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ORICON NEWS
大相撲のエンタメ化で顕著に AbemaTV番組Pが語るスマホ世代のスポーツ番組の在り方
イケメンランキングにドラマのような相関図…相撲のエンタメ化が加速、きっかけはマーケティング調査
鈴井P「横綱・白鵬の立会いのスピードが陸上選手のウサイン・ボルトに匹敵」など、そういうトリビアを紹介している力士相関図は好評いただいています。横綱の白鵬関の場合は、「初めて覚えた日本語がどうやら“コマネチ”らしい」というコメントもすごく盛り上がりました。“コマネチ”のビートたけしさんは日本中の誰もが知っている人ですから。今場所では今これが一番ネットで盛り上がっていますね。
鈴井P「横綱・白鵬の立会いのスピードが陸上選手のウサイン・ボルトに匹敵」など、そういうトリビアを紹介している力士相関図は好評いただいています。横綱の白鵬関の場合は、「初めて覚えた日本語がどうやら“コマネチ”らしい」というコメントもすごく盛り上がりました。“コマネチ”のビートたけしさんは日本中の誰もが知っている人ですから。今場所では今これが一番ネットで盛り上がっていますね。
鈴井P今回は「相撲ファン1000人が選んだ人気ランキング」ですが、今後は、身長や体重ランキング、逆に低い順や軽い順なども、日本人男性の平均数値を比較として入れつつ紹介することも考えています。相撲中継では、武井壮さんをゲストに招いて、「どうやって200 kg の力士を倒すのですか?」という話もしたりしてみたいですね。
鈴井P相撲を面白おかしく取り扱いたかった訳ではありません。そもそも我々が相撲のことを深く知らなかったので、世間における相撲のイメージや立ち位置を探りたくて調査したことが始まりでした。相撲業界でもいろいろな出来事があったので、「みんなが相撲をどう考えているの?」ということについて、2万人を対象に調査していたのです。サイバーエージェントのインターネット広告事業チームと連携し、日本人の人口ピラミッドの比率に即した男女比、年代比で、かなりしっかりと調査しました。相撲業界に対してのマーケティングだったんです。
“若貴ブーム”の頃に生まれてなかったような若い世代のメンバーも入ってきていますし、相撲を分からないまま“想像”で番組を作っていくことが一番怖いですから。そして、調査してみると「おじいちゃんとおばあちゃんが見るもの」といった意見から、ポジティブな発見も色々ありました。相撲の好きな人もけっこうな数がいまして、今回のランキングはその“相撲ファン層”の回答を抜き出してランキングにしたという形ですね。
「格ゲー風」で力士への興味喚起の次は、“大相撲の世界”の認知
鈴井P「格闘ゲーム風の力士パラメーター」の発展版です。パラメーターはその人の強さや人となりを入れて、“力士に興味を持ってもらうこと”が目的でした。その次の一手として、次は力士の世界、つまり“大相撲の世界”に興味を持ってもらいたかった。相撲以外の軸で相撲界を身近に感じてもらい、相撲界と世の中が意外と近いところにあるんだよということを表現したかったんです。
パラメーターはどちらかというと“玄人向け”だと思うんです。コアファンだと遠藤関も石浦関のことももちろん知っている。でも力士相関図は、例えば栃ノ心関においては「ニコラスケイジに似てる人だね」、白鵬関においては「コマネチを憶えた力士だよね」というような形で認知してもらいたいですね。また、相関図では、実は「親友」の2人が、土俵の上でガチンコ勝負でぶつかり合わなければならないシビアな勝負の世界であることも伝わると思います。スマホ世代への訴求は、“ひと目でわかる”ということも大事ですから、そうした世界観をビジュアル化しています。
――“話題作り先行”ではなかったということですね。
鈴井P今は力士ごとの相関図を作っていますが、相関図同士をつなげて角界の1大相関図みたいなものも作っていきたいです。この相関図も、作ることで新たな発見がありました。例えば、遠藤関は元横綱の朝青龍の相撲に憧れていて、朝青龍の相撲をものすごく研究していた力士です。現在、幕下に朝青龍の甥の豊昇龍という力士がいるんですが、豊昇龍が憧れているのが、実は朝青龍に憧れていた遠藤関なんです。そこには三角関係の“ドラマ”が存在しています。そういったポイントを絵で瞬間的にわかってもらう。力士一人一人を認識してもらった次は、ぶつかり合いだけではないドラマのような背景にも“相撲”の面白さがあることを感じてもらいたいですね。
スポーツを「好きな人が見るもの」でなく、エンタメ化してファン層のすそ野を広げる
鈴井Pテレビの歴史の中では“スポーツ中継は好きな人が見るもの”だったからではないでしょうか。その点、AbemaTVはコアなスポーツファンはもちろん、若年層をはじめとしたライト層への訴求を意識しているので、そこの違いなのかもしれません。
――“実力”と“結果”の世界だったスポーツジャンルに、今までに無かった新たな視点を提案すること、ということでしょうか?
鈴井P試合のダイジェストだけじゃなくて、選手のプライベートや裏の顔を見せていく、試合とは関係のないゲームをしてもらう、選手自身に映像を撮ってもらう…そういったこともやっていきます。先述の「力士人気ランキング」にしても、そもそも相撲は“番付”という実力ランキングの世界なんですよね。人気調査でも、認知度からしてやはり横綱・三役が上位にランクインするんです。なので、僕らは相撲を題材にしながら“番付以外の人気の指標”も作っていきたいと考えています。
鈴井P大相撲、プロ野球、六大学野球、ヨーロッパサッカー、Fリーグ(フットサル)、NBA・Bリーグなどバスケットボール、サーフィン、ゴルフ(男女)が主要スポーツコンテンツです。
――スポーツコンテンツの今後について他のジャンルのプロデューサーの方と話し合ったりする場はあるんでしょうか
鈴井Pもちろん話し合っていて、成功した取り組みは別ジャンルでも横展開をしています。相撲でヒットした「格闘ゲーム風パラメーター」は、プロ野球の放送でも展開しています。また、新たな“楽しくスポーツを見る方法”も提案していきたいです。例えば六大学野球は「スカウトの目線」で見るという提案をしています。大学野球は毎年何十人とプロ野球選手が出ています。実際のスカウトの人たちにゲストで来ていただいて、例えば3アウトで攻守交代する際に、ベンチまでの歩き方ひとつをとっても「ちゃんと走って帰る選手はプレースタイルが紳士だ」、というようなスカウト目線のコメントが話題になったりもしています。
ネット発で若年層へ訴求 究極の目標は…競技人口を増やしたい
鈴井P相撲に関しては、もっと相撲の知られざる世界を取り上げていきたいですね。相撲部屋でどんなことが行われているのかももっと伝えていきたいと思っています。どんな厳しい稽古をしているのかや、「〇〇部屋の朝ごはん特集」なども面白いんじゃないかと思います。相撲部屋の朝ごはんってめちゃくちゃ美味しいんです!
相撲ももちろんですが、スポーツ番組を若い世代の方たちに見てもらう機会をもっともっと増やしたいです。最終的にはAbemaTV を見て力士を志した、スポーツ選手になった、という人が出てきたら最高ですね。
相撲協会の課題のひとつに新弟子の不足があります。親方が海外にまで勧誘に行くということも定番化しています。相撲は、毎朝早朝に起きて土まみれになって稽古をする厳しい世界で、そもそも教育の場で相撲部がある学校自体が少ない。力士になりたいという選択肢が“ない”人のほうが圧倒的に多いと思います。競技人口が増えればレベルも上がりますし、競技自体ももっと盛り上がり、もっと面白いものになっていくはずです。メディアの役割はスポーツの競技の魅力を伝えていく事。それは、競技人口を増やしていくことに繋がると思っています。その点、相撲の新たな演出では手応えを感じています。引き続き競技の魅力を多角的に打ち出しくことで、競技人口増にも貢献できると信じています。
<幕内>
https://abema.tv/channels/sumo/slots/EoLUS5KqAbAAW3