営も望んでいる!? 『AKB総選挙』の見どころは “許容範囲内で収められる”スタンドプレー
さらに、まさかの“有言実行”となる一般男性との結婚もし、それにより発言力が増す好循環。5日の『大阪ほんわかテレビ放送25周年記念特番』(読売テレビ)の公開収録では、子作りへの質問に「してまーす!」とあっけらかんと即答。メディアの見出しになるパンチライン(決まり文句)を作り出す上手さも須藤の“強み”と言える。
須藤が飛躍するターニングポイントとなったのは『AKB総選挙』のスタンダドプレーだったが、AKB48グループの運営も、昨今の『AKB総選挙』の状況を決して良しとはしていないはず。だからこそ、今回の総選挙で期待されるのは、“第二の須藤”によるサプライズなのだ。
「ただし、グループを支える“コアファン”を裏切るような行為が望まれているわけではない」と豊沢氏は警鐘を鳴らす。続けて、「一般の視聴者が求めているのは、ハプニングやドラマ性。そうした新たなストーリーを提供することが、乃木坂46、欅坂46に押されているAKB48グループが再浮上する最良の手段」と豊沢氏は指摘する。
節目となる10回目の『AKB総選挙』。数々の名場面を生んだこの舞台で、確かな爪痕を残すような強烈なスタンドプレーが見られるのか? アイドルたちの決断を見守りたい。